テーマ:山登りは楽しい(12033)
カテゴリ:日本アルプス登山記
24日、仕事を終わらせて愛車のアトレー号で沢渡へ。22時に到着、たっぷり睡眠が取って翌25日、5時起床。天気は、雨。少し残念に思うが、考えようによっては写真に時間をとられないので好都合である。食事と準備を済ませ、6時のバスで上高地へ。登山届けを出して、出発。今日は槍ヶ岳まで行く予定だ。かなりハードな上に横尾からは歩いたことのないルートである。歩きやすい横尾まではかなりトバして行こう。雨の中を早歩きで進む。しかし、さすがは上高地。好被写体がいっぱいだ。特に徳沢のニリンソウ群落とお猿の群れには(ちょっと撮ってみようか)とかなり心を動かされた。我慢して歩いた甲斐あって横尾に8時20分到着。2時間で来られた。
二の俣にて。まだまだ余裕の表情。 横尾で下りてきた人に雪の状態を訊いてみた。槍沢ロッヂまではほとんど雪はなく、本格的に雪が出てくるのは2000メートル以上とのこと。それなら、とまた快調に歩き出す。しかし、少し余裕が生まれ、気が緩んで花を何枚か撮ってしまった。ミヤマザクラにサンカヨウ、エイレイソウ、ショウジョウバカマ、ほか名前を知らない花々… ついに我慢しきれずに写真を撮り始める。シロバナエイレンソウ。 サンカヨウ。 ミヤマザクラ。 槍沢ロッヂに10時過ぎ到着。今日の行程はかなりカロリーを消費するので、奮発して昼食に牛丼を注文する。思えばこれが最初で最後のまともな食事だった。金欠はツラい。槍沢ロッヂから1時間ほどでキャンプ場、ここから雪山、アイゼンを着ける。しばらく前から雨は止んでいた。もう、ここからはひたすら雪の斜面を登っていく。斜度がすこしずつ上がっていく。どんどんキツくなってくる。 槍沢ロッヂで牛丼をいただく。 テン場より槍沢。ここから、雪山。 13時50分、天狗原分岐の手前辺りか、目指す槍ヶ岳が見えた。斜面はますます急になる。ピッケルを出した。ガスに巻かれて見えたり見えなくなったりする槍ヶ岳を目指し、ひたすら登る。だいぶ疲れている。歩きながら変なことをつぶやいていたりする。 槍が見えた!テンションも一気に上がる。 槍沢を見下ろす。 ぐぇ~、と少々下品な声がした。雷鳥だ。どこだ?前方右手に2羽、つがいのようだ。ビデオで撮影しようとするが、遠くてうまく写らない。しかし、うまい具合に向こうから近寄ってきてくれた。ちょうど真後ろにいるところを撮影。大きく肩で息をしながら暫く眺める。雷鳥は再び登り始め、オレを抜いてさらに登っていく。オレも後に続いて登り始める。 「おい。」 「え?」 「おい、貴様がチョリオか?」 「え?ああ」 「吹雪になるぞ」 「ホンマかいな」 「気をつけてな」 雷鳥はすごいスピードで斜面を駆け上っていく。 「おい、飛んだらどうや?」 「フッ…オレは翼を亡くした鳥なのさ…」 「…何言うてんねん…」 ハッ…?何言うてんねん、はオレや。変な世界にイッてたわ。 つがいの雷鳥。この後吹雪に… 雷鳥の言う通り(?)、雪が降り始め、風が吹いて吹雪になった。くそ、あと少しのところで…辺りはガスで真っ白、槍ヶ岳も勿論、見えなくなった。すっかり冬山の様相である。(でも、こんなん、やりたかったんとちゃうん?)…まあ、それもそや。よっしゃ、行こ。しかし、ええカッコも長続きせず、殺生ヒュッテまで。そこからの急登りは一切余裕なし、本当にキツかった。16時14分、槍ヶ岳山荘到着。 半泣き? ようやく、槍ヶ岳山荘に到着。 受付を済ませてストーブに当たって、ようやく人心地ついた。やれやれ、エライ目に遭ったわい。夕食はカップヌードル。コーヒーを沸かして飲んでいる時、同じく単独でやってきた女性と話をした。槍沢を登っている時に後方から一人登ってきているのが見えていたが、それがどうやら彼女だったらしい。たいしたド根性娘だ。部屋に戻って寝ようとしたが、なかなか寝付けなかった。元々寝付きの悪い方だが、加えて運悪く、隣人のいびきがうるさい。うとうとしては目を覚まし、を繰り返し、2時にとうとう観念して煙草を吸いに外に出た。雪は止んでいた。そして幾万の星達が音もなく瞬いていた。(こりゃイカンでぇ)早速、三脚とカメラを取りに戻り、撮影。シャッターを開いている間、一人でコーヒーを飲みながら星を眺めた。ちょうど月もなく、雪が降った後で空も澄んでいるのか、凄い星空だった。 至福の一服。泣いてんか?泣いてんか、オレ? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年06月02日 00時50分10秒
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