図書館で『ネットが生んだ文化』という本を手にしたのです。
パラパラとめくると、炎上、2ちゃんねる、コピー文化、ブログ論壇、等々、気になる言葉が頻出しているわけで・・・物見高い大使の気を引いたのです。
【ネットが生んだ文化】
![ネット](https://image.space.rakuten.co.jp/d/strg/ctrl/9/7403b4ab2ed47b7d1a081f804b520c3aa1cf10c1.26.2.9.2.jpeg)
川上量生, 伊藤穣一etc.著、KADOKAWA、2014年刊
<「BOOK」データベース>より
これからの日本を支配するネット住民の行動原理とは?非リア・コピー・炎上・嫌儲の4キーワードを理解せよ。
【目次】
第1部 日本のネット文化と精神風土(ネットがつくった文化圏/日本のネットカルチャー史/ネットの言論空間形成)/第2部 ネット文化を支配する原理(リア充対非リアの不毛な戦い/炎上の構造ー100年後も1000年後も、どこかで誰かが燃えている/祭りと血祭りー炎上の社会学/日本文化にみるコピペのルール/リア充/非リア充の構造)
<読む前の大使寸評>
パラパラとめくると、炎上、2ちゃんねる、コピー文化、ブログ論壇、等々、気になる言葉が頻出しているわけで・・・物見高い大使の気を引いたのです。
この本は「角川インターネット講座」シリーズ全15巻の1冊で、これまで3冊ほど刊行されているようです。
rakutenネットが生んだ文化
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これまで、「リア充」という言葉を知らなかったが、ネット流行語大賞2007の21位の流行語だったようです(遅れていたのか)
<ネット民を知る上で重要な「リア充」という概念:川上量生>よりp15~19
■ニート問題と非リア
ネット民は、「リア充」なるものを憎悪するという掟がなぜかある。これは明らかにネット原住民から発生した文化である。なぜネット原住民が「リア充」を憎むんかというと、自分たちが「リア充」から排除され、仲間はずれにされたという思いをもっているからだ。つまりネット原住民自身は「リア充」ではない。ネット原住民とは「リア充」と対になる言葉の「非リア」である。
ネット文化を理解するには、まず「リア充」と「非リア」がどういった存在であるのかを理解する必要がある、「リア充」とは友達や彼女がいたりして現実での人間関係が充実しているひとたちのことを指す。「非リア」とはそうではないひちたちのことだ。
「非リア」たるネット原住民が、なぜ現実社会を離れていちはやくネット新大陸に移住してきたか?それは、現実社会に居場所がなかったからに他ならない。つまり、初期のネットとは人間関係の構築が不得手だった人々=「非リア」が現実社会から逃げ出してさまよったあげくに見いだした安息の場所、約束の土地だったのだ。
(中略)
2ちゃんねる発の言葉に「敵に回すと恐ろしいが、味方にすると頼りない」とネット民を評したものがある。この言葉は、極めてうまくネット民の特徴を表している。
典型的なネット民は、世の中への恨みという負のエネルギーを潜在的にもっていて攻撃対象への怒りという一時的な負の方向での連帯を生む。しかしながら、コミュニケーション能力や社会性が欠けているため、仲間同士の助け合いなどは苦手である。
また、彼らが憎むものには一定の共通項があり、自分たちを排除した現実社会の象徴になるものに対しては牙をむきやすい。たとえばリア充やいじめをしていた人間に対しての憎悪はとても強い。
一方で、コンピューターやゲーム、アニメ、ライトノベルといった「オタク」コンテンツを好むという共通項をもつ。家にこもってひとりで楽しむコンテンツにはまっているのは、現実社会に居場所がないからこそだ。
「非リア」でオタクコンテンツを好むという性質をもつネット原住民たちが大量に生まれた背景には、日本独特の事情が存在する。いわゆるニート問題である。
通常、ニート、若年失業者の問題は社会不安の引金になる。だが、日本のニート問題は社会不安にはつながりにくい。なぜなら、彼らが親に寄生しているからだ。そういう豊かな日本の経済力に寄生するニートが、ネット原住民の大きな供給源となっているのだ。
他の国ではニートのような失業者はネットにつながる経済力ももてないことが多いが、日本においてはニートもネットにつなげられる。ネットにつながった彼らはとにかくヒマであるから、一日中、ネットにアクセスしているのである。
こういうヒマをもてあましたネットユーザーは通常のネットユーザーよりもネットにおける存在感が桁外れに大きいのは当たり前だ。そんな人たちが現在のネット文化を産みだすのに決定的に大きな役割を果たしたのである。
■世界的に広がる非リア文化
こうした非リアたちが生み出すネット文化自体は、実は世界的な広がりを見せてもいる。例えば韓国は日本と非常に近い状況にある。アメリカでも、2ちゃんねるに数年遅れて日本のオタク文化を継承した「4chan」という画像掲示板サービスが登場して成功している。
ネットはテレビに続く貧者のメディアになるともいわれており、日本に限らず世界的にもネットにつなげられるニート層というのは増えているのだろう。ネット原住民はもはや日本だけのものではないのである。
そして日本のオタク文化は国境を越えて、ネット原住民たちには相性がいいようなのだ。日本のアニメが海外のテレビ局で放送されなくなって久しいが、年々、盛況となっていくフランスのジャパンエキスポをはじめとして、日本のオタク文化を好きな海外のファンは増え続けているといわれる。
彼らはインターネット経由で日本のオタク文化を摂取しているのだ。フランスのジャパンエキスポや米国のアニメエキスポなどの様子はニコニコ生放送でも中継されているが、そこでカメラに映し出される海外のオタクたちの雰囲気や振る舞いは、見た目は外国人ななのにかかわらず驚くほど日本のオタクたちに似ている。思わず日本の視聴者でも「海外のおまえら」と評したコメントを書く人が続出するくらいだ。
ちなみに、さきほど紹介した米国版2ちゃんねるともいえる「4chan」のサービスを立ち上げた「moot」は、米国のひろゆき*的な人物で、見た目もまさにオタクそのものだ。
(中略)
そして「クールジャパン」というものも、結局のところ「非リア」に受けるコンテンツの分野は、非リア先進国である日本が得意なだけであるというように解釈できる。そうすると世界にニートや非リアが植えるのであれば、今後の日本のコンテンツ文化の未来もまた明るいといえるのではないだろうか。
(*:西村博之氏、2ちゃんねるの開設者)
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…ムムム、家にこもって「オタク」コンテンツを好むというあたりは、大使にも当てはまるではないか(笑)
ちなみに、ネット流行語大賞2015は、”五郎丸”だそうです。
『ガジェット通信ネット流行語大賞2015』決定!より