飲んでほし・・・　

飲んでほし、　止めてもほしい　酒をつぎ　　　　　麻生葭乃

朗々と　やがては破る　誓詞　読む　　　　　　　　槙　紫光

それなりに　ほめ方もある　披露宴　　　　　　　　園山勝利

だれよりも　君を愛して　倦怠期　　　　　　　　　岡田千夜

誰よりも　君を愛して　使い込み　　　　　　　　　高橋散二

結婚するほど　野暮な　恋をせず　　　　　　　　　乱雷

何かあるたびに　気強い　妻をつれ　　　　　　　　藤原葉香郎（ヨカロウ）

おまえから話せと　金は借りにくし　　　　　　　　同

なさけなし　されど　女を頼りとす　　　　　　　　同

座り直して　言いたいことのある女　　　　　　　　同

表情をかえぬ女に　押され気味　　　　　　　　　　同

春雨へ　女房と濡れる　あほらしさ　　　　　　　　川村好郎

不細工な妻に　子供は　ようなつき　　　　　　　　後藤梅志

夫婦げんかしていたらしい　屋台店　　　　　　　　高橋散二

良妻で　賢母で　女史で　家にゐず　　　　　　　　川上三太郎

偉い妻もって　交際費が嵩み　　　　　　　　　　　西川　晃

母の会　わいの女房が　会長や　　　　　　　　　　同

大の字に寝る妻にして　貧に耐え　　　　　　

妻だけが　時世のせいに　してくれる　　　　　　　柴田午朗

人妻となって　卑怯な眼をつかい　　　　　　　　　麻生路郎

ととさんは　人工受精　泡の成人（なると）　　　　千代吉

箸箱の界もとれて　夫婦　老い　　　　　　　　　　村田周魚

じいさんを刺す　ばあさんの言葉尻　　　　　　　　川上三太郎

口答へする老妻が　金を貯め　　　　　　　　　　　三条東洋樹（トヨキ）

おだやかに話せぬ妻に　してしまい　　　　　　　　大原老夢

わが靴を　自分で出して　家を出る　　　　　　　　近江砂人

七十の文学青年　どこへ行く　　　　　　　　　　　同