カテゴリ:エセ軍事マニアの呟き
本日13日、長崎県佐世保市の三菱重工業株式会社長崎造船所において、海上自衛隊の5,000t型汎用護衛艦の1番艦が進水式を迎え、『あきづき』(DD115)と命名されました。
海自の護衛艦で『あきづき』の名を冠するのは、海自黎明期の1960年に就役した初代『あきづき』(DD161)に続いて本型が2代目となります。 初代『あきづき』ははるかぜ型・あやなみ型・むらさめ型に続く黎明期の海自国産護衛艦の第4弾であり、 アメリカが自国の予算で同盟国の物資等を調達・供与するOSP(域外調達)によってアメリカ側から予算提供を受け、設計・建造はすべて日本で行うという方式で建造された異色の艦でした。このため、2番艦『てるづき』(DD162)と共に米海軍駆逐艦としての艦番号(DD960/961)も持ち、完成後一旦米海軍籍に入れられてから海自に引き渡す形式が取られました。 OSPによって建造予算に余裕が生まれたため、初代あきづき型はあやなみ/むらさめ型の設計を踏襲しつつ対空・対潜・対水上の各戦闘に対応可能な汎用艦として設計され、さらに艦隊旗艦としての機能も付与されたことから、当時としては海自最大級の基準排水量2,350tという大型艦となりました。護衛艦隊の初代旗艦も務め、特務艦籍に移動してからも管理人が高校生の頃まで現役で活躍していました。 初代あきづき型は多数の砲熕兵装を備え、当時としては充実した対空能力を持っていましたが、今回進水した新しいあきづき型はFCS-3A射撃指揮装置とESSM(発達型シースパロー)艦対空ミサイルを備えて僚艦防空能力を強化し、MD(ミサイル防衛)に従事するイージスシステム搭載のミサイル護衛艦(こんごう型)の艦隊防空任務を補完することも想定しているのが特徴で、優れた対空能力を持つという点では『あきづき』の名を受け継ぐのに相応しいと言えるでしょう。 当初のイメージ図ではむらさめ/たかなみ型を踏襲しつつ搭載艇や艦対艦ミサイルを覆うスクリーンを設けて完全にフラットになった艦上構造物や前甲板のブルワークなどRCS低減を図った艦影になる予定でしたが、予算削減の煽りでこれらのステルス関連の設計は見送られたようで、全体的にはたかなみ型に毛が生えた程度のステルス型艦影に落ち着いた感じです。個人的な印象では、前部構造物上のフェーズド・アレイ・レーダー搭載部は当初のイメージ図みたいにコンパクトにまとめてもよかった気がします。 あきづき型護衛艦は現在までに4隻の建造が予定されており、うち4番艦は岡山県の三井造船玉野造船所で建造される模様です。三井玉野での護衛艦の建造はむらさめ型2番艦『はるさめ』(DD102)以来実に17年ぶりとなります。三井玉野では自衛艦を含む建造船舶の進水式を一般に公開しているので、チャンスがあればあきづき型4番艦の進水を見ることができるかも・・・? ただ、現時点では現在護衛艦隊に籍を置くあさぎり型護衛艦6隻のうち4隻しか更新できないので、残る2隻も順当にあきづき型を調達するのか、あるいはもうしばらくあさぎり型2隻で頑張らせるのか、それとも次世代型の汎用護衛艦に引き継ぐのか気になるところです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.10.17 17:50:54
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