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私がまだ幼かった頃、両親の会話に「きょくがくあせいのと」という耳慣れない言葉が出てきて強く印象に残ったことがあります。当時の日本の首相がトーダイのソーチョウを「きょくがくあせいのと」と罵ったらしいのです。
後で知ったことですが、 第二次世界大戦後、連合国軍の占領下にあった日本がかつて交戦関係にあった連合国諸国と講和条約を結んで独立しようとしたとき、当時の米ソ冷戦の時代背景下、日本国中が米国側諸国との単独講和かソ連側の国々をも含む全面講和かで世論が分かれ、東大総長の南原繁が卒業式などで全面講和論を唱えたことに、米国側との単独講和を進めていた首相の吉田茂が「曲学阿世の徒」(世間に阿り(おもねり)学問を曲げる連中)と罵倒したのでした。 当時は東大の総長を、一国の首相が「学者にあるまじき連中の一人」だと罵ったことが強い反響を呼び、私の両親の会話の中にもそのことが出てきたのですが、最近は政治の世界で学者の発言が強い影響力を持つことはあまりないようですね。あの大阪市内の世論を二分した大阪都構想の市民投票にも「大阪都構想の危険性」に関する百名以上の学者が所見を寄せて反対していたこともマスコミの大きな話題にならず、投票結果にもそれほど影響がなかったかもしれませんね。 しかし、衆参で多数の議員を確保した安倍晋三首相が安全保障関連法案を国会の審議に掛けたところ、6月4日の衆院憲法審査会に出席した3人の憲法学者がそろって同法案を「憲法違反」と断じ、なんとその3人の憲法学者の一人は与党の自民・公明党が参考人として招いた長谷部教授だったというのがマスコミの話題となりましたね。 衆参国会で多数を占め、多数決原理で慢心していた安倍首相が思わぬところでエラーを犯してしてしまったようですが、多数決原理は学者の世界では通用しないことを忘れていたようです。自民党の佐藤勉国対委員長などは学者を選んだ船田元自民党憲法改正推進本部長を呼び出し、「自分たちが呼んだ参考人の発言だから影響は大きい。安保法制の議論に十分配慮してほしい」と注意を促したとのことです。しかし、与党側のショックは大きいでしょうね。 もっとも菅官房長官などは、集団的自衛権行使を「全く違憲でないと言う著名な憲法学者もたくさんいる」などと発言しており、今後は宇宙の中心は地球だとする天動説を唱えるような文字通り「曲学阿世の徒」を総動員して世論誘導に励むことでしょうね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年06月06日 20時30分44秒
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