カテゴリ:相続・事業承継
3級FP技能士 合格講座 中野克彦 中島智美 藤崎仁
(59) 相続税の総額の算出方法は、次のとおりである。 a 課税遺産総額=課税価格の合計額-( A ) b 各法定相続人の( B )に応ずる取得金額=課税遺産総額×各 法定相続人の( B ) c 相続税の総額=(各法定相続人の( B )に応ずる取得金額× 相続税の累進税率)の合計 1)A 遺産に係る基礎控除額 B 法定相続分 2)A 非課税財産の額 B 法定相続分 3)A 遺産に係る基礎控除額 B 取得相続分 解説者:藤崎 仁 (税理士、CFP(R)、1級FP技能士) (59) 正解:1 【相続税の総額】 相続税額の計算は、いきなり各相続人が納付しなければならない税額を求めるのではなく、まず、財産を取得した全員で納付しなければならない相続税額(これを相続税の総額といいます)を計算し、この相続税の総額を財産の取得割合に応じて各人に振り分けるという方法をとります。 相続税の総額の計算は、設問にある3つのステップにより行われます。 a) まずは、被相続人がもっていた財産や借金を加減算した結果算出された課税価格の合計額から、遺産に係る基礎控除額をマイナスして課税遺産総額を求めます。 この遺産に係る基礎控除額というのは、 5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数) という算式で計算されます。 例えば、法定相続人が3人であれば、5,000万円+(1,000万円×3人)= 8,000万円となり、この金額をマイナスすることができるので、財産評価額が8,000万円以下なら相続税はかからないことになります。 この遺産に係る基礎控除額があるので、たいていの方は相続税を納める義務は生じません。 ひとつ注意したいのは法定相続人という言葉です。単に「相続人」ではありません。 「法定相続人」というのは、 (自分の意思で相続放棄をした人がいても)その放棄がなかったものとした場合の相続人 をいいます。 ちょっと難しくなってきましたね。 たとえばこんな場合↓ 父 === 母 │ │ 甲 ==== 乙 │ │ A 甲さんが亡くなった時の「相続人」は、配偶者乙と子Aの2人になりますよね。 「法定相続人」も乙とAの2人となり、遺産に係る基礎控除額は 7,000万円 となります。 先ほどの遺産に係る基礎控除額の算式を見ると、法定相続人の数が多いほど控除額が大きくなる仕組みとなっています。 そこで家族ぐるみで作戦を立てて、Aが相続放棄したとします。 すると「相続人」は配偶者乙と父それから母の3人になります。 それでは、「法定相続人」も3人となり、遺産にかかる基礎控除額が1,000万円増えて8,000万円になるかというと、そんな都合よくははいきません。 これを認めてしまうと、相続放棄を意図的に行うことで基礎控除額を増やす、つまり、課税される金額を減らすことができてしまうからです。 Aが放棄した場合でも「法定相続人」は乙とAの2人となります。遺産に係る基礎控除額は 7,000万円です。 b) 次に、a)で求めた課税遺産総額を法定相続人が法定相続分で取得したものとした場合の取得金額を計算します。 ここでも放棄があってもなかったものとした場合の相続人や相続分を使って計算します。 実際に誰がいくら取得したかはまだここでは関係ないのです。 例えば先ほどの例で、財産(1億円あったと仮定)のすべてを配偶者乙が相続した場合でも、ここでは、「法定相続人」である乙とAが法定相続分どおり(つまり乙1/2、子1/2)取得した場合の各法定相続人の取得金額(乙も子もともに1億円×1/2=5,000万円)を求めます。 c) 最後にb)で計算した各法定相続人の取得金額に税率をかけて相続税額を算出し、これをすべて合計します。 この合計額が相続税の総額です(長かったですね、お疲れ様でした) 相続税の総額を計算するこの3つのステップに共通して言えることは、「実際誰がいくら取得したか」ということは計算には関係ないということです。 (自分の意思で可能な相続放棄を全く無視して)法定相続人が法定相続分どおり取得したら、全員でいくら納税しなければならないのかを計算しているのです。 この「相続税の総額」を、今度は、実際財産を取得した人がその取得した割合で納税する義務を負うことになります。 ────── COPYRIGHT (C) 2007 Hitoshi Fujisaki All Rights Reserved. ────── お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2007.02.18 11:18:32
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