|
テーマ:読み聞かせ(296)
カテゴリ:読みきかせ
童謡には「つみあげうた」というジャンルがある。代表的なのはマザーグースの「これはジャックの建てた家」。これはジャックの建てた家→これはジャックの建てた家に住んでる猫→これはジャックの建てた家に住んでる猫の追いかけた鼠…と続いていくタイプの歌。
字面で追うと、案外こんなものかとつまらなかったりするのだが、童謡は声に出してなんぼです。特にくりかえしの面白さというものは。うちの小学生たちも、つみあげ歌大好き。読んでいくうちに聴き手といつの間に大合唱になるのがつみあげ歌の楽しいところで、この風景は自宅でも幼稚園でも学校でも同じ。 この絵本はアメリカの農場に住む女の子のためにパパがつくるアップルパイをめぐるつみあげ歌で、少しずつ少しずつ薄皮を重ねるようにパイの生成過程が語られ(もちろん林檎はパパが育てたもの)、やがては地球賛歌へ。地球の恵みがパイに凝縮されてるんですね。最後の最後はそれまでうらやましそうに匂いを嗅ぎ遠くから見詰めていた農場の動物たちと一緒にパイをいただき、見事な大団円、ハッピー・エンド! 翻訳は谷川俊太郎なので、安心して詩を楽しめます。マザーグースの翻訳でも大きな仕事をしている谷川さん、創作つみあげうたの仕事にも傑作絵本『これはのみのぴこ』があります。こちらは楽天では一時的に品切れのようですが、需要を考えれば当分絶版にはならないはず。欲しい方は別のお店を使うなり取り寄せを頼むなりしてください。 アップルパイのほうはと言えば、画家のビーンはこれがデビュー作。バージニア・リー・バートンとワンダ・ガアグが好きな農場育ちということで、ええ、いかにもそういう絵です、3人の中ではいちばんあったかい感じ。学校の教室で読むにはちょっと後ろのほうの子が見づらいかな。なるべく前に寄ってもらえればなんとかなるかも。『100まんびきのねこ』を読むときの感覚でその辺りは測ってください。詩は『しろくまくんのながいよる』のトンプソン。07年に作られた新しい絵本です。 パパがやいたアップルパイ これはのみのぴこ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.11.13 21:04:57
コメント(0) | コメントを書く
[読みきかせ] カテゴリの最新記事
|