血圧上昇と認知症リスクの関連は?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘血圧上昇と認知症リスクの関連は?という報告です。 血圧上昇と認知症リスクの関連は、期間や認知症のサブタイプにより異なるのだろうか。今回、英国・London School of Hygiene & Tropical Medicineの研究者らによる約260万人の後ろ向き研究から、血圧上昇は認知症リスク低下と短期的には関連するが、長期的な関連はあまり大きくないことがわかった。また、長期的な関連は、アルツハイマー型認知症と血管性認知症では逆であったことが報告された。 本研究は、United Kingdom Clinical Practice Research Databaseにおいて、1992~2011年に血圧を測定し、それ以前に認知症ではなかった40歳以上の259万3,629人のデータを解析。収縮期血圧と認知症(医師の診断による)との関連を調べた。血圧は認知症発症前駆期に低下すると考えられているため、血圧測定からの経過時間のカテゴリー(5年未満、5~10年、10年超)および認知症のサブタイプ(アルツハイマー型、血管性)別に関連を調べた。 主な結果は以下のとおり。・観察期間中央値は8.2年で、アルツハイマー型認知症4万9,161例、血管性認知症1万3,816例、その他の認知症2,541例の計6万5,618例の認知症が観察された。・平均収縮期血圧10mmHg上昇につき、認知症リスクは9.2%低かったが、この関連は血圧測定からの期間によって著しく変化した。・血圧測定後5年未満では、平均収縮期血圧10mmHg上昇につき、認知症リスクが15.8%低く、血圧測定後5~10年ではリスクが5.8%低かった。・血圧測定後10年超では、平均収縮期血圧10mmHg上昇につき、認知症リスクが1.6%低かった。サブタイプ別にみると、アルツハイマー型認知症リスクは4.3%低く、血管性認知症リスクは7.0%高かった。 近年は認知症の発症前に一時的に血圧が下がるというデータもある様ですので血圧上昇は基本的には認知症のリスクにはあまり関連はないのかも知れません。ただ、当然ながら血管性認知症に関しては血圧上昇がそのリスクになるものと思われます。