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三角猫の巣窟

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2018.12.20
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カテゴリ:小説
スリがやばい奴に脅されてスリをする話。大江健三郎賞受賞作。

●あらすじ

西村が電車で掏摸をしていたら立花と再会して、石川がへまをして消されて木崎が何かやるらしいから巻き込まれる前に消えたほうがいいと忠告される。石川はパキスタンで死んだことにして新美に名前を変えていて、木崎を紹介されて西村が石川と立花と一緒に金持ちのじじいの家に強盗に行って家政婦を縛る手伝いをしたら、衆議院議員の殺害事件として報じられたのだった。
西村はスーパーで母親から万引きさせられている子供に金をあげたら子供の母親が家に押し掛けてきたのでエッチして、子供にスリの英才教育をしていたら木崎が接触してきて、親子を殺されたくなかったら3つ仕事をやれと言われて、まず桐田の携帯電話を盗んで、次に男からライターを盗んで、母親に金をあげて子供を施設に入れて、米沢のコートに縫い込まれていた封筒をなんとかすり替えたら、木崎に殺されそうになる。

●感想

西村(僕)の一人称。犯罪者が自分の犯行について語るのは取り調べや刑務所内で書いた手記とかの語る動機がないとそもそも語ることがありえないし、実況中継風に語るのも動画実況でもしないとありえない語りの形式で、いつ誰になぜ語るのかというナラトロジーの始末ができていないし、語り手が語るということはどういうことなのか理解していないナンチャッテ一人称になっている。「僕」を「西村」にして三人称にしても成り立つ文章なので、だったら三人称にして自由な視点で物語を展開するほうがまし。一人称にしてしまったせいで西村についての年齢や外見と言った客観的情報がなくなるという悪手。西村の言動に魅力がなんもないので、もっと腕にシルバー巻くとかして工夫をしてほしい。一人称の小説は読者がずっと語り手に付き合わないといけないので、語り手に魅力がないのはしんどい。語り手と物語の主人公が別でストーリーが面白いならまだましだけれど、語り手が主人公の場合は語り手の魅力のなさがストーリーのつまらなさに直結する。
文章も読みづらくて、石川は最初に木崎を「あれ」というので誰のことか不明だし、子供が最初に登場した時には「子供」と書かれるだけで年齢も性別も不明で「子供」で通すかと思いきや82ページで唐突に「少年」と書いているし、西村が木崎と再会した後になぜか木崎と呼ばずに「男」と呼び始めるし、こういう呼称のぶれのせいで何を書こうとしているのか曖昧でイライラする。具体的に語れるものをわざわざ抽象的で曖昧にして下方修正する意味がわからないし、下手くそすぎて読んでる途中で本をぶん投げて捨てたくなった。エンタメならこんなもんでもいいけれど、純文学なら金をとって売るレベルではない。
ストーリーは主人公に動機がないせいで物語の展開が他人頼みになっていて、木崎にお使いさせられるだけの単純な話なのに木崎との再会が物語が半分を過ぎてからで展開が遅いし、長々と石川のエピソードを展開したくせに伏線になるわけでもなく、プロットもない。木崎がいきなりヤーヴェが云々と一人語りするのも不自然すぎて、ヤーヴェというより中二病がやべえし、木崎が何をしようとしているのかも不明。知らない子供の世話をするのもとってつけたような展開で、子供にスリの仕方を教えたりやめろと言ったりして言動が一貫していなくて何をしたいのか不明。
著者の8冊目の小説らしいけれど、芥川賞を受賞した純文学作家がナラトロジーの始末をつけずにエンタメ作家みたいな一人称を使うのは技術レベルが低くて、構成が下手なうえに描写が曖昧でものすごく読みづらい。これがアカデミックな文学の知識がない人が書いた小説の技術的限界なのだろう。こういう書き方をしてよいのは文学理論の研究がされていなかった20世紀の作家までで、21世紀の作家がこういう書き方をするのは小説の技術について勉強不足である。花村萬月からエロスと暴力をとった劣化版という感じで、裏社会を書くにしてもウシジマくんのエピソード一つ分にもならない参考資料の焼き直しでストーリーにも見どころがないし、芥川賞受賞後に成長した様子もないので、この作家はもう読まなくていいや。

★★☆☆☆


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最終更新日  2018.12.20 20:39:35
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