カテゴリ:Oの人生論
「もう70歳近くなっているんだから、 楽しいことやって生きればいいのに」 近所の80代のおばあちゃんが声をかけてくれた。 ぼくが、 ヤギのエサにする木の枝を、 高枝切りバサミで切っていたときのことだ。 この木の葉っぱがあいつらは大好き。 しばらく話をしていてわかったのは、 「そんなしんどいことをやらなくても、 旅行に行ったり、おいしいものを食べたり、ゴルフでもやって遊んでたらいいのに」 と言いたかったらしいということ。 おばあちゃんの常識は、 60歳で会社を辞めて、 退職金をもらって、 年金もあるから、 悠々自適に暮らせるというもの。 自分の息子たちもそうしている。 わざわざ老体にむちを打って、 ヤギを飼ったり、 果樹栽培をする理由がわからないのだ。 幸せは働くことではなくて、 遊んで暮らすこと。 うちの父親も言っていた。 「いい大学を出て、大きな会社へ入るか、公務員として働けば、 老後は安定だから」 農家の長男だったぼくに、 農業は一切やらせなかった。 大学を出て大企業に就職して2年間。 父親の引いたレールを、 ぼくは進んだ。 しかし、2年が限界だった。 サラリーマンはぼくには向いていなかった。 ぼくたちの年代では、 大企業を勤め上げて、 たくさんの退職金をもらって、 ゴルフ三昧で暮らしている人もいる。 ぼくはサラリーマンを辞めたことで、 退職金もなければ、 年金もわずか。 遊んで暮らせる身分ではない。 だから働かざるを得ないのだけれども、 それが理由で、 毎日、汗を流しているのではない。 ぼくには、 おばあちゃんが言うような、 旅行にもグルメにもゴルフにも興味がない。 だいたい、 趣味と言えるものがない。 楽しみというのは、 この年になっても、 できないと思い込んでいたことができるようになること。 たとえば、 この間、実家のある村で草刈りがあった。 ぼくも、草刈り機をもって参加した。 山梨でも畑の草刈りをしているから、 慣れたものなのだが、 村の人たちは、 高校を出てからずっと都会で暮らしてきたぼくと農作業がつながらない。 だから、 「あいつ草刈り機が使えるんだ」とびっくりした顔で見る。 クタクタになったけれども、 数年前のぼくなら、 草刈り機なんて使ったこともなかった。 山梨に越したことで、 できないことができるようになった。 そんなことがうれしい。 体が動く限り、 いろいろ挑戦していこうと思っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024年06月10日 07時44分49秒
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