これ以上の宝物はなかった
みなさんは、どうかわかりませんが、私は、子供が大好き、子供と遊ぶのが大好きなのです。でも、最初からそうだったわけではありません。幼児を抱いて歩いたことありますか?子供が小さい頃は、腕に抱いて、近くの山を歩きました。寒いときも、暑いときも…週末になると二人だけで。子供の運動の為にと思い立ったのが、1歳半の、もう12月で、着膨れ気味の息子と、枯れ野を行くのは思いのほか楽しいものでした。子供は疲れると、何の心配もない顔を見せて、私の腕のなかでスヤスヤと眠りました。雪の降る日々が過ぎ、やがて春になり、山々が芽吹き、一斉に花が咲いて夏には、山は青々と繁りました。それを見ながら、息子と一緒に、飽きもせず出かけたものです。あちこちの公園にも出かけて、日が暮れて真っ暗になるまで遊びました。子供の姿を見かけると、うれしい気分が吹き上がってきて、ついつい、どうしようもなくニコニコしてしまうことがあります。3歳になった頃、「お年はいくつ」と聞くと、「みっつ…」と言いながら、指をひとつ、ひとつ伸ばして、みっつ揃うと顔を上げ、ニッコリ笑って、その手を見せてくれたものです。それから、毎年増えることに戸惑いながらも、ひとつづつ指の数が増えてきました。ほんとにいろいろとありましたが、子供が伸ばす指の1本1本に、たくさんのことが刻まれているような気がします。赤ん坊だった子も、今では小学3年生。だんだんと、すべてが、今では遠い思い出になろうとしています。子供たちがもう遊ばなくなったオモチャが、部屋の隅に山のように積み上げられて。私のすばらしい思いでも、きっと、その中に一緒にあるのだと思います。むかしのようには触れることができなくなってしまった、たくさんのものたち。でも、そうなるのは時の流れですから、仕方ありません。今でも、子供と遊ぶのは好きデスヨ、もちろん…。まだまだ、一緒に遊んでくれます。それを楽しみたいと思うと同時に、もうすぐ、子供時代が終わることも考えます。手をすり抜けていくような輝き、きらめき小さな笑い声やさざめきすべての喜びへファムレウタ(子守唄)をおくりたい