ヘビースモーカーでは禁煙後も心血管疾患リスク継続?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘ヘビースモーカーでは禁煙後も心血管疾患リスク継続?’という報告です。 ヘビースモーカー(20パック年以上喫煙)の心血管疾患(CVD)リスクは、禁煙後5年未満で、現喫煙者と比較して約4割減少するが、非喫煙者との比較では禁煙から5年以上を経過しても有意に高いままであることが示された。米国・ヴァンダービルト大学医療センターの研究者らが、フラミンガム心臓研究の被験者のデータを解析し明らかにしたもので禁煙後のCVDリスクの時間的経過は明らかになっていない。試算では元喫煙者のリスクは5年のみと考えられていた。 研究グループは、ベースラインでCVDがなかったフラミンガム心臓研究の被験者で、2015年までに前向きに追跡収集されたデータについて後ろ向きに解析した。自己申告による喫煙の有無、禁煙後の経過年数、喫煙中の累計パック年を調べ、CVD(心筋梗塞、脳卒中、心不全、心血管死と定義)との関連を検証した。主要解析はヘビースモーカー(20パック年以上喫煙)について行った。被験者8,770例の平均年齢は42.2歳で、45%が男性だった。そのうち喫煙経験者は5,308例で、ベースラインの喫煙累計(パック年)の中央値は17.2だった。ヘビースモーカーは2,371例(追跡中に禁煙した元喫煙者406例[17%]、現喫煙者1,965例[83%])だった。 現喫煙者と比較して5年以内の禁煙者のCVD罹患率は有意に低かった。罹患率は現喫煙者11.56/1,000人年に対し、禁煙5年未満者で6.94/1,000人年だった(危険率:0.61倍)。一方で非喫煙者の同罹患率は5.09/1,000人年で、それと比較すると喫煙者のCVDリスクは、禁煙後10~15年でも6.31/1,000人年とより高い関連が顕著に認められた(危険率:1.25倍)。 禁煙することによって様々な疾患の罹患が減ることは言われていましたが、こと心血管疾患に関しては減少することはあっても危険性が非喫煙者と同等になるのにはかなりの時間がかかる様です!