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カテゴリ:落語
今日(2月23日)、南日本新聞会館「みなみホール」で「柳家喬太郎独演会」がありました。 柳家喬太郎師匠のこの独演会、私たち夫婦にとって去年の9月の鹿児島特選落語名人会以来久しぶりに聴く落語の高座であり、また今年初めての落語の独演会ということもあり、とても新鮮に感じられ、大いに楽しむことができました。 独演会の最初から喬太郎師匠が高座に上がり、古典落語としてお馴染みの「松竹梅」をまず演じました。この噺、長屋の松さん、竹さん、梅さんが三人揃うと「松竹梅」でめでたいと出入り先のお店のお嬢さまの婚礼に招かれるところから始まる滑稽譚です。ご隠居さから余興として「なったあ、なったあ、蛇(じゃ)になった、当家の婿さん蛇になった、なんの蛇になぁられた、長者になぁられた」との言い立てを謡(うたい)の調子で割りゼリフで言えばいいと教えられ、ろくに練習もせずに婚礼に出席しものですから、最後の「長者になぁられた」のセリフ部分を担当した梅さんがその肝心の部分がなかなか言えず、苦し紛れになんと「亡者になぁられた」と言ってしまうというお噺です。 次に高座に上ったのが柳家喬之進さんです。去年の「柳家喬太郎独演会」でもこの噺家さんの「粗忽の使者」の高座を聴きましたが、今回は「天狗調べ」で、男が見た夢の話を妻や隣人、大家、奉行のみならず鞍馬山の天狗まで聞きたがるという人間の「知りたがる性(さが)」を巧みに描いた古典の傑作です。 三席目にまた喬太郎師匠が高座に上がり、去年には聴けなかった新作落語の「白日の約束」を演じました。なお「白日」とはホワイト・デーの意味で、もてない男が初めてバレンタイン・デーで彼女からチョコレートをもらったにもかかわらず、3月14日のホワイト・デーにお返しのプレゼントをすることをすっかり失念していたことから始まる今風ドタバタ喜劇の新作落語です。男は彼女から「約束を忘れていたの」と聞かれ、その約束がてっきりホワイト・デーのお返しのことと勘違いするのですが、歴史好きの歴女の彼女が3月14日に彼と約束していたのは忠臣蔵でお馴染みの赤穂藩主の浅野内匠頭の命日に泉岳寺にお参りすることだったのです。この歴女の徹底した歴女振りとそれに戸惑う男のすれ違い会話に観客は大笑いしていました。 中入り後に高座に再び上がった喬太郎師匠が演じた噺は、先ほどの「白日の約束」とはがらりと変わった不気味で重たい雰囲気の「雉子政談」でした。この噺の原作は小泉八雲の「雉」だそうで、農家の嫁のお里の夢に3年前に亡くなった義理の父親が出てきて、「近々恐い思いをするから助けてほしい」と頼むところからこの話は始まります。こんな夢を見た嫁のお里は、猟師から追われて逃げ込んだ雉子(きじ)を義理の父親の生まれ変わりと思って助けますが、なんと帰って来た夫がこの雉子の首を折って無残に殺してしまいます。この噺、急に不気味な雰囲気を醸し出し、夫のこれまで見せたことのない隠された残忍さに気付いた妻は家を逃げ出し、庄屋の家に駆け込み、さらに夫の残忍な行為は代官の知るところとなり捕まってしまいます。取り調べの結果、この夫が過去に様々な凶悪な悪事を働いた盗賊と判明します。過去に犯した罪状が暴かれた男は、自分を捕まえた人物たちを末代までも祟ってやるぞと叫んで首を切られますが、この男の姿に鬼気迫るものがあり、背筋がぞっと寒くなります。 喬太郎師匠の多才にして多彩な芸風を大いに満喫した今回の独演会でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014年02月24日 04時39分20秒
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