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サカナ男爵の本とゲームにおぼれて

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2024.02.11
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カテゴリ:小説・ノベル
今までご紹介していた大江戸妖怪かわら版全体の感想です。

第1巻の記事はこちら。


【書籍全巻セット】【中古】大江戸妖怪かわら版[文庫版] <1~7巻完結> 香月日輪

【美しい風景描写】
本作の魅力はまず、その美しい風景描写だと思います。

「どこもかしこも見事な紅葉で、上を見上げれば、さまざまに色づいた葉が青空に映え、足元は、その散った葉で見渡す限り埋め尽くされている。子どもたちはその上を転げ回り、腕いっぱいに落ち葉を拾っては放り投げ、撒き散らす。大人たちはその様子に、深まりゆく秋を感じるのだった」
―6巻より

情景がすんなり浮かんでくるうえに文章がくどくなく、繊細で美しいと思います。


【大江戸うまいもの探訪】
香月先生はおいしそうな料理の描写にも定評があるそうで、妖怪アパートの幽雅な日常でもおいしそうな料理がたくさん出てくるそうです。

「今日の昼定食は、鰻(うなぎ)と浅蜊(あさり)と葱(ねぎ)の旨煮。まだ暑さの残るこの時期の、夏バテ予防にピッタリの一品だった。小鉢には、練り天と菜っ葉の和え物。薩摩芋の味噌汁。茄子の漬け物」
―5巻より

読んでいるだけでもおいしそうです。
昔ながらの日本の食材や旬のものを使った、素朴でありながら手の込んだ料理が良いですね。


【きちんとした大人のいる世界】
このシリーズの素敵な所は、きちんとした大人たちがいることだと思います。
雀に対してあれこれと口出しはしないが、決して見放すことはありません。
雀が自分で考え、決断するのを待ってくれているのです。

大人代表は鬼火の旦那ですが、大首の親方やポーなど、見守ってくれる大人がたくさんいるのがほほえましいですね。


印象深かったのは雀の長屋に住んでいるお内儀たちです。
何かと世話を焼いてくれるのですが、それは雀が自分自身できちんと生きているからであって、ただ甘えてくるだけの者は一顧だにしないという描写があります。

無条件で人の面倒を見るほど余裕があるわけでも懐が深いわけでもない。
でも懸命に生きている者には惜しまず手を貸してくれる。
そんな江戸っ子気質が温かいですね。


吾輩が好きなのは、雀が行きつけのめし処「うさ屋」のおやじが氷箱(冷蔵庫)を仕入れたシーンです。
氷箱は箱に氷の精を入れるのですが定期的に交換せねばならず、その手間賃が結構かかるとのこと。
強い力を持つ鬼火の旦那ならば交換しないで済むようにすることもできます。
ですが旦那は「やってやろうか」とも言わないし、うさ屋のおやじも「やってくれ」とは言いません。

個人個人がこうした分別のある行動をしているからこそ、世間の秩序が保たれているように思います。
ともすれば自分さえ良ければいいとなりがちな我々は大いに見習うべきなのではないかと思いました。


【子どもにも大人にも読んでほしい物語】
本シリーズは児童書の対象年齢の中でも最後のカテゴリーに入るそうです。
子どもを卒業して大人になっていくにあたって、学んでおいて欲しいことが詰まった作品であると思います。
また大人になってから読み返すと、日々の慌ただしさの中で忘れてしまったことを思い出させてくれる作品でもあると思います。

個人的には2巻の「遠きにありて思う」が好きです。
辛いことや悲しいことが自分の糧になるとよく言われます。
ですがその最中にそう思うことは中々ないと思います。
すでに取返しのつかない、終わってしまったことだからこそ冷静に振り返ることができるものなのかなと感じました。


また3巻の「なんの憂いもない世界など、どこにもありはしないのだヨ」が名言だと思います。
一見理想郷のように見える大江戸であっても犯罪はある。格差もある。理不尽もある。
全くの別世界ではなく我々の世界とリンクしている部分があるからこそ、物語が読み手の中に入ってくるのかなと思いました。

そして憂いのある世界だからこそ、人は自分や大切な人のために努力できるのではないかと感じました。


本作は日常シーンが多い小説ですが、こうした平凡な日常こそが愛おしいと思います。
作中の言葉を借りれば、泣き、笑い、酒を呑んで美味いものを喰って、恋をして子どもをつくって……そして死んでゆく。
どこにでもある当たり前な生き方や人情あふれる心意気。
我々人間が便利さと忙しさで忘れてしまったものを思い出させてくれる妖怪たちと、そんな優しい世界で「生き直す」少年の物語。

良い作品を読むことができました。

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最終更新日  2024.02.11 20:00:09
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