よろず屋の猫

『クレイモア』の最新巻、16巻の感想です。


表紙はヘレンとデネブ。
カバーを取ると表紙はディートリヒ、背表紙はプリシラが裸でサービス。
イエ、本当は美しい絵なんでエロい感じはなくて、ただひたすら“綺麗”。



イースレイのことはもるがんさんのところの記事で知り、『スクエア』ネタバレサイト様で読んではいたのですが、絵で見ると更にショック・・・。


ルヴルと再会したクレア。
ルヴルはクレアたちに、組織の情報を与える。

組織のNo.6・ルネが恐らくリフルに捕らえられている事。
その目的はおそらくラファエラだろうと言う事。

組織の持っている情報が“ラファエラ”程度なら、リフルは安全かな。
“深遠の者”も結局リフル一人になってしまったし、私はリフルが好きだから殺されて欲しくないな。


そのリフルはルネを使ってラファエラとルシエラの結合体を覚醒させようとしていた。
ルネはラファエラ・ルシエラの意識を探る。
脆弱な生命の欠片、しかしその奥の奥に計り知れない妖気の塊。
決してこれを目覚めさせてはいけないと思ったルネは、逃げる手段を探る。

姿は少女、でも中身は覚醒者のリフルが今回も良いんだな。

ルネが手足がないとラファエラ・ルシエラの意識を探るのに集中できないと、再生を願い出てOKするんですが、斬った脚を放って、繋げた方が早いでしょ、と。

「まだ斬りたて新鮮だし。」と、こうですよ。

淡々と言う所が良いんですよね。
『クレイモア』はキャラが綺麗すぎて、表情に乏しいのが難点なんですが、リフルに関しては、それが長所になってると思う。


ルヴルは実は敵対国の工作員。
狙いは組織の自滅。

ペラペラと教えてくれるルヴルって親切。
ま、クレアたちに情報を与えて、上手い具合に動いてくれると良いってことでしょうか。

そんな訳で、ルヴルはクレアたちを放免。
クレアたちは西を目指す。


南に向かっていたデネブとヘレンは、クレイモアたちが覚醒者狩りで苦戦中のところを見ている。
二人のやりとりが最高!!。
この二人、大好きです。

助けに入るデネブとヘレン。
最期に仕留めるのはディートリヒにさせたんですけど、その時のディートリヒのセリフが良いです。

「血と闇に染まれども元は同じ戦士。この一振りはかつての仲間への敬意と償いだ。」

私の大好きな女優さんの名前なので、雑魚キャラにしないで欲しいなぁ。


命をすくってくれたデネブとヘレンの後を追うディートリヒ。
忠誠を誓った身で組織に嘘はつけない。
だから「さらわれた」ってことで、勝手についていく、と。
義に欠く事もなく、丸く収まる。

なかなか面白いキャラのようです。

ディートリヒは二人に南の地と、“悪魔と呼ばれるモノ”の情報を与える。

たどり着いた南の町にイースレイの妖気を感じ取るデネブとヘレン。
二人は“悪魔と呼ばれるモノ”をイースレイと誤解している。

妖気が消えていれば大丈夫かと、イースレイ見物に出かけたデネブとヘレン。
しかし人間体のイースレイに見つかってしまい、戦いに。
圧倒的な強さを見せるイースレイに死を覚悟する二人。

「初めは二人だったんだ。二人で終わるのも、そう悪くない。」って言うのが、良いじゃないですか。

そこに現れた真の“悪魔と呼ばれるモノ”＝“深淵喰い”。
組織が作り出した対“深淵の者”の兵器なんですが、これがグロイ姿で。

覚醒者を使った戦士。
人間(女)の姿で、目と口を金具だか綱だかはちょっと分りませんが、それで閉じられていて、涎が垂れっぱなし。
自我は完全にない。
たった一つ覚えこまされた臭いに対する食欲のみで動いている、と。

こう言うのを描ける八木先生って凄いと思いますわ。

イースレイが覚醒体に。
他の覚醒者と違って美しいし、凛々しいんですよね。
これをドーン!!と見開きで見せる。

そして徐々に深淵喰いに喰われる姿を描写してるですよ。
深淵の者として怖れられたイースレイの最期を、哀れにさせてます。

イースレイファンには辛い...orz...
『クレイモア』って男キャラにはとことんシビアなマンガなのね・・・。

最初はプリシアを使って全てを自分の物にと思っていた。
いつしかプリシラを傍らに、ラキの成長を見ながら、わずかな食事で満ち足りている自分に気がついた。

死にたくないなぁ。
全てはいつか壊れる幻想だったとしても、ほんの少しでも長く、あのままでいたかった・・・。

イースレイは美形ってだけじゃなくて、(“美形”だけならリカルドの方がタイプ)、人間味を持った覚醒者ってところが面白いなって思って、好きだったんですよね。
って言うより、人間に回帰している覚醒者って感じかな。

個人的には、覚醒者が作られた兵器で、敵対国の存在も明らかになった展開から、イースレイみたいなキャラがいると面白いと思うので、ここで死んじゃうのは残念ですわ。

人の温かさを持つことは「甘さ」、それは死に繋がる。
それが『クレイモア』の世界ってことでしょうか。


組織はリフルの身体の残骸も手に入れているはず。
次の目標は西の深淵。
デネブたちは西に向かい、クレアとの合流を目指す。

組織は深淵喰い、更にアリシア・べスを西に送る。


ラファエラ・ルシエラが目覚めれば、離れて意識をコントロールしているアリシア・べスに勝ち目はない気がする。

けれど目覚めたラファエラ・ルシエラの意識がどうであるかは未知数ですよね。
ラファエラのかつての意識が勝っているか、完全に化物になってしまうか。

ってことで、楽しみな次巻です。