カテゴリ:日本経済
バブルを考える(81)
続瑕疵担保条項 瑕疵担保条項は、買い手の要求で実現したものではなく、金融再生委員会の提案に拠るものでした。買い手側の提案は、2次損失の処理について、欧米で一般的だったロス・シェアリング方式を提案してきました。売り手と買い手が合意することを前提に、2次損失にかかる費用は、両者で折半する方式です。それゆえ、債権の時価が2割以上減価した債権は、帳簿価格で売り手が買い取るという瑕疵担保契約よりも、売り手の負担はかなり低くなります。何故、日本側はこの提案を受け入れずに、損失を拡大させる瑕疵担保条項に拘ったのか? それは、ロス・シェアリング方式の導入には、買い手と売り手が共同で一つ一つの債権の再建可能性をチェックする必要があるからでした。譲渡可能債権(適資産)か非譲渡可能債権(不適資産)か決めるとなると、そこで、不適資産とされた債権は、ただちに債権回収機構に譲渡され、回収の対象とされるのですから、事実上債権困難と判断されたことになります。当然、融資を継続したり、金利を減免してもらっていた企業が、今後も融資を継続してもらえる可能性は、限りなく低くなります。 融資を断られた企業は、倒産するしか道はありません。金融再生委員会はこれを嫌ったのです。他行が、懸命に支えようとしている企業に,再建可能性の乏しい企業というレッテルを貼るのを避けようとしたのです。 そこには、日債銀の債務超過を断乎として認定した厳しさのカケラもなくなっていました。大銀行が業務純益の範囲で、不良債権の償却を進めるのを待つという、護送船団行政に早くも染まってしまった様子が見てとれます。 金融庁や金融再生委員会は、こうして自らもまた、早期の不良債権処理を進め、早期の日本経済の再建を図る道を選択しなかったのです。こうして、ここでもまた多額の税金の無駄使いが生じたのでした。 無理やり1次損失を少なく見せ、実質破綻企業を少しでも生き延びさせようとする,形振り構わぬ先送り対策が、そこにはあったのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.12.30 21:23:05
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