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2003.12.05
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観光バスのガイドさんというのがある。私はバスなどのツアー旅行は趣味ではないが、子供の頃、学校のバス旅行などで数々のバスガイドのお姉さんを見て、その話し振りを聞くのが楽しみの一つだった。
又、少年だったせいか、そして早熟のけがあったゆえか、私はだいたいどのガイドのお姉さんも、水準以上にきれいに見えたことが印象に残っている。現に容姿端麗な女性もいたに違いない。

何よりその独特の抑揚で語られるあの案内・説明の口調が好きで、子供心にこの仕事は貴重だと思ったものだ。ただし、我々子供を相手にするガイドさんたちは、いかにもお姉さんが年下の児童らに接する口調にやや変じていたので、一般客相手の例の独特の話し方にまでは徹底していなかったと思う。

相当に訓練され、又経験がものを言って余裕あるガイドさんたちが多かったのかも知れぬ。いずれのお姉さんも、我々子供に語りかけるように、終始微笑を絶やさず、しかも要所要所では見事によどみない説明口調で、飽きさせぬどころか、完全に私たち田舎者の子供をリードし、聞き入らせた。

中学ぐらいになると、口調はやや一般客に対するものになっていた。これが又心地よく耳に入る。一般に対してはこんな具合だろうか。
「皆様、本日は当、酒気帯び横転観光バスをご利用下さいまして、誠にありがとうございます。当バス、予定通り出発致しまして、目的地に向かって参りますが、途中その都度名勝・風景などご説明させていただきます。なお、当バス運転手は郷田土左衛門、ガイドは私、色魔ブス子が務めさせていただきます・・・」

この観光バスガイドさんの独特の抑揚、のちにある者たちの話し方によく似ていることに気がついた。もし私が普段の会話でこの調子でことごとくしゃべったら、恐らく多くの相手が無気味に感ずるのではないか。

「初めまして、わたくし村松と申します。本日はお招きに預かりまして、誠にありがとうございます。では、失礼しまして、お邪魔させていただきます、ヨイショっと。あら、ごめんなさい、うっふーん」とまでは言わぬものの、聞かされた相手はやや後ずさり気味になるのではないか。

これを、これに近いことをある店で応対されたと想像すると、ややわかる。現につい先日あった。薬屋さんである。
のどが荒れているので、スプレー式のを二箱と、ついでに常備してある習慣の胃腸薬を買おうと、レジへ持っていった。

私がごく普通に「これをお願いします」と頼むと、どこから現われたか、たちまち言葉遣いていねいで、優にやさしい男子店員が穏やかなる口調で応対してくれた。
「いらっしゃいませ」
「あの、カード一括でお願いします」
「かしこまりました。カードお預かりします。少々お待ち下さいませ」
「カードお返し致します。お手数ですが、ここにサインをお願い致します」
いつも通りフルネームでサインすると、とはならない。この店、サイン不要に整えてある店で、私が「サインは書かなくていいのですか?」と問うと、

「ええ、結構でございます。何の何やらのために云々・・・」とよどみない説明があったが、何としゃべったのかは覚えていない。独特のバスガイド式イントネーションに関心がいっており、又、これは多分私の思い過ごしだろうが、時々私に対して視線を上げて、チラと見つめる様子が、違和感あるも必ずしも不快ではなく、私も合わせて視線に応え続けた。
「どうもありがとうございました、なお、むにゃむにゃ・・・」と再び何か付け加えていたようだが、何をしゃべっているのかわからず、やはり優にやさしい言葉遣いばかりが終始印象に残ったので、いつも通り「どうもお手数かけました」と言って、立ち去った。

不思議なことが一つあった。いつもならそのまま店外へわき目もふらずスタスタ歩いて、バイクのバッグに品物を入れ、シートにまたがるのだが、この日に限って、栄養剤、その他例えば体脂肪を燃やすエネルゲンなどの商品に目がゆき、しばらく「たまにはこういうものも買って試してみようか、それに運動不足だしな」などと思いながらおびただしい商品の数々に見入ってのち、ようやく店を出た。

帰宅後、すぐには買ったものを開けないのが習慣で、寝室に置いて、アトリエへ直行、鉄人模型作りかけに向かった。今回は頭部造型がやや困難で、とがった鼻の取り付けにやや失敗し、かなり無念の思いが残ったが、もはや壊してまで取りかかりなおす気力も出ず、寝室のベッドに横になろうとした。

この時、「そうだ、きょう買った薬を袋から出しておこう」と思い立ち、のどのスプレー二箱を確認したが、もう一つ買ったはずの胃腸薬が見えない。おやと思ってよく見ると、胃腸薬でなく、何とリポビタンが一ビン入っている。まずいなと思いながらも、リポビタンを取り出すと、その下から件の胃腸薬がひょっこり姿を現わしたので、ホッとすると共に、何やら不思議な感覚にとらわれた。

もしや、店員が何やらむにゃむにゃ言っていたのはこのことだったかと推量しながらも、何を話したかは全く思い出せず、それより、私が帰り際なぜか立ち止まって、しばしながめた各種栄養剤の風景と、今手許にあるリポビタンとが重なった。シンクロニシティ(共時性)という心理学の巨人・ユングの画期的な説を思い出した。偶然の一致は偶然にあらず、必然の因果がもたらす不思議な現象だという説である。
店員は、妙に優しい話しかたと共に、あっというまに私が気づかぬうちに、サービス品として、リポビタン一ビンをサッとばかりに袋に入れてくれたのである。

ここで更に私は、学生時代、ジムで知り合った日本拳法名手が通うという道場へ案内された経験を思い出した。
当時私は大学のクラブで少林寺拳法しかやっていなかったので、荒技の一つと聞いていた日本拳法にいたく興味をひかれ、あとについて行って、道場のけいこ風景を見学した。

そのうち、師範代と称する一人のいかにも紳士的な人が近寄って来て、「どうも見学においで下さってありがとうございます」と、かけ出しの若造に対してこれまた優にやさしい口調であいさつするので、恐縮してあいさつをていねいに返すと、「よろしかったら、私共のけいこを少しおやりになってはいかがですか?」と勧められたので、やや怖気づいたものの、興味が先にたち、また言葉遣いの優しさにも少し安堵して、「お願いします」と一礼して師範代と相対した。

「どうぞご自由に技を使って下さい」とまたもていねいにおっしゃって下さるので、拙い限られた技を出してみた。私などが相手では赤子の手をひねるに等しい。
彼は気をつかって軽い回し蹴りを飛ばして来た。私はようやく形ばかり覚えた外受けという姿勢をとってこれを受け、引き下がった。そこへすかさず、
「あ、今受けたあと、後ろへ引き下がりましたね。でも、それでは流れるような攻防が止まってしまってもったいないです」と言って、門弟の一人を呼んだ。

「いいですか、あなたが今やったと同じ形を再現しますので、そのあとの攻防をよくご覧になって下さい」あくまで穏やかな言葉遣いだ。
「うりゃ!!」弟子に対して突如目にも止まらぬ回し蹴りが飛んだ。横で見ていてもこれであるから凄い。言葉遣いとは全く裏腹だ。
門弟は私と似た型でこれを受けるとほぼ同時に、師範代の彼に、強烈な下段回し蹴りを放った。

「どうでしょう、おわかりになりましたか? こんなふうにするのよん、うっふーん」最後のほうのセリフうそ。でも、話言葉になると再びガラッと変わって、失礼ながらまるでおか〇みたいだ。世の中恐ろしいものだと又も思い知らされた時だった。更に師範代は、「もう少し長めにいろいろご覧に入れますから、よく見ててねえーん」とでも聞こえそうなほど、穏やかに私のほうを向いてから、門弟相手に組み手を始めた。

なお、日本拳法では特殊な防具をつける。師範代がいきなり高い回し蹴りを放って、これを門弟が受け、と同時に門弟が下段回し蹴りを返すと、師範代はこれを足をヒョイと上げて空振りさせ、残る片足でピョンと飛び上がって、先ほど浮かした足で、空中回し蹴りを門弟に浴びせる。ヒョイとかわした門弟が、師範代が着地する瞬間を狙って胴に対し突進し、「ヤアー!!」と渾身の突きを入れる、と見た瞬間、師範代はこれを手で払ってかわし、門弟顔面の防具に強烈なひじ打ちを見舞って、これがヒット。このかん、およそ十数秒足らず。

ここでいきなり私のほうを向いて、口調元に戻り、「いかがでしたか、攻防にあいだをおかずに次々お互い技を出し続けるのです」
「恐れ入りました。でも、ここまでになるには、相当組み手をやらないと、もちろんカンが身につきませんですね」
「いえいえ、あなたも何度かごく普通に組み手練習をやり続ければ、きっと流れるような組み手を会得できますよん、うっふん」。これも最後はうそだが、言葉はあくまでていねいだから、つい、作り話を書いてしまう。

しばらく見学させてもらったあと、私は正座し、「ありがとうございました」と手をついて一礼し、頭を上げた。すると、「こちらこそ、わざわざご覧下さって、感謝に堪えません。ぜひ修練なさって、強くなられることをお祈りしています」と、私よりていねいな姿勢で正座して礼を返してくれた。

帰り際、私は問うてみた。「先生、失礼ですが、これだけお強いと、武勇伝の数々もおありと察しますが・・・」
「いいえ、私は一度もありません。そうですね、お役に立つかどうか自信はありませんが、胸を張って、やや微笑をたたえるように外を歩けば、たいてい危険なめにあうことはありません。よく、目つきを鋭くして猫背で歩く人がいますでしょう。あの姿勢はよくないですね。余り楽しそうにニコニコして歩くのも変ですが、悟られない程度の軽い笑みをたたえて歩くと、よろしいと思います」。どこまでも穏やかに振舞う、実は数人のならず者を転瞬に葬るに違いないこの師範代の底知れぬ強さを想像して、むしろあとでゾッとなった。

世の中本当に広い。薬局の物腰低い店員さんの話を書くうち、又も拳法関連の記憶がよみがえった。なお、師範代は日本拳法五段だとあとで知った。おお恐い。なまじっかのへぼ拳法滅多なことで使わざるべしと、改めて肝に銘じた。






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最終更新日  2003.12.05 16:59:52
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