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ヴィーテ・イタリア高岡(Hiruccio)のイタリアワイン&主夫日記

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2008/07/27
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カテゴリ:ヴィーテ上級大阪

ナトゥラリス・ヒストーリア[2000]/マストロベラルディーノ


マストロベラルディーノが伝統派の大御所として現在も
君臨しうるのは、このナトゥラリス・ヒストーリアを
トップワインとして醸造する、「大きな賭け」に挑戦
しているからに他なりません。


ピエモンテのどこに「伝統」を標榜しつつ、フレンチ
オークで蔵内がいっぱいになるワイナリーを我々ワイン
ファンに顕示しえるでしょうか?


トスカーナのどのワイナリーに、伝統ブドウしか醸造
しません!と断言できるリーダー的ワイナリーが存在
するでしょうか?


伝統は、常にその殻を打ち破りつつ、常に新しいものを
受け入れつつ、伝統として、古典文化として我々の今の
生活に溶け込んでいきます。


マストロベラルディーノの戦略はまさにその王道を行く
ものと言って良いでしょう。


ナトゥラリス・ヒストーリアは、イルピーニアIGTと
して出発しながらも、最新ヴィンテージ2003年では
タウラージDOCGとしてマストロベラルディーノの
フラッグシップたるワインになっています。


そのつくりは何と、フレンチオーク熟成24ヶ月、瓶内
熟成12ヶ月というツワモノ。


いわば、スーパーカンパーニアと命名しても良いくらいの
モダンワインなのです。


面白いことに、このモダンワインの名前「ナトゥラリス・
ヒストーリア」とは、ラテン語で直訳するなら


    自然の話


となるそうですが、これは明らかにローマ帝政時代の
軍人にして博物学者であった



   大プリニウスの「博物誌」


のことです。


プリニウスの博物誌(全3巻)


人類最初の百科事典ともいえる膨大な書物ですが、では
なぜ、この北部イタリアで生まれたプリニウスの著作を
このワインの名に冠したのかという疑問に行き当たります。


実は、このプリニウス、ヴェスヴィオ火山の大噴火のとき
ナポリ近郊の港ミゼーノに地中海艦隊の司令官として駐留
していたんですね。


プリニウスは軍人としての救助活動で火山に近づくのですが
この時に病死したとも、火山調査で避難し遅れ被災したのだとも
言われています。


ヴェスヴィオ火山のお膝元ともいえるマストロベラルディーノ
が、新しい方向性、つまりはモダンワインの最先端の醸造を
始めるにあたって古代の歴史上の偉大な人物、文芸に着目するのは
当然の成り行きにも思えます。


大プリニウスの「博物誌=ナトゥラリス・ヒストーリア」は
まさにそんなワイナリーの決意表明の現われとも取れるのでは
ないでしょうか。



つまり、大プリニウスが、ありとあらゆる事象に関して
詳細な見聞、考察を加え、世界を理解しようとしたのと
同様に、マストロベラルディーノは、カンパーニアのワイン
醸造を通して、その歴史、カンパーニアのアイデンティティーを
守り、再評価し、発展させよう、ということでしょう。


ローマ時代の大著作を持ち出すあたりは、いかにも
権威主義的という見方も可能でしょうが、大上段に
構えたからには、その大きく振り下ろす刀には、絶大な
責任も生じましょう。


我々は、このワインの美味しさのありかをたどる事によって
マストロベラルディーノの真価を常に評価していかなくては
いけないでしょう。


 色は濃厚なルビー、ガーネット色も紫色も見えます。

 香りは、ラディーチ・リセルヴァ99で感じたスミレの
 香り、ブラックベリーの煮詰めた甘い香りにカカオの
 香りが混じって、実に深みのある果実味が出ています。

 ポテンシャルはどのタウラージをも凌駕してします
 ボディーです。エレガントにして力強さと拮抗してい
 ます。


 細やかなタンニン、緻密にして、この楔の先端には
 まだ鋭角的なものが残っています。

 それでいて、滑らかさもしっかりしているものだから
 この酸とタンニンも滑らかに感じられます。

 典型的なモダンワインの味わいです。

 酸とタンニンがキリリと前面に、何の躊躇もなく、
 猛々しく出てきた古典派リセルヴァの佇まいとは 
 対極的ではないでしょうか。


このワインをして、マストロベラルディーノのワインは
モダンであるとともにアヴァンギャルドなワイナリーの
域にも達しているようにも思います。

具象画と描かせても超の付く一流だったピカソが、いきなり
キュビズムに走ったようなものです。

もちろん、マストロベラルディーノの場合、すでに前衛は
他に存在していたわけですが、その分、具象画の伝統は消え
かかっていたのでした。


最も伝統派に属するワイナリーでありながら、最もモダンな
ワイナリーでもある。この「振れ幅の大きさ」の楽しさも
僕は評価したいと思います。


白にせよ、赤にせよ、「ラディーチ」がある限り、何を
してもかまわない!そんな気にもなりますが(^^;)


さて、次は、ヴィッラ・デイ・ミステーリです。



ヴィッラ・ディ・ミステリ[2004]/マストロベラルディーノ



ポンペイの遺跡で発見された畑は、ブドウの木が根っこ
まで炭化していたため、石膏を流し込むことによって、株の
整枝法などがイメージできたと言います。

驚いたことにその整枝法は現代のモダンワインのそれに
近いもので、それまでの量産系の仕立てとは一線を画した
ものでした。

ここにも本当に文明とは、時代を経るごとに
進化するものではないことを思い知らされます。

中世、ルネッサンス、近代、そして戦後と連綿と続いてきた
仕立てよりも、2000年前の仕立ての方が、はるかに
良質のワインを造るだなんて!


この畑と壷の中に残っていた
ブドウの種、秘儀荘(ヴィッラ・デイ・ミステーリ)の
フレスコ画に描かれたブドウの絵などから考察され、研究
された結果、ローマ時代のワインは、ピエディロッソ種と
シャシノーゾ種で構成されていたと結論付けられました。


この時点で僕などは「ゲ!」と思ってしまいます。
シャシノーゾのことは知りませんが、少なくとも
ピエディロッソは、いかにローマ時代にすでに耕作されて
いた品種であっても、あの苦味甚だしいラクリマ・クリスティ
ロッソの主要品種であり、現代的な意味での美味しいワインなど
絶対に出来ないと確信したからでした。


しかし、この古代文明のロマンを現代に蘇らせるワインを一口
飲んでみて、「目から鱗」がボロボロ剥がれていくのを
感じていました。


全く持って美味しいのです(^^;)
そして、嬉しいのは、やはりピエディロッソの「エグミ」が
感じられて、そしてこれこそがローマ時代にも恐らく
感じられた味覚的感覚だったのではないかと思えたこと
でした。


値段を聞いて、びっくりして飲み直された受講生もいらっしゃた
くらいで(^^;)、とにかくこのプロジェクトの雄大さから
いえば、全然高くないですが、ワインの味わいとしてはまだまだ
未知数と言う感じです。


10年後に飲んでも十分に楽しめるワインですが、やはり
古代文明に愛着のある方に合うのではないでしょうか。


「秘儀荘」といえば、なにやらいかがわしい雰囲気を感じさせる
ものですが、ポンペイレッドと称される独特の赤とその等身大に
描かれたリアルな群像画には誰もが魅了されるに違いありません。

villadeimisiteri



「博物誌=ナトゥラリス・ヒストーリア」と
「秘儀荘=ヴィッラ・デイ・ミステーリ」と・・・・


古代人の遺産を受け継いで、マストロベラルディーノがワイン
マーケットに打って出ます。









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Last updated  2008/07/27 01:23:54 PM
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