柔の道
9月9日から13日、世界柔道が開催されている。東京で行われるのは52年ぶりらしい。学生時代柔道に明け暮れていた自分としては、応援せずにはいられない。奇声を上げて大騒ぎするので、窓は完全に閉め切りテレビの前に陣取る。 青畳の侍たちは皆一様に不敵な面構え。眼光鋭く敵と対峙する。国際ルール5分間の仕合いは正に誇りと威信を掛けた男(女)の戦いだ。序盤より中盤、互いに決め技にかけ小康状態状態が続く。激を飛ばす監督やコーチ、気が気ではない。半分腰が浮いている。声は既にだみ声だ。カメラは会場で観戦している家族を写す。神妙な面持ちで祈る思いの家族の顔が印象的だ。仕合いはいよいよ終盤へと、互いに一歩も譲らない技の応酬。最後の気力を振り絞る姿は観ている者を感動させる。相手をいなし、組み手に勝つ。充分相手を引きつけ、足を飛ばす。前後左右に体を捌き、小気味いい大内、小内。相手は堪らず前へと体重移動。一瞬のスキを逃さない、引き手充分、足を跳ね上げた。電光石火の内股だ。「一本!」高々と上げられた主審の右腕。どよめく歓声のなか動から静へと変化する侍の心、残心の構え。 日本の柔道は一本を取る柔道。ポイント重視の欧米に比べ、自分たちに課したものは途方もなく大きい。厳しい柔への道を歩む侍たちよ、これからも、美しき技を我々に見せてくれ。にほんブログ村