ハーク
モーゼルのリースリング辛口が続いています。ドクター・ワグナー。日本に入って長い造り手なので、知っている方も多いかもしれません。正確にはモーゼルではなく、ザール。いわゆるモーゼル・ザールルーヴァーのザール側。酸も綺麗で、果実味も必要充分。バランスよくまとまった佳酒。と思っていちどきに買った最後の1本。10番目の造り手、シュロスリーザーを飲んだら、ミネラルに裏打ちされた酸の美しさが、数段上。最初に飲んだフリッツ・ハークにも劣らない美酒でした。細い体躯なのですが、リースリングの酸はかくあるべしという感じでした。エチケットにワインディレクターをしているトーマス・ハークという名前が入っていますが、フリッツ・ハークの当主の長男だそうで、実家を継がずにシュロスリーザーに就職したんだそう。いずれにせよ、このフリッツ・ハークとシュロスリーザーのリースリング・トロッケンが、他より抜きん出ていたように感じました。今どきの世間的にも、エゴン・ミュラーと同格とされているそうです。ここまで飲んできたのは、すべてブルゴーニュでいうところのレジョナルクラスでした。辛口、階層が上がったらどんなふうになるか興味が沸いて、フリッツ・ハークの村名、1級、GCクラスを買い足してみました。といっても値段的にはブルならふた昔前くらいの穏当さでした。ボノームもひさびさに飲みましたが、舌がリースリングに麻痺しているからか、ちょっと鈍重に感じました。マコンではなく、シャブリのほうがよかったかもしれません。温暖化でもドイツは酸を保持する苦労は、まだあまりないのかもしれません。樽なしシャブリやユベール・ラミー系が好きなら、ハーク父子は好ましく感じるかもしれません。