芥川龍之介の『芥川龍之介妖怪文学館』です。
芥川龍之介作品にも伝奇小説と言える作品が数々あります。例えば、この芥川龍之介妖怪文学館にも収録されている『邪宗門』です。
この作品は、平安朝の貴族の親子の葛藤と、景教(ネストリウス派のキリスト教)の宣教師の京都進攻をうまく絡ませて描いています。芥川の精緻で高雅な文体でこれを描いているので、現代の伝奇小説など及びもしない感じです。この作品名が世にあまり出てこない理由は、未完で終わってしまったからかもしれません。
最後の方で景教徒の摩利信乃法師と王都の仏教僧侶たちの魔法合戦が途中で尻切れトンボになってしまったのは非常に残念です。是非、この続きが読みたいものです・・・と言っても誰かが続きを書くしか方法はありませんが・・・
大川の畔に河童を想い、銀座の雑踏に妖精を幻視し、ビアスやブラックウッド、M・R・ジェイムズを愛読した怪奇の文豪・芥川龍之介。東西の幻術僧が激突する王朝伝奇ロマンの知られざる逸品「邪宗門」、オカルト・ホラーの先駆として映画化もされた「妖婆」をはじめとする伝奇と怪異の名品多数のほか、若き日の怪談蒐集ノート「椒図志異」や、大正の文芸百物語ともいうべき「怪談会」など、初復刻、初文庫化の貴重な資料を満載。<内容紹介より>
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