5月に読んだ本
1段目段左より『黒百合』多島斗志之 戦後の避暑地における少年たちの様子がみずみずしく描かれ、巧みなミスリードに驚かされます。『船宿たき川捕物暦』樋口有介 剣の達人で、口も達者ないい男が活躍する、気持ちのいい時代ものです。『十八面の骰子』森福都 中国の宋の時代の「巡按御史」を主人公にした連作短編集。主役3人が個性的です。軽いタッチで楽しい作品。 『雨にもまけず粗茶一服』松村栄子 茶道の家元を継ぎたくなくて家を飛び出した長男が京都に流れつき、あがきながら道を探す青春もの。だめ男ぶりにあきれながらも、やる気が出ます。『天使はモップを持って』近藤史恵 オフィスの掃除人はキュートな女の子。しかも掃除の天才にして名探偵。彼女、いい子過ぎます。2段目左より『奇術探偵曾我佳城全集(戯の巻)』泡坂妻夫 下巻です。元奇術師の曾我佳城が魅力的で奇術トリックも楽しいのですが、完結の仕方には不意を突かれました。『龍の館の秘密』谷原秋桜子 泣き虫だけど頑張り屋のアルバイター美波が活躍する第二弾ミステリ。奇妙な館が登場。読みやすく、爽やか、ちょっとスイート。『ぼくと1ルピーの神様』ヴィカス・スワラップ /子安亜弥 映画『スラムドッグ$ミリオネア』の原作。かなり映画とは違いますが、こちらも面白く、インドのこともわかります。最後には驚きも……。『危険がいっぱい』デイ・キーン /松本依子 どうなってしまうのか、先が気になってどんどん読んでしまいます。まさに、サスペンス。 『ウォッチメイカー』ジェフリ-・ディーヴァー /池田真紀子 リンカーン・ライム・シリーズ第7弾。息もつけないくらいのどんでん返しの連続に、置いて行かれそうでした。3段目左より『大いなる救い』エリザベス・ジョージ /吉沢康子 リンリー警部シリーズ。最後にわかる事実は衝撃的ですが、目が離せません。とても読みごたえがあります。 『ローリング邸の殺人』ロジャー・スカーレット /板垣節子 ケイン警視が、邸内で起こる事件を論理的に解き明かします。全てがわかった時に、このミステリが実に緻密に組み立てらていることがわかります。