砂糖入り飲料でがんリスク増加?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘砂糖入り飲料でがんリスク増加?’という報告です。 砂糖入り飲料の消費は、全がんおよび乳がんのリスクを増加させ、100%果物ジュースも全がんのリスクと関連することが、フランス・パリ第13大学の研究者らの調査で明らかとなった。砂糖入り飲料の消費は最近10年で世界的に増加しているという。砂糖入り飲料と肥満リスクには明確な関連が認められ、肥満は多くのがんの強力なリスク因子とされる。 研究グループは、100%果物ジュースを含む砂糖入り飲料および人工甘味料入り飲料と、がんのリスクとの関連の評価を目的とする住民ベースの前向き研究を行った。砂糖入り飲料および人工甘味料入り飲料の消費の評価には、3,300項目の食品および飲料に関して、参加者の日常的な消費状況が記録されるようデザインされた反復的24時間食事記録法を用いた。飲料のタイプごとに、男女別の消費量をそれぞれ4段階に分けて解析した。主要評価項目は、飲料の消費と全がん、乳がん、前立腺がん、大腸がんの関連とした。競合リスクを考慮し、危険率を算出した。10万1,257例(平均年齢42.2歳)のうち、女性が7万9,724例(78.7%)を占め、男性は2万1,533例(21.3%)であった。飲料のタイプ別の割合は、砂糖入り飲料(100%果物ジュースを除く)が36%、100%果物ジュースが45%で、人工甘味料入り飲料は19%だった。 追跡期間中央値5.1年(49万3,884人年)の間に、2,193例が初発のがんを発症した。内訳は、乳がんが693例(閉経前283例、閉経後410例)、前立腺がんが291例、大腸がんは166例で、診断時の平均年齢は58.5±12.0歳だった。砂糖入り飲料の消費は、全がん(消費量100mL/日増加の部分分布 危険率:1.18倍)および乳がん(1.22倍)のリスクと有意な関連が認められた。乳がんは、閉経前が閉経後よりも関連性が明確であったが、砂糖入り飲料の消費量中央値は、閉経期のほうが閉経前に比べ多かった。砂糖入り飲料の消費は、前立腺がんおよび大腸がんとは関連がなかった。また、肺がんにも関連は認めなかった。 人工甘味料入り飲料の消費は、がんのリスクとは関連しなかったが、全サンプルに占める消費の割合が相対的に低かったことから、統計学的検出力が不十分であった可能性がある。著者は、「これらの結果は、他の大規模な前向き研究で再現性を検証する必要がある」とし、「欧米諸国で広く消費されている砂糖入り飲料は、がん予防における修正可能なリスク因子である可能性が示唆される」と指摘している。 最近、カロリーオフやゼロの飲料が多くなってきていますが、今回の報告で砂糖入り飲料でがんのリスクの可能性が指摘されたという事で今後、飲み物の選択にも注意が必要かも知れませんね。