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2009年06月02日
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 26日の朝は晴れだった。しかし時折ガスが槍の穂にまとわりついていた。日の出の時間は忙しい。あちこちにレンズを向けて写真を撮る。日の出は4時半、太陽は槍の穂の南側、少し右から顔を出した。常念岳と少しガスのある東鎌尾根が逆光で映える。南方面は大喰岳の向こうに穂高連峰、乗鞍岳。小屋の反対側、西はなんといっても笠ヶ岳。さらに北に目を移すと黒部の山々が重なっている。この辺りの山域は行ったことがない。山ばっかりだ。行ってみたい…

R0021724槍0905槍の朝.jpg

R0021788槍0905槍より黒部方面.jpg
黒部方面の山々。

 昨日我慢した分まで撮りまくり、ようやく気分が落ち着いた。さて、槍の穂に登るか。すでに6時前。ちょっとのんびりし過ぎやな。槍の穂へのルートはやはり険しいが、たくさんの人が登るだけあってしっかり造ってある。慎重に登れば大丈夫。半時間程で槍ヶ岳山頂に着いた。頂上には昨夜知り合ったド根性娘がいた。最高の天気に展望を2人で喜び合い、記念写真を撮った。青い空に360度の展望、見える山々にはまだたくさんの雪が残っている。有頂天で写真を撮りまくった。

R0021774槍0905槍山頂.jpg

R0021786槍0905槍より穂高.jpg
槍ヶ岳山頂より穂高方面を望む。

R0021791槍0905槍より笠.jpg
槍ヶ岳山荘を見下ろす。向こうに笠ヶ岳。

 山頂に30分いて、7時過ぎに降り始め、7時30分、槍ヶ岳山荘に戻ってきた。準備をして山荘発は8時過ぎ。日の出から3時間半、あきらかにのんびりし過ぎだ。今日は北穂高岳まで行こうと考えている。難所の大キレットが待っている。さあ、行こう。

R0021812槍0905槍穂アイゼン.jpg
アイゼンを効かせて慎重に下りる。

R0021816槍0905槍登山者.jpg
登山者が登ってきた。かっこいい。

 それにしても山の天気が変わりやすい、というのは本当だ。あれだけいい天気だったのに、南の縦走路に踏み出した途端、強風とガスである。視界は10メートルもないか?大喰岳の山頂はいつの間にか通り過ぎていた。雪の斜面のトラバース、かなり危ない。昨日積もった雪も厄介だ。風で身体があおられる。しっかりと雪を踏みしめ、ピッケルを突き刺しながらゆっくり、確実に進む。(イカンなあ)思わぬ天候の急変に、気持ちが少し焦っていた(槍でのんびりし過ぎた、甘く見てたなあ)去年の夏にここを通った時もガスで展望は得られなかった。だから今回、この稜線からの景色を見たいと思ってこのルートを選んだのだが…

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早朝の好天から一転、冬山へ逆戻り。

 前から3人の登山者が近づいてきた。少し会話する。「今日はどちらまで?」「北穂まで行こうと考えているんですが、南岳までになるかも知れません」「南岳小屋は予約が要りますよ」あっ、そうや!うっかりしていた。この時期、南岳小屋は予約がある時のみ開けてくれるのである。「私たち、南岳小屋から来たのですけど、今ならたぶん、間に合いますよ。でも、もう降りるとおっしゃっていたから、すぐに連絡した方がいいですよ」礼を言ってオレは考えた。ペースも遅いし、この天候では大キレットは無理や。しかし、それやったら槍ヶ岳山荘に引き返した方がええかも…でも槍の景色は堪能したし、できたら違う所で泊まりたいなあ。南岳から天狗原か南岳新道、下りられへんやろか…ここへきて、オレの準備不足が露呈した。出発前にルート変更したために、エスケープルートまできちんと調べていなかったのである。暫し地図を眺めていたが、ええい、今日は南岳小屋泊まり。あとはなんとかなるわい。そう決めて、携帯電話で予約を申し込んだ。

R0021839槍0905疲れ気味.jpg

 電話をしてしばらく進むと中岳に着いた。休憩していると、風が弱まってきてガスが晴れた。行く手に南岳への稜線、小屋も見える。奥には穂高連峰。右に笠、左に常念の端正な姿。うわあ、すげえ!山は冬山から一気に春山に戻った。青空が広がり、陽光が暖かい。なんじゃ、そりゃ…目指す南岳小屋までは1時間くらいで行けてしまいそう。まだ10時過ぎ、展望を楽しみながら、ゆーっくり進むとしよう。

R0021845槍0905晴れてきた.jpg
晴れてきた!

R0021849槍0905中岳より南岳.jpg
中岳より南岳・穂高を望む。

 ロープが垂らしてある急斜面を下り、ゆっくり進んで12時、天狗原稜線分岐に着いた。天狗原への尾根を見下ろす。雪がどっさり付いている。アカンわ。オレには無理やな。更に進んで南岳。ここから夏に下った南岳新道を見る。こちらも雪がどっさり。マズイなあ、こっちも無理っぽい…とりあえず下りて南岳小屋に入る。小屋到着13時。

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中岳を越えるとロープが垂らしてあった。コレ下りるんかあ…

 管理人の兄さんが迎えてくれた。まず、遅い連絡の非礼を詫びる。今日の泊まりはオレ一人なので談話室に通してもらった。自由に使って下さい、とのこと。素泊まりで受付し、朝飯なしの夕食はカップラーメンだけでいい、と話した。儲からない客でスイマセン…「明日はどちらへ?」「ええと、南岳新道、ってどんな感じです?」「かなり危ないですよ」「そうですね、私も見ました。でも新穂高に下りたいんで…」「どうなっても、知りませんよ」と兄さんが怖い目でこちらを見ながら、ゆっくり言った。「槍ヶ岳まで戻って下山します」オレは即答した。

R0021932槍0905大キレットとオレ.jpg
大キレット。

 地図を見ながら明日の行程を考えた。槍まで3時間半、槍沢ロッヂまで3時間、上高地まで5時間…地図上で合計11時間半、休憩を加えて、しかも雪のことも考えると…天気も晴れるとは限らないし、これは相当にキツい。本当なら、今すぐ槍ヶ岳山荘に戻るのが最善なのだが、折角オレ一人のために小屋を開けてくれているのだから、それは無理。明日は精一杯、頑張る。それでアカンかったら嫁さんと上司に謝りまくる、と。少し滅入った気分を晴らしに外に出た。穂高と大キレットの展望台、シシバナへ。大キレットを見下ろすと、稜線上に雪はほとんどなかった。(行けたっぽいなあ…)いやいや、考えてはイカン、こうして南岳に泊まるのもきっと山の神様のオボシメシに違いない。今日、あそこに行っていたらきっと大変な目に遭っていたに違いない。と無理矢理思い込んだ。夕方まで寝よう。気分はあまり晴れず、オレは小屋へ戻って夕方まで寝た。

R0021926槍0905中岳より北西.jpg
南岳より北西方面。

 夕方、再びシシバナへ。北穂の岩壁、滝谷が夕陽に映える。やっぱ、ええわあ。写真を撮ったり岩肌を眺めたり。山に入って、一番充実している時間である。後には槍ヶ岳。明日またあそこまで戻るんかあ…翌日の行程を考えるとまた少し気が滅入る。撮影にも身が入らず、小屋へ戻った。

R0021911槍0905大キレット.jpg
大キレットと北穂高岳。

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夕暮れの槍ヶ岳。

 夕食はどん兵衛カレー味。兄さんがサービスでご飯を付けてくれた。うまい。ガツガツと一気に食べてしまった。夜になって煙草を吸いに外へ。ガスが出ていて星は見えず。明日は晴れてくれよ。

R0021954槍0905どん兵衛むさぼる.jpg
どん兵衛をむさぼるオレ。





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最終更新日  2009年06月02日 23時38分19秒
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