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テーマ:映画館に行こう!!(370)
カテゴリ:映画レビュー(☆☆☆★★)
![]() モーリス・センダック原作。1963年の出版以来、今なお世界中で愛され続ける「20世紀最高の絵本」を、鬼才・スパイク・ジョーンズが映画化。 昨今のハリウッド映画にしては珍しく、銃でドンパチも、セクシーなお色気シーンも登場しない、完全児童向け作品。しかも、ピクサーやドリームワークスのようなCGアニメではなく、あえて実写で本作の世界観を表現しようと試みた制作スタッフ全員に、まずは敬意を表したい。 さて。原作が超ベストセラー絵本という事もあり、大人の視点から観れば不条理に感じる部分も多く、人によっては「意味が分からない」と切り捨てられかねない内容。しかし、角度を変えると、幾通りもの見方が出来てしまう文学的構造は、伊達に半世紀以上売れ続けているわけではない、といったところか。 登場する「かいじゅう」達は、ちょうど主人公のマックスと同じ、8歳程度か、少し上ぐらいの思考能力と語彙しか持ち合わせていないように見える。無邪気に踊ったり、気に入らないと愚図ったり、相手の気を引こうと暴れまわり、それでもみんなと仲良くしようと頑張ったり。 そんな「かいじゅう」一人一人(?)は、実はよく見るとマックスの内面を映し出しているようにも見え、同時にマックスを取り巻く環境にも見える。自分に構ってくれない姉と母親に、見知らぬそのボーイフレンド。どこかへいってしまった父親。幼いマックスにとってそれらは、きっと得体の知れない「かいじゅう」のように映ったに違いないが、いつしか自分の中に、彼らと同じような「かいじゅう」が潜んでいる事に気づき、ほんの少しだけ大人になる。 若干ネタバレになってしまうが、「かいじゅうのしま」を後にする彼は、結局なにもしていないように思える。そうではなく、彼は「かいじゅう」たちと触れ合う事で、はじめて自分自身と向き合い、と同時に、いつまでもここには居られない=いつまでも子供のままではいられないと覚り、元の場所に帰る決意をしたのだと、小生は思う。 人によっては「あの『しま』は、本当にあったのか。それとも、マックスの空想か夢の世界か」と疑問に思うかもしれないが、実はそんな事は、大した問題ではない。重要なのは、あの場所は子供の、それもある限られた時期にしかいられない場所であり、一人の少年がそこから自分の足で旅立つ事である。 帰って来たわが子を愛おしむように眺めつつ、知らぬ間に眠りに落ちる母。その姿を、ただ黙って見つめるマックスのラストカットに、そんな本作のメッセージが集約されている。そう思うのは、小生だけだろうか。 …まあ、高卒低収入の小生ごときでは、この程度の考察が限界なのだが、それでもあえて、一つだけ苦言を呈させていただく。 加藤清史郎くん、キミ働き過ぎ(笑)。 いや、カワイイのは分かるし、子役の旬が短いのも理解してはいるものの、失業率5.1%(2009年11月現在)の我が国で、なぜ8歳児があんなに働き詰めなのか。全く持って矛盾しとる。 しかしこのままで行くと彼は、近い将来過労で吐血するか、キャバクラ通いでストレス発散するダメ人間になってしまうんじゃないかと、他人事ながら心配してしまう。どうか、周りの大人がしっかりサポートし、間違ってもおかしなクスリに手を出した挙句、ホステス見殺しにして逃げ出すような最低な人間にだけはならないよう、務めていただきたい。 それにしても、おそらく半年前までの小生なら「なんかよく分からん」と一蹴していたであろうけど、「マイマイ新子と千年の魔法」を観ていたおかげで、ちゃんとした(?)レビューが書けた。大袈裟でなく、「マイマイ新子」を観てから、映画の見方が大きく変わってしまった。まったく恐ろしい映画だ。 だから「またかよ」と思われようが、なんと言われようが、観られる環境の人は、迷わず観とけって!!ついでに上映存続署名もお願いしますって!!こうなりゃワーナーブラザーズと平成維震軍との、全面戦(以下略)。 …なんの感想だ?まあともかく。我が国にはガチャピン、ムックという偉大な着ぐる…ゲフンゲフン、もとい、「かいじゅう」の先人がいるので、目新しさは感じないかもしれないが、ビジュアルを観ているだけでも、充分に楽しめる作品。 こういう映画がもっと作られたら、意外と世の中、もっと平和になるんじゃないか?なんて思いながら、小生の、この映画に対する評価は…、 ☆☆☆★★ 星3つ半!! ![]() 【ポイント10倍】かいじゅうたちのいるところ ![]() かいじゅうたちのいるところ-オリジナル・サウンドトラック ![]() 世界絵本箱DVDセレクション かいじゅうたちのいるところ[全3話](DVD) ◆20%OFF! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
January 21, 2010 06:45:57 PM
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