新型コロナウイルスの血清診断も可能に?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘新型コロナウイルスの血清診断も可能に?’という報告です。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、わずか2カ月の間に世界中で約10万例の感染者と3,000例超の死亡者が報告されており、世界的に早急な対策が求められている。横浜市立大学学術院医学群微生物学の研究者らは、3月9日、ELISA法とイムノクロマト法を用いて、COVID-19患者の血清中に含まれる抗ウイルス抗体IgGの検出に成功したと発表。今後は、これら2つの検出法の有用性を検証し、診断法の確立や試薬キットの開発および実用化を目指す考えだ。新型コロナウイルスの性状や病原性などの解析はいまだ十分とはいえず、臨床で使用可能な迅速診断法や血清学的診断法は確立されていない。そこで同氏らは、安定的かつ効率的に蛋白質を合成できる「コムギ無細胞タンパク質合成法」という技術を用いて新型コロナウイルスを構成する蛋白質を調製。COVID-19に対する血清学的診断法として、ELISA法とイムノクロマト法の有用性を検証した。 抗体価を定量分析するELISA法は検出感度が高く、多検体の定量的測定が可能だ。一方のイムノクロマト法は目視判定による定性分析であり、特別な装置を必要とせず、簡単な操作で短時間にウイルス感染の可能性を調べることができる。どちらも血液を用いた診断法であるため検体が採取しやすく、採取時の医療従事者などへの二次感染リスクが比較的低いことも特徴として挙げられる。発症後10日以上経過しているCOVID-19患者6例の検体を解析したところ、PCR陽性患者の検体は全例でELISA法、イムノクロマト法とも陽性反応を示した。同氏らによると、この抗体検出法は過去にさかのぼってCOVID-19既往の有無を検証できるため、今後の疫学調査においても有用であるという。 今回の結果を踏まえ、同氏らは「さらに症例数を増やした検討が必要だが、外来やベッドサイドで実施可能な迅速診断法を確立し、精度の向上を図ることができれば、PCR法との併用でより的確な診断、適切な治療を行うことができる。今後は、臨床現場で望まれる形態のキット構築を目指したい」とコメント。COVID-19の血清学的診断法のさらなる改良を行っていく意向だ。*Medical Tribuneの記事を抜粋し、一部改変 確かにP CR検査よりは感染リスクはかなり少ないと思われますが、発症10日以上経過している検体の解析とありますので感染早期の検査としてはまだ不十分かも知れませんが、PCR検査以外での検査が可能になることは朗報かも知れません。