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フライブルク日記

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2009/12/08
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ビーフシチュー
ビーフシチュー posted by (C)solar08


両親はとても節約家でした。
とくに父はそうで、毎日のように「ウチは貧乏なんだから、節約」を口にし、パチンコの景品で生計を立てていると、自慢していました。

話が脱線しますが、父はいちおう、「高貴」なところに勤めていたし、母も教師だったので、パチンコ店に出入することが後ろめたかったようで、店の前で左右を見回して、誰も知った人がいないのを確かめてから入っていました。
当時のパチンコは自動化されていなくて、「指の技」が物をいうところが、父に気に入っていたらしく、自動化されてからは「あんなものは邪道だ」ときっぱり止めてしまいました。

こういうケチ生活ですから、外食などはめったにしなかったのですが、たまに出かけるときは、蕎麦なら神田のやぶ、うなぎなら池之端の伊豆栄、洋食なら上野広小路の「風月堂」か、もっときばるときは上野精養軒と決まっていました。どれも実家から近いところですが、老舗趣味でもあったわけです。

で、風月堂ですが、今では縮小され、大衆化された感がありますが、当時は一階はお菓子売り場と喫茶室(ここのローストビーフサンドイッチは絶品でした。パンがとっても薄くて、やわらかくて、ローストビーフも最高。これ以後、長い人生で、こういうサンドイッチに出会ったことはないです)、二階と三階がレストランでした。

子供のころ、ここで出会ったのがタンシチュー。
弟はハンバーグみたいな、子供らしい食事が好きだったのに、わたしはとにかく肉の塊、「肉を食べたー」って気になるものが好きだったので、タンシチューが大好物になりました。

プレートには、タンの大きなスライスが二枚。その上に、とろんとしたブラウンソースがかかっていました。
このブラウンソースが、いかにもレストラン、というお味なのでした。

母が購読していた「主婦の友」を小学校のときから、あるときはこっそり(
記事の内容しだいです、心に残ったのは、島尾敏雄の「死の棘」にまつわる記事)、あるときは堂々と読んでいたのですが、とくに好きだったのが、付録の料理ブック。

ある月の付録はその名もずばり、「西洋料理」。
これは私のバイブルとなりました。いまでも表紙の写真を覚えています。

この付録にはビーフシチュー、タンシチュー、オックステールシチューなどの作り方がくわしく書いてあって、ブラウンソースのレシピもしっかり紹介されており、小学校五、六年生だった私は、さっそくトライしました。
といっても、牛の筋とか骨からストック(フォンド)をとるまではしませんでした。この付録レシピにも書いてなかったので。

牛タンや牛テールやビーフの塊を、玉ねぎや人参やセロリ、ローリエなどといっしょに弱火でことことと柔らかくなるまで煮て、このスープで、バターで茶色くなるまでいためた小麦粉を伸ばして、ソースとしました。子供心の独断で、たいせつだと思ったスパイスは、クローヴ。これこそがレストランの味、だと勝手に決めていました。

母が肉屋さんに、牛タンを注文してくれたので、たまーにですが、こういう「洋食」を作ることができて、幸せでした。

さてさて、先週、フライブルクの街中にある、ミグロというスイス系のスーパー(肉が良いことで評判)で、この辺の地域で育った牛の赤身の塊がセールの対象になっていました。
なんと1キロ、8,90ユーロ(1200円ぐらい?)。私は800gくらい買ってきました。

これを赤ワイン(水使わず、ワインだけ)、玉ねぎ、人参、ポロネギ、ローリエ、胡椒粒、塩とともに、圧力鍋で一時間、やわらかくなるまで煮ました。

さて、ソースづくりなんですが、小麦粉を茶色くなるまで炒めるのが面倒。それにバターでまたまた太る。

それで、肉をとりのけたスープをまずブレンダーでミックスし、これに醤油、ウスターソース、トマトペースト、クローブ、マージョラム、エストラゴン(たまたまあった)、カシスのジャム!(ジャムは大切、味がちょっと甘くなって)、クリームちょっぴりを混ぜて煮込み、コーンスターチでとろみをつけてしまいました(ここが手抜き)。

でもね、手抜きコーンスターチがわからないほど、子供時代の「レストランの味」に近づけたの!

ここ、南西ドイツでは、レストランでタンが出されることはあまりないのですが、前に何度も書いた、ゲーリッツ(旧東ドイツの、ポーランドとの国境にある町)ではどこのレストランでも出されていて、この町に行くたびに、懐かしのタンシチューを飽きもせずに毎日食べます。

ブラウンソースからパチンコまで思い出してしまった。





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Last updated  2009/12/08 08:33:49 PM
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