便秘が心血管疾患と関連?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘便秘が心血管疾患と関連?’という報告です。 便秘は日常診療で最も遭遇する症状の1つであり、アテローム性動脈硬化症の発症と関連している(腸内微生物叢の変化による可能性)が、心血管イベント発症との関連についてはほとんど知られていない。今回、米国退役軍人コホートにおける研究から、便秘であることと便秘薬の使用がそれぞれ独立して、全死因死亡、冠動脈疾患(CHD)発症、虚血性脳卒中発症のリスクと関連していたことを、米国テネシー大学/虎の門病院の研究者らが報告した。 2004年10月1日~2006年9月30日(ベースライン期間)に、推算糸球体濾過量(eGFR)が60mL/分/1.73m2以上であった米国退役軍人335万9,653例において、2013年まで追跡し、便秘の有無(診断コードと便秘薬の使用により定義)・便秘薬の使用(なし、1種類、2種類以上)と、全死因死亡率・冠動脈疾患(CHD)発症・虚血性脳卒中発症との関連を検討した。 主な結果は以下のとおり。・335万9,653例のうち、23万7,855例(7.1%)が便秘と同定された。・人口統計、一般的な併存症、薬物治療、社会経済的地位に関する多変量調整後、便秘の患者は、便秘ではない患者と比べて全死因死亡率が12%高く(危険率:1.12倍)、CHD発症率が11%(危険率:1.11倍)、虚血性脳卒中発症率が19%高かった(危険率:1.19倍)。・便秘薬使用なしの患者に比べ、1種類および2種類以上の便秘薬使用患者の危険率はそれぞれ、全死因死亡率で1.15倍および1.14倍、CHD発症率で1.11倍および1.10倍、虚血性脳卒中発症率で1.19倍および1.21倍であった。 腸内細菌叢の変化が様々な疾患に影響を及ぼすことはよく知られていますが、便秘や便秘薬使用の有無が心血管疾患に影響を及ぼすことは少し驚きでした。今後、さらに研究が進み便秘を起こさない様な腸内細菌叢への変化が可能になれば心血管疾患が予防できる様になるのかも?知れませんね。