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2010.11.27
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カテゴリ:映画逍遥
 目が覚めたのが9時半で、寝たのが10時半だったから11時間も眠ったことになる。ずいぶん長く寝たものだと驚いた。

 仕事に出るかみさんはすでにいない、2時間ほど前には出かけたはずだ。
 キッチンへ行き何を食べようかと冷蔵庫を開けてみる。「佃権」のねりものがあり、これでご飯を食べると決めた。「佃権」のねりもの

はびっくりたまげるうまさなのだ。
 その後、パソコンでブログほか。

 夕方、近江の友人、川島民親くんから電話がかかり、きょうは枝刈をしたと知らせてくれた。
 「田舎は忙しいよ」というのを聞いてなんだか可笑しくなり、笑う。
 村の仲間たち数人が手伝ってくれたという。植木職人にゆだねず自分でやるのはエライねと褒めたら「たのんだら百万円はかかるから」

といっていた。
 本は、また源氏物語を読んでいるそうだ。「徹底的に読んでやろうと思う」のひと言が民親らしい。

 用事が済んだあと奈良の話になった。
 来週、50年ぶりの高校クラス会が奈良で行われることになり、出かけてくるという。彼の住む能登川からは2時間もかからないで行け

るそうだ。なんだ、ぼくの場合でいえば自宅から銀座に行くより早く行けるというわけか。

 ふいに近鉄奈良駅を出て大通りを右手へ歩き始めた日のことが思い出され、たいへん懐かしくなった。
 10年以上は前のことになる。あれはシナリオを書くための取材で春日大社を訪問したときだ。「神饌」(神に供する食べもの)につい

て聞くための旅だった。
 歩いて行ったのは久しぶりに訪れた奈良の町並みを眺めたかったからで、あらかじめ時間の余裕をつくっておいた。
 古い町をゆっくり歩くのは愉しかった。途中、歴史博物館に寄り、奈良公園を散策し、なんというか気分を歴史に浸(ひた)らせた。
 春日大社の階段では左右のたたずまいを眺めつつ足下の苔を見つめた。
 雨上がりのしっとりした空気が印象的だった。
 それと、帰りに入った喫茶店で飲んだコーヒーの味が忘れられない。

 民親くんと話しているところへ携帯電話が鳴った。
 かみさんからで、バス停にいて家へは寄らずにまっすぐ世田谷へ行くという。かみさんはきょう、蓮くんと書道へ行くのだ。
 陽くんも行くといっていたので電話を替わり、再び民親と話す。
 源氏物語と聞くと、いま読んでいる本の1冊、橋本治著『ひろい世界のかたすみで』(マガジンハウス)に述べられる重要な一節、源氏物語の終わりかたを解説する一節を思い出さざるを得ない。
 じつをいうとぼくはあの大長編を読んでいないのだが、最後に登場する「浮舟という女」は、身分を保障するから結婚をと迫る男・薫の求婚を拒絶するそうだ。で、それについて橋本治はこう書く。

 「その言うところは、『自分のセクシュアリティを自覚した女には、社会が居場所を与えない』だとしか思えない。その認識が、すんなりとエンドマークにつながってしまうということは、作者の中に、『これは私の一人よがりの歪んだ結論ではない。あらゆることを検討した結果、自ずと導き出された「事実」だ』という達成感があるからですね。そうだとしか私には思えない」。

 そうして、この認識は「事実は事実であるという、保留」でしかなく、その保留は千年間も保留のままであり現代に至ってもまだ保留なのだといい切るのだ。
 ふうむ、おもしろい。

 夕食は久しぶりにぼくが炒飯をつくった。
 何を食べようかという陽くんに炒飯をつくるよというと、わぁとよろこびながら「パパ炒飯?」と聞く。
 むかし、まだ子らが小さいころ、夕書時にかみさんが帰ってこられない晩などによくぼく流のたまご炒飯をつくったのだ。たまごに胡椒味とわずかな塩味だけをつけた簡単料理だが、これが抜群にうまい。子らには「パパ炒飯というのだ」と料理名を教え。蓮くんも陽くんもすっかり気に入っていたものだ。
 今夜のパパ炒飯もその調理法の通りにつくり、陽くんは「うまい!」と叫びながら食べていた。

 食事のあと、2人で映画『エデンより彼方に』のDVDを観る。
 青戸さんが貸してくれたもの。
 本当に青戸さんは観るべき映画のDVDをたくさんもっている。貸していただき大感謝だ。

 1957年から58年にかけてのコネティカット州ハートフォードを舞台にした大人の心理ドラマだ。
 主役を演じるジュリアン・ムーアがすばらしい。 
 ハートフォードという町については何も知らないが、コネティカット州が極度に保守的なところであることは聞き知っている。

 セリフにも「リトルロック」の名が出てくるように、1957年から58年といえばアメリカでの人種差別がクローズアップされた時期

だ。
 そういった時代状況を、すばらしい映像で仕立て上げた作品で、見入った。

 注目すべきは撮影エドワード・ラックマン(Edward Lachman)のキャメラ・ワーク。
 色合いがすばらしく、フレイミングが巧みで、クレーンなど随所に用いられるの移動ショットもみごとだった。
 調べてみたらこのひと、ヴィム・ヴェンダース監督のドキュメンタリー作品『東京画』(1985)を撮ったキャメラマンではないか。注目したくなるわけだ。
 上にこの映画のDVDジャケット写真を載せておく。映画サイト「all cinema」からお借りした。

 あと忘れてならないのがサンディ・パウエル(Sandy Powell)の衣装デザインだ。
 映画を観て衣装デザインに引き込まれることというのはよくあるが、アタマに名前を刻みつけておきたいと思わせられる例はそんなにあることではない。

 深夜に佐々木功のラジオ出演番組を聞き、感銘深し。
 しかし、この件について書くのはまたにしよう。





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最終更新日  2010.11.28 18:26:33
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