寂しい金魚/花郎藤子
無為な日々を過ごす女子校教師の八尋匡は、教え子の柴崎沙耶とその恋人で下っ端ヤクザのヨシに騙され、大病院の院長である沙耶の父親を恐喝した罪を被せられた。組にとらわれている沙耶を取り戻そうとする八尋だが、カラスと呼ばれるヤクザ幹部・新堂九郎のとある計画のため、組の売春婦たちと同居させられることになる。売春婦の一人とともに逃亡を企てる八尋だが、失敗し、その罰として新堂に抱かれ囚われの身に…。花郎さんといえば、『黒羽と鵙目』シリーズが代表作ですが、そちらのほうは途中まで読んだ後、未読本の中に埋もれてしまっています。じっくり読もうと思ってのことだったんですが、次にページを繰るのがいつになるやら、わかりません(笑こちらの本のイラストは佐々さんが担当されていて、表紙も金魚がゆったりと泳ぐ綺麗な拍子になっています。が、お話のほうは生易しくはありません。主人公八尋がヤクザ新堂にはめられ、恐喝の罪を被せられるところからお話が始まり、なぜ新堂が八尋をはめたのかわからず、頭の中に?をいっぱい浮かべながら読み進むことになります。主人公にとってもそれは同じで、また教師という立場から肝心の女生徒柴崎と話をしようとするのですが、そこへ江田と名乗る男が現れます。江田は娘を誘拐したとされる八尋に制裁を加えるべく柴崎の父親がよこした駒で、新堂にとって八尋は江田を釣るためのエサであったことがわかります。江田の捕獲に失敗した新堂は、再度の捕獲のチャンスを狙うため八尋を所有するマンションの一室に閉じ込めたが、同居していた売春婦たちと逃亡を企てられたため自宅へ住まわせることにする。新堂はなぜ女生徒を使って江田を捉えようとするのか。その答えを探るため八尋は新堂の過去を暴こうとしていた。。。というスジですが、新堂に絡んでいる登場人物が比較的多くしっかりしたお話になっています。誰もが口を固く閉ざしてしまい、なかなか明らかにならない新堂の過去。八尋が最後にたどり着いたのはとても悲惨な幼い兄妹で、読んでいて胸がいたくなりました。復讐ものになりますがありがちな話ではなく、八尋と新堂の二人は関係しましたが、新堂が八尋に愛を感じてるかどうか読み終わっても微妙だし、ヤクザとしての仕事の一環として新堂は女性とも絡んでいます。後半の復讐シーンは容赦がなく、幼児虐待、流血、輪カンがダメな方は無理な作品です。。。