「男はつらいよ」劇中挿入曲、楽譜掲載など
『ユコタン音楽シリーズ』松竹映画「男はつらいよ」第9作「柴又慕情」(昭和47年、1972年8月)ラストシーン近くの音楽から、楽譜掲載。2020/10/03開始。「男はつらいよ」シリーズ複数の作品中で聞かれる曲だと思うが、本作では、高見歌子(吉永小百合さん)が、夜の題経寺境内で、結婚の決意を寅次郎に語るシーンに流れる。ここでは二曲流れ、特に二曲目は、「歌子のテーマ」と言える上品で親しみのある旋律で、のちの第13作「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ」では、物語半ば近くからひんぱんに流れて、物語に見事に溶け合い、薄幸の美女・歌子の愁いと麗しさの描出に、効果的に使われて、感動的でさえある。ただし、今回は前半に流れる一曲目を掲載する。この曲も、本シリーズでは相当多くの作品のバックに演奏されて、寅次郎の物語にとって欠かせない存在感を与え、味わいある名曲と言えよう。私は、まだビデオと呼ばれるものがDVDではなく、VHS磁気テープだった頃に、コピーガードというマニア泣かせのダビング妨害機能も全くなかった松竹ホームビデオ(のち、強力なるコピーガード付きとなる)を無論、レンタルで持ち帰り、せっせと録画したものである。なお、コピーガード付きとなって以降は、所有せる安物のコピーガード除去機では不完全で、確かレンタル・ビデオ店の別途サービスとしての「ダビング」を頼んで代金を払った記憶がある。レンタルビデオの「男はつらいよ」シリーズ新作が出るたびに借りて次々にダビングし、ズラリと棚に並べたものだが、リリースされるシリーズ全作そろうまでに、やや時間がかかったはずだ。ダビング作業が最も楽しかった3,40代だった。もちろん、この作業は現在、特別な技術を持つ人でなければ、少なくも私如き素人には不可能となった。かつては市販品でさえ、ダビングは楽々と出来たのだ。今、私のような素人に出来るのは、一旦録画保存したハードディスクから、ビデオ・ディスクに移動という形で行なう作業だけである。そして今やかつての『ビデオデッキ』は機器も一新され『レコーダー』と呼ばれるようになり、便利な機能が標準装備されるようになった反面、素人が容易に接続操作出来なくなった。VHSテープは磁気テープが切れやすい欠点はあったものの、今のビデオ・ディスクのようにディスクに傷がつくなどによる『非対応』になるようなことはなく、切れた箇所をつなげば、そこだけ画像の不自然を承知すれば、前後は従前通りであり、せっかく録画した画像を全く見られなくなることはまあなかった。この点、今のDVDはつまらない。我が家には、たまたま生き残ったVHSビデオデッキが二台あり、確かに普段の番組録画は専らDVD-Rとレコーダーで行なっているが、それとは別に今、かつてのVHSテープをテキトーに選んで再生して見ている。その中の何本かが「男はつらいよ」シリーズで、全部で40作以上を録画保存してあるが、ハッキリ言って寅次郎が恋の指南役として登場する頃からつまらなくなり、40作目前後の作品はまず見ない。さらにマドンナが一人際立つ女優の起用で登場する頃と比べて、準マドンナあるいは三枚目マドンナと呼んでいいかどうか、そんな女優が登場し、本来のマドンナがかすむような描き方に変わる頃の作品を避けて見るようになったことを思い出すと、まことに勝手ながら、興味を以て見られるのは、実はごく一部となる。作品群から絞ろうとしても、第何作以降と言い切れるものでもなく、例えば第32作「口笛を吹く寅次郎」(昭和58年、1983年12月)は、寅次郎が初めてマドンナ(竹下景子さん)から恋情を告げられたと思しき場面があって、モテぬ男の一人としても、強く印象づけられた作品である。「寅のほうが、マドンナにほれられた ! ホントかよ ! ? 」という思いで見たものだ。ついでながら、『とんじょ』こと『東京女子大学文理学部』という名門を卒業した竹下景子さんにも、さらに好感を持った次第。そんなこんなで、気まぐれなファンとして、本作を録画保存したものだから、熱のさめるのも早く、VHSテープはほこりをかぶったまま何年もほったらかしておいた。ただ、この映画に対する思いには、物語そのものに対するもの以外に、劇中流れる音楽への強い興味があり、特に挿入曲の幾つかは今に強い印象を残すものとなっている。そのうちの一つが、今回扱った言わば「さくらのテーマ」である。このタイトルそのものも、正しいかどうかの根拠はなく、You Tubeのコメントで、「詳しい人だ」と直感した方(かた)の情報を頼ったに過ぎない。この方は「男はつらいよ」テレビ・シリーズから音楽のことを指摘していたので、あるいはと思ったのだ。あまたの作品からこの曲をさぐるのはいかにも大変そうなので、たまたま見た中から、記録することにした。目下、確認出来たのは、第9作以外には第5作「望郷篇」(マドンナ・長山藍子さん、昭和45年8月)、第22作「噂の寅次郎」(マドンナ・大原麗子さん。昭和53年、1978年12月)しかないが、第22作ラスト近くに、マドンナ・水野早苗(大原麗子さん)へ宛てた寅次郎のハガキが映るシーンあたりから、汽車を待つ寅次郎のシーンぐらいまでに流れている。長く使われているだけあって、そのしみじみしたものを感じさせるメロディーからも、シリーズ中屈指の名曲と言えようし、主題曲以外で最も印象に残る曲である。なお、ひとこと憎まれ口をたたいておくと。山本直純氏は、クラシック音楽を広めようと活躍した立派な作曲家だが、「男はつらいよ」シリーズ中、いくつか使われたクラシックは、私にはなじめない。例えば第9作「柴又慕情」で、寅次郎が歌子たちと旅行を共にする和気あいあいたるシーンに、突然クラシックが流れる。だが、この瞬間、映画の持つ味わいは消し飛び、無理に挿入したクラシックが流れるあいだのシラケたムードにどうにも耐えられない。山本直純氏の音楽は、シリーズ用のオリジナルだけで既に、見事な名曲ばかりであるから、クラシックをはさむ必要なし。・・・・・・・・・・夕子「あらあら、憎まれ口は健在ね。まぁ、一言居士を自称するくらいだから、仕方ないか。ま、正直あたしは、ほめるブログはずっとほめ続けて欲しかったけど・・」(この女(ひと)無類のクラシック好き)村松「そうかぁ・・」夕子「ちょい待ち ! 」村松「え ? 」夕子「全体にこの映画や山本直純さんを称えているから、いいんじゃない ? 」村松「あぁ、そお・・・」夕子「実際のところは・・・なぁんて野暮なこと聞くのよそうか」村松「そういえば、夕子はこの映画自分からすすんでは見ないよな」夕子「きらいじゃないけど、熱心なファンが見るようには・・ってとこね」村松「なるほど。でも、東宝の戦争特撮映画には、凄まじいスピードで夢中になったんだよな」夕子「軍事外交思想が、あなたとピタリ合ったんだもの。あたしは、まあ場所によるけど、『太平洋戦争』なんて言わないもの」村松「『大東亜戦争』か。よくぞ言った」夕子「この戸沢白雲斎がほめてとらすって言うんでしょ」村松「もはや、懐かしい ! 似た会話ブログいつだっけ ? 」夕子「さすがの私も忘れた。何しろ今年はおバカなコロナ騒ぎで、みーんな洗脳されてたからね。せっかくの生活のリズムが狂わされたわよ」村松「ホント。でも、夕子のこと見なおした」夕子「洗脳されてないって ? 」村松「うん。夕子もネットのデータ発信なんか、ちゃんとおさえてるんだもん。俺、実は不安だったんだ」夕子「ああ、コロナを恐れてるんじゃないかって ? 」村松「いや、夕子のオツムの涼しさは確信してた。けど、対外的に」夕子「ああ、仕方ないよね、世間に対してはね。マスクするし」村松「夕子とのコロナおバカ騒ぎの話、ブログにしたら、面白そうだけどね」夕子「未確認情報ってことにして、脚色して言うけどね。私のような者にもPCR検査それ自体は可能って知ってる ? 」村松「え ? 」夕子「あなた、一昨年入院中に風邪引いて、鼻の奥に細い管を入れる検査受けたって言ったよね」村松「うん。あれは薬剤師がやったように記憶してる」夕子「ただ、法律があるから、一定のルールは守るけど、ズバリ私にも出来るの。この先、会話カットね」・・・・・・・・・・村松「夕子、スゲエなあ。というより、あのむつかしいウイルスの抗体とか免疫の話って、夕子もわかるんだ」夕子「ええ、一応ね。もうひとつだけ話すとね、うちの会社ではへたにPCR検査受けるなって風潮だったの」村松「夕子の会社、スゲエなあ」夕子「夏風邪だって、引く時はどうしたって引くしね」村松「もしかして、風邪っぽい感じがあったとか」夕子「今度のウイルスは弱毒性で、無症状や軽症が多かったから、ほっとけばだいたい治ったのよ」村松「じゃあ、夕子は・・・」夕子「フフフ。その中にわたしはいたかしら ? 」村松「ふははは。おぬしのくノ一(くのいち)忍法も、そこまでだな。そのような話に俺が臆するとでも思うたか ! ? 」夕子「へえー。恐くないの ? 」村松「何ぞ恐るることのあろうや ! 」夕子「むむ ! なぜそう思える ! ? 」村松「それについては、残念だが会話カットゆえ、不承するのほかない」夕子「さすが、あなたね。無駄に数十年付き合ってないわ」村松「ならば、負けを認めたか ! 」夕子「何 ! ? わたしの負けだとぬかすか ! 」・・・・・忍者会話中止・・・・・村松「ふうー。長い間のストレスがかなり解消出来た。俺の周りも例外の人を除いてテレビしか見ないバカばかりだったから」夕子「ふふ。でも、寅さんのムードはかなり薄くなったわね。そろそろ楽譜載せたら ? 」村松「了解。よーそろー」★補遺★夕子「先のことはわからないけど、もし次の変異型が来るとしたら、自粛、つまり無菌培養に徹底すればするほど、今度は恐い場合もあり得る」村松「あ、ウイルスか」夕子「ウイルスに大勢(おおぜい)をさらすようにしないと、免疫が作れないからね。だから文系ばかりのテレビ報道はイヤなのよ」村松「ところで、今回も楽譜書いてくれたことへの感謝を示す会話が余りないから、申し訳ないよ」夕子「気にしないで。だってズバリあなた一人じゃあ、音符に自信がないんでしょ ? 」村松「うん」夕子「でもね、あたしだけがいきなり始めるのでなくて、あなたの書き取った音階を楽譜におこす作業にするとね、確認が出来るから、ミスする惧れを減らせるのよ。一つ提案だけど・・」村松「ん ? 」夕子「楽譜完成までのプロセスそのものをブログネタにして、ドキュメントみたいに残すっての」村松「お、いいね ! 早速、下書き出来る」夕子「良かったね」村松「でも、今回のは、音符に自信がなくて、ホントに参った。助かりました」夕子「ううん。もしも本物の、山本直純さんのスコア(楽譜)があったら、あたしのとの相違が明らかになるから、こわいのよ」村松「ふうん。俺が見た限りでは耳で聴いたのと合ってたけど・・、むつかしいんだなぁ。でも、やっぱり助かりました」「男はつらいよ」シリーズから『さくらのテーマ』楽譜