カテゴリ:エセ軍事マニアの呟き
<←23日の観艦式予行2で帰路に就く『くらま』。まさかこの5日後に事故に遭うとはこの時誰も想像してなかったでしょう・・・>
去る28日20時前、関門海峡にて海上自衛隊のヘリコプター護衛艦『くらま』(DDH144)と韓国の海運会社が運行するコンテナ貨物船『カリナスター』が衝突する事故が起きました。『くらま』は艦首部分が大破して火災が発生し、乗員3名が負傷したものの自力航行は可能、『カリナスター』も右舷側を損傷したものの負傷者等はなく、双方死者が出なかったのは何よりでした。 これまでに判明した情報をまとめると、今回の事故は以下のような状況になるようです。 1/『カリナスター』は前方の貨物船『クイーン・オーキッド』の右後方に位置、右側から貨物船を追い越そうと航行 2/関門海峡海上交通情報センター(関門マーチス)から『カリナスター』に対して「左側から抜くように」と助言 3/『カリナスター』は進路変更や減速をせずそのまま針路を直進 4/『クイーン・オーキッド』が海峡を曲がろうと面舵(右に針路変更)、『カリナスター』は追突を避けようと急激に取舵(左に針路変更) 5/対向してきた『くらま』は減速後進するも間に合わず『カリナスター』と衝突 何しろ例の『あたご』の漁船衝突事故の記憶もまだ新しい中での自衛艦絡みの海上事故だけに、発生当初はすわ海自側に落ち度か?と騒がれたようですが、結局の所『くらま』には落ち度と呼べるものはなし。では『カリナスター』に取舵を"指示"した関門マーチスに原因の一端が?とも思われるも、よくよく調べてみれば当の『カリナスター』が関門マーチスの"助言"を放置して当初の針路をそのまま進んだために面舵を取った前方の貨物船にぶつかりそうになり、急に取舵を取って狭い海峡の航路を塞いだ格好になったというのが真相のようです。『くらま』側から見れば相手の視認から衝突まで僅かな時間しかなかったようで、『くらま』が取り得る対処手段は事実上ないも同然だったといえそうです。 事故発生当初の報道では「『くらま』が右に避けることはできなかったのか?」という指摘もあったようですが、ただでさえ狭く浅瀬も多い関門海峡でもし『くらま』が強引に面舵を取っていたら浅瀬に座礁するか陸に頭から突っ込んで一層重大な損害を被った可能性が高く、そればかりか座礁した『くらま』に『カリナスター』が横合いから突っ込むという最悪の状況も考えられたようで・・・ 何にせよ、今回の事故の主因はほぼ完全に『カリナスター』側に帰し、『くらま』にとってはとんだ貰い事故だったことだけは確かなようです。25日に相模湾で開催された平成21年度自衛隊観艦式において観閲艦として内閣総理大臣の坐乗を迎える栄誉に浴したばかりというのに、何とも酷い不運です。そういえば、同型の『しらね』(DDH143)も一昨年に火災でCICが全焼する事故を起こしており、何か呪いでもかけられてるんでしょうかね(爆) 気になるのは『くらま』の今後の修理。詳細な損傷状況は公表されていませんが、もしかすると喫水線下の艦首ソナーも衝突により損傷している可能性があります。完全に潰れてしまった艦首部については、江田島に回航されて解体を待つ旧『はるな』(DDH141)から切り取って移植するというウルトラCも考えられそうですが、費用等を考えると普通にブロック工法での新造でしょうかね。何はともあれ、一日も早い『くらま』の復旧を祈ります。 しかし、不幸が続くとはこういうことなのか、『くらま』の事故の翌日夜には我が地元愛媛の伊予灘で掃海艇『みやじま』(MSC690)が底引き網漁船に衝突される事故が起きました。こちらは続報が今のところ聞こえてきませんが、掃海訓練を終えて錨泊中の『みやじま』に漁を終えて寄港中の漁船が衝突したということで、こちらも海自側の非は少なくなりそうです。 というわけで、2日連続で自衛艦の衝突事故というバッドニュースに見舞われてしまった海自ですが、その影に隠れる形でちょっとだけグッドニュースも・・・(笑) 『こんごう』(DDG173)『ちょうかい』(DDG176)に続いてスタンダードSM-3を搭載するMD(ミサイル防衛)対応改修を受けた『みょうこう』(DDG175)が29日に米ハワイ沖でSM-3の実射試験を行い、模擬弾道ミサイルの撃破に成功しました。『こんごう』が成功、『ちょうかい』が失敗と続いて今回の成功でスコアとしては2勝1敗といったところですが、今回の試験は『ちょうかい』が失敗した事前通知なしでの迎撃試験であり、SM-3の技術的信頼性は実証されたといえるでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.11.03 13:21:27
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