|
カテゴリ:小説・ノベル
死印(しいん)のご紹介です。
本作はホラーアドベンチャーゲームを小説化した作品です。 死印/エクスペリエンス/雨宮ひとみ【1000円以上送料無料】 【あらすじ】 主人公の男は、気がつくと見知らぬ洋館の前に立っていました。 彼は人の言葉を話す人形メリイに出迎えられます。 男の腕には獣に噛まれたような痣「シルシ」が刻まれていました。 怪異に遭遇した者はシルシを刻まれ、印人(しるしびと)と呼ばれます。 そして印人は少しずつ記憶を壊され、やがて死に至るとのこと。 シルシを消すには、それを刻んだ怪異に立ち向かうしかないとメリイは語ります。 男は座して死を待つよりはわずかな可能性に賭け、同じく洋館を訪ねて来た印人とともに怪異の調査を始めるのでした。 【強制心霊スポット巡り6番勝負!】 自分の名前も思い出せない程重症であった男はとりあえず八敷一男(やしき かずお)と名乗ることにしました。 「大きな屋敷に心細く立ち竦んでいる一人の男」が由来です。 そんな心細い中、他の印人と一緒に怪異に立ち向かいます。 花彦くん 八敷はオカルト好きな女子高生、渡辺萌(わたなべ もえ)と共に廃校へと赴きます。 廃校には花彦くんという幽霊が出るらしく、萌は花彦くんを見ようとしてシルシを刻まれたようです。 校内を探索して遭遇した花彦くんとは…… 決まり手に捻りがあって面白いお話でした。メンバーに萌がいて良かった。 森のシミ男 八敷は前回の事件で知り合った元刑事、真下と行動することになりました。 真下は因縁のある事件を追っていてシルシを刻まれてしまいました。 その事件とは、昼なお暗い森の中で宗教団体の人たちが集団自殺したというものでした。 以来その森には体にシミのある大男がうろついているというのですが…… ホラー映画の殺人鬼さながらに迫るシミ男が怖いお話でしたが、シミ男の最期は少し切ない感じでした。 くちゃら花嫁 怪異の調査を続ける八敷は、夜中に電話ボックスで話をしているオタク青年と女子小学生に会いました。 彼らによるとくちゃら花嫁に訊くとどんな探し物も見つかるとのこと。 そう言う二人にもシルシが…… 心霊系の怪談と都市伝説が合わさったようなテイストのお話でした。 ちなみに本作や元になったゲームのパッケージがこのくちゃら花嫁なのですが、これがまた怖い。 怖くて本作を手に取るのが遅れたくらいです(笑)。 本編を読んで分かったのですが、なるほどだからそんなに背が高いんですね(怖)。 電話ボックスの灯りに寄って来た虫まで描かれているのが細かいですね。 ずう先生 八敷は「マンホール通り」と呼ばれる場所の調査を始めました。 そこはずさんな都市計画のせいで一面マンホールだらけになっているのですが、最近そこに気味の悪い女が出るとのこと。 そこで出会った人物とは…… この話は次につながるステップのようなポジションで、割とあっさりしていました。 まさかの不戦勝だし。 観音兵 新たな情報を掴んだ八敷は再びマンホール通りを訪れ、地下へと赴きました。 そこに潜む因縁と怪異、そして繋がっていく点と線…… 物語も終盤へと向かって行くのでした。 終章 全てを悟った八敷は洋館に戻って来ました。 そしてついに怪異の黒幕と対峙します。 はたして八敷は死のシルシから逃れることができるのか。 個人的にはこの終わり方好きです。 憎い敵をやっつけて終わりではなく、どこか気持ちを残している所がいいですね。 【奥の深い恐怖の裾野】※若干ネタバレあり。 本作の時代設定は、5年前の事件が「199×年」となっていることから、おおむね2000年前後ということになります。 平成10年前後ということになりますが、全編に漂う昭和臭が凄い。 学校にそんな秘密の部屋が作れるのだろうかとか、地方議員ってそんなに無敵なのかとか、あのミュージシャンは自分で埋まったのかしらとか、色々気になる部分がありました。 ですが細かい所を突っつくのは野暮というもの。 細かい設定の整合性を問うよりも、むしろそうしたうさん臭さもスパイスになってしまうのもホラーの魅力なのかなあと思いました。 【おまけ】 実は吾輩、元になったゲームは知りませんでした。 著者の雨宮ひとみさんが自身のTwitterで紹介していたのがきっかけでした。 ずっと気になっていたのですが、表紙むっちゃ怖いと思って手が出ず今日に至りました。 雨宮さんの作品を読むのは二冊目です。 文章が非常にあっさりしていて読みやすく、内容がスルスルと頭に入ってくるのが良いですね。 割とグロいシーンも淡々と描いてあって、かえって不気味さが増しているように感じました。 以前読んだ「ハッピーシンセサイザ」は夢を追う女子高生の奮闘記でしたが、本作「死印」はまた違った味わいがありました。 幅広い作風を持っている所がさすがプロの脚本家ですね。 【中古】ハッピーシンセサイザ / EasyPop ハッピーシンセサイザです。 紹介記事はこちら。 死印/エクスペリエンス/雨宮ひとみ【1000円以上送料無料】 新品はこちら。 【中古】ライトノベル(その他) 死印 【中古】afb 中古はこちら。 【中古】死印ソフト:ニンテンドーSwitchソフト/アドベンチャー・ゲーム ゲーム版が気になった方はこちらもどうぞ。 ニンテンドースイッチ版です。 よかったらクリックお願いします。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.08.01 20:00:06
コメント(0) | コメントを書く
[小説・ノベル] カテゴリの最新記事
|