海のエジプト展
先日、横浜みなとみらいへ『海のエジプト展』を見に行ってきました。桜木町駅から徒歩で向かいました。この駅周辺は来る度に人の多さに驚かされます。日本一の高さ296m(70階)を誇る横浜ランドマークタワーです。そして、横浜ランドマークタワーを結ぶ「動く歩道」へ。横浜市は今年の4月1日から、先導的な環境整備事業として、この「動く歩道」に、屋根と一体化させたソーラーパネルを導入し、太陽光発電の電力使用をスタートしたのです。 屋根の長さは232メートル、全体面積は1,773m2で、アモルファスシリコンを使った太陽電池の最大発電能力は約75,000kWh/年。発電した電気は、動く歩道の動力や照明などに使用しているとのこと。この日は曇天のため発電量が今一伸びていませんでしたが、この様な施設が増えて来たことは嬉しいことです。日本丸が係留されていました。日本丸の係留されている旧横浜船渠株式会社第一号ドッグは、国の重要文化材に指定されているのです。そしてこの日本丸は我が親会社が建造したのです。クイーンズスクエア横浜を貫き、ランドマークプラザとパシフィコ横浜を結ぶ巨大通路クイーンモールを歩き『海のエジプト展』会場に向かいました。途中ユニークなステンレス製のオブジェが目の前に。『モクモク ワクワク』と言う名の作品。風の通り道・流れを意識し、「たなびく雲」をイメージして作られた作品とのこと。夜のライトアップ時はダイナッミクな空間となるとのことでした。 そしてようやく会場入り口へ。「海のエジプト展」は、2000年ほど前にクレオパトラの宮殿があったといわれる、エジプト第2の都市アレクサンドリアの沖合から引き上げられた遺物を紹介する展覧会です。約5メートルのファラオの彫像や、ヒエログリフが刻まれたステラ(石碑)、スフィンクスや女神などの石像、金や宝石で彩られたアクセサリー、王の横顔が彫られたコインなど、すべてが日本初公開なのです。紀元前700年から後800年まで、古代エジプトの「末期王朝」から「プトレマイオス朝」、さらには「ギリシャ」「ローマ」時代へとつながる1500年間の歴史をたどる展覧会です。アレクサンドリア、ヘラクレイオン、カノープスという3つの古代都市ごとに発掘された遺物を紹介しているのです。入場券はなんと2300円。高すぎます!!!!。しかしここまで歩いてきて引き返すわけには行かずチケットを購入し会場内部へ。もっと混雑しているのかと思っていましたが思いの外、人が少ない。いやでも人が多いのです。入り口で音声案内器を500円でレンタルしました。通路にはアレクサンドリアの海を思わせるCGが床面に映されていました。そしてその映された海の上を歩くと本当に海の上を歩いているのではないかと錯覚する如く足下から波紋が発生するのです。海底に長い間眠っていた、エジプトの遺跡を発見した人、それがフランスの海洋考古学者のフランク・ゴディオ氏。クレオパトラが最も愛した街、アレクサンドリアにあった古代都市が、地震による地盤沈下で、海底に沈んでしまったのです。ゴディオ氏の丹念な調査によって、たくさんの遺跡が海中から引き揚げられ、調査、修復したものを、今、私は目の前で、蘇るロマンとして見ているのでした。最初は「カノープス」、ここカノープスはセラピス神をまつる神殿があり多くの巡礼者が訪れた町。このコーナーの中心的展示品は「デカンの祠堂」。 『日経BP社HPより』ヒエログリフが刻まれた石の祠であるが、いくつかのパーツが立体パズルのように組み合わされた状態で展示されていました。それぞれのパーツは別々に発見されたため、長らく離れた場所で別個のものとしてバラバラに収蔵保管されていたのだ。それらがもとは一つのものであったと気づいた人物が、これを寄せ集め復元したのだ。精緻なヒエログリフが美しい。そして、このコーナーで素晴らしく感激したのは、「王妃の像(アルシノエ2世)」。頭部と腕の一部が失われていたが、薄布をまとった女性の像で、体に極めてうすい布がまとわりついている感じがリアル。後ろ姿がなまめかしく、いまにも歩き出しそうでした。つぎは「ヘラクレイオン」。ヘラクレスに捧げられた大神殿があった町。エジプトと地中海世界の玄関口。まず目につくのは「プトレマイオス8世のステラ」。見上げるほど大きな石版です。そして、このエジプト展の目玉であるハピ・ファラオ・王妃の三体の巨像がこのコーナーにありました。 『日経BP社HPより』保存状態がよく、とても美しい「ネクタネボ一世のステラ」も必見です。 『日経BP社HPより』 次ぎに「アレクサンドリア」はプトレマイオス朝の王都として栄えた町。クレオパトラが愛した都として有名。クレオパトラの肖像が彫られたコイン、彼女とカエサルの息子カエサリオンの像の頭部、クレオパトラの父親プトレマイオス12世の顔をしたスフィンクスなどクレオパトラに関係した展示物は驚きの連続でした。 『日経BP社HPより』 そして最後に幅15mほどの巨大スクリーンを用いた「海のエジプト展」バーチャル体験シアターへ。このバーチャル体験シアターは、ナビゲーターの女性がコントローラーを操作して本作品を案内。まるでその場にいるかのような臨場感でカノープス、ヘラクレイオン、アレクサンドリアの海の中を泳ぎ、遺物の発見を体験することができたのでした。そして2000年の時間を超えてクレオパトラが愛したといわれる美しい古代都市の姿を、バードビュー(鳥瞰)からも鑑賞することが出来たのです。何世紀もの間、海の底で眠っていた古代都市の至宝。それは、長い歴史の謎を明らかにし、私を古代エジプトへのすばらしい旅路に誘ってくれたのでした。20年ほど前にエジプトを訪れ、ピラミッド、ルクソ-ル、王家の谷、アブシンベル神殿、アスワンハイダムと観てきたのであったが、もう一度この地に行ってみたくなったのである。