テーマ:エコライフの工夫♪(808)
カテゴリ:フライブルク
フライブルク、エコステーション posted by (C)solar08 もしかしたら、フライブルクの「名所」?の中で、これまで一番たくさんの日本人が訪れたのは、環境教育センター「エコステーション」かもしれません。 日本からの視察団の数が一年に150組だったこともあるほどです。 先日も、去年は増田総務大臣がエコステーションを視察なさったと、こちらの新聞に出ていました。 エコステーションは町の中央からバスで十分ぐらいのところにある、広大な多目的公園、ゼーパーク(湖の公園という意味)の端にあります。 1986年に州の園芸博覧会が当市で開かれることになり、そのためにこの公園が新設されることになりました。 これは、博覧会に来る何万人もの人に環境保護に目を向けてもらうよいチャンスと、ドイツ環境自然保護連盟(BUND)が市に提言して、市の予算でエコステーションをつくらせたのです。 ですから、この施設の所有者はフライブルク市ですが、中身の運営はすべてBUNDの地元支部の職員が州や市の財政援助を受けながらおこなっています。 エコステーションはまず建物が変わっています。 外から見ると丸い丘のようです。屋根には土が盛られていて、春には野草が咲き乱れ、鳥や昆虫がやってきます。南側は窓がたっぷりで日光を取り入れ、北側は土に埋められ、土に断熱をしてもらっています。これはこの地方「黒い森」に古くからある民家の構造を見習ったものです。 外壁は粘土とわらを混ぜてつくったしっくい。 屋内の壁や床、天井の建材は、薬品処理をされていない、地元産のドイツトウヒ。天井には丸太がそのまま組まれています。 壁の断熱材には再生紙のフレークや古コルク、樹皮が使われています。 南側の窓の上には太陽電池と太陽熱温水装置が取り付けられています。 そして、トイレの水は雨水です。 屋内と仕切りやドアの一部は、解体された古い建物から持ってきて、再使用されたものです。 屋内は円形の小ホールを中心に、その周囲にキッチン、事務室などがあります。 市民は公園の散歩がてらに、エコステーションに気軽に立ち寄って、建物を見たり、パンフレットを集めたりできます。 訪れる人はこの建物のさまざまなパーツからアイディアを得て、自分の家にも応用してみることができる、というわけです。 フライブルク、エコステーション前の池 posted by (C)solar08 南側の窓の前には上のような小さな池があります。 もともと水田などといった水場がないドイツ、近頃は自然な池や水溜りも少なくなってしまったので、カエルが生息できる場所がまれになりました。ですから、こうした池が水生小動物のためには、貴重な住み場所なのです。 エコステーションには「ビオ・ガルテン」と名づけられた菜園があります。 ここには中世の修道院から伝わる薬草園(ハーブ園)、パルマカルチャーの菜園、ハーブスパイラル(らせん状に石垣を積んで、いろいろなミクロ気候に合ったハーブが植えられた小山)、柳の挿し木でつくられた生きた緑のテントやアーチ、野生ミツバチが巣をつくれるように、たくさんの穴をあけた木のブロック)、オープンな形のコンポスト(たい肥)などがあります。 エコステーションには授業時間中に、前もって申し込んだ学校や幼稚園のクラスが、ここの専門講師から環境・自然教育を受けにきます。 池の水にすむ小動物を観察して、「一滴の水にもこんなにたくさんの生き物が住んでいるんだ」と自分の目で見て実感したり、野菜を育てたり、ハーブにさわったり、香りをかいだり、食べてみたりします。 エコステーションのリーダーをしている友人は、「子ども(おとなも)が五感をつかって自然を体験できる場が今は少なくなっている。それだから、こういう施設が必要」と語ります。 本やネットで自然のことを頭だけで「知る」のではなくて、実物を見て、さわって、香りをかいで「知り合って」こそ、自然を好きになり、大切にしたいと思うようになるのだと。 中・高校生のクラスの生徒も、ソーラークッカー(パラボラ型の金属の反射板で光を集めて、中央においた鍋や、黒い箱の中においた鍋で)で料理をしたりと、ここで行われる環境教育はあくまで実践的で、手足を使う活動です。だから楽しいのです。 おとなのための講座や催し物もたくさん開かれます。省エネ建築、太陽エネルギーの家庭での利用法などの講演会、ハーブ教室、野草を使ったお料理教室、自宅でのコンポストの作り方教室など、毎年さまざまなプログラムが用意されています。 日本その他の国からやってきた視察団のためのレクチャーもよく開かれます。 エコステーション内だけでなく、こちらから学校に出かけていって、行われるプロジェクトもあります。 その一つは、「学校での健康によい食事」というプロジェクト。 学校児童に健康な食事への意識をもち、地元の食材を知ってもらうために、いろいろな活動をします。野菜の栽培を実際に見たり、自分で栽培・収穫したり、みんなで食事を作ったりしながら、新鮮な野菜や果物のおいしさを体験して、よい食習慣をもたせようというものです。 近くの学校の5年生から8年生(中学2年に相当)のエネルギー係(クラスにおかれている係、省エネのために暖房設定温度を適切にしたり、太陽が照っているときには灯りを消したり、換気を適切にしたりする)のための講座は国連から表彰されました。 実験や見学で、自然エネルギーの利用、エコ農業など、地球温暖化・気候変動をふせぐために、自分たちが日常生活でできることを学ぶ講座です。 日本からの視察客が多かったことから、当然、日本にもエコステーションを見習った施設ができたようです。 エコステーションであくまでも大切なのは、環境についての情報収集とか建物の立派さよりも、そこで自分たちが何をするか、ということ、「箱よりも内容」だと思います。 そして、日常生活でますます自然から離れてしまった子ども(おとな)がここで身近な自然に触れる機会をもち、自然を好きになり、守りたくなることも、大切な要素なのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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