葉桜の季節に君を想うということ:歌野晶午
2004年度版「このミステリーがすごい!」の第一位に輝いた作品だということは知りつつも、読んだのはしばらくたってからでした。この作者の作品で以前読んだことがあるのは「長い家の殺人」のみ。結構早くにトリックがわかってしまって残念でした。しかし、今回はすっかりだまされました。ジム仲間の高校生キヨシに頼まれ、ジムを休んでいる愛子の家に行った「何でもやってやろう屋」探偵・成瀬将虎は霊感商法事件に巻き込まれていきます。そして同じ頃、地下鉄に飛び込もうとした女、麻宮さくらを助けて……。読んでいる間に多少の違和感はありましたが、加速度を増して最後まで読まされ、驚くことになるのです。* 読み終えたあとでもう一度読み返す人が多いでしょう。* 映像化は難しいでしょう。これまでこんなふうに最後にうまくだまされたという満足感があったのは、ジェームズ・アンダソンの『証拠が問題』ぐらいでした。葉桜の季節に君を想うということ:歌野晶午……………………………………………………………………………………………………………2007年5月、文庫化されました。(2007年7月14日追記)