バブルを考える(78) 閑話休題…ゼロ金利を考える
バブルを考える(78)閑話休題…ゼロ金利を考える住専問題が騒がれ出した95年9月以降、5ヵ年以上に亘って、公定歩合は0,5%に張りつき、その後一時、僅かばかり引き上げられたものの、その後はゼロ金利政策が昨年2006年の春まで続きました。ゼロ金利は解除されましたが,日本の金利は、なお国際的に見ると、異常に低い段階に留まっています。私はこの超のつく低金利こそが、個人消費も減速の最大要因であり、金利のさらなる上昇なしに、個人消費が盛りあがることはないと考えています。超低金利政策やゼロ金利政策はどのような政策意図によって、実施されたのか。1つには、多額の不良債権を抱え、新規の貸出しに極端に慎重になっている金融機関に対し,貸出しによらず債権の運用によっても,多額の利益が得られるようにすることでした。預金利子は限りなくゼロに近いのですから、銀行の業務純益は膨らみます。元来預金者の手に入るべき金利を、不良債権処理費用とするために、銀行の手に残す事が狙いだったのです。こうしてなし崩しに時間をかけて、不良債権を処理させようとしたのです。2つ目の狙いは、多額の借金に悩む企業の救済にありました。通常借入金の金利は借り入れ時に決まるのが原則です。しかし、バブルの後遺症に悩む企業は、元金の返済どころか、契約時の金利の支払いすら、滞らせる企業が続出したのです。銀行は無理にとりたてて倒産に追い込むよりも、金利を減らして、残った金利分だけでも取立を続け、景気回復を待つ方が得策と考えます。この時、預金金利がぜろまたはゼロに近ければ、金利を減額して利益が出ますから、あとは気長に企業の立直りを待つ事が出きるのです。低金利であるが故に、負債の多い企業も倒産せずに,生き延びることが出来るというわけです。そして第3に、多額の借金(国債等の発行残)を抱えた日本国家の救済です。地方自治体分を加えると、今や1千兆円に及ぶという借入金の利子が1%上がれば、利子は10兆円も増えるのです。ゼロ金利は財政上も好都合だったのです。しかし、1千兆円を大きく超え、最も減少していた時期でも1千2百兆円と言われ、現在では1千5百5拾兆円といわれる、個人金融資産の多くは高齢層の預貯金であり、半分以上が今でもリスクを避けて、預貯金として金融機関に預けられています。そして高齢者の多くは元金に手をつけることを好まず、利息と年金での生活を選んでいます。金利を支払ってこそ、お金が回り、消費が増えて、内需に勢いの出る経済、それが日本経済の特徴です。いくら預金から投資へといっても、一部の資金しかリスク資産には回りません。なるべく早く3%台まで、預貯金金利を引き上げることが、消費の好調を取り戻すには必要です。仮に、個人金融資産の半分750兆円が預貯金だったとすると、0,2%程度の金利が3,2%に膨らむだけで、金利は1兆5千億円から、22兆5千億円へと(税込み)20兆円以上も増えるのです。この20%が税金として国庫に入るのですから、税収も4兆円強増えるのです。日本の消費を押し上げるには、避けて通れない道なのですが、今の日本政府である限り、私のプランが採用されることは、まだまだなさそうです。となると、日本の景気上昇のスピードが、低空飛行から脱する事もまた難しいということになりそうです。当分、日本経済に大きな期待を持つことは難しいですね。 続く