知り合いの本屋さんの壁から離れた店中央に、天井まで本が積まれた書棚があった。
上部の固定が無さそうなので、
「地震で倒れるよ」と言うと、
「重いから大丈夫だよ。」
確かに100kg以上ありそうで、押した位ではびくともしない。
しかし違う。 (物理の嫌いな方は青部分を飛ばしてください)
文科系の人に加速度、力、重力の話をして納得してもらうのは非常に面倒なことなので、
「絶対倒れるから、気を付けた方が良いよ」とだけ言った。
案の定今回の地震で倒れたものの、怪我が無くてよかった。
物理の教科書を紐解けば、同じ加速度を受ける場合、重い物はそれだけ大きな力を受け、倒れやすさは重さに関係しない。滑りやすさも同じはず。
しかし、実際問題として重い物は床にめり込み、摩擦係数が変わり滑り難くなるのは経験できる。滑らなければ逆に倒れやすくなる。
宮城県図書館でさえ蔵書110万冊すべて落下し、4月7日の地震でまた50万冊落下したと言う。
本棚が倒れるのは問題外だが、物理的に本が落下しないようにするのは不可能ではない。
しかし、よくよく考えてみると本が落下しないと言うことは、家の壁や柱にそれだけの重量物が抱きついていると言うことになり、建物の負担は間違いなく増す。
建物の傷みを少なくするためには、本が落下してしまった方が良いと言うことになる。
もっと考えれば、本が地震の揺れを吸収してしまうこともできないわけではない。本が落ちないで棚の前後を滑れば、建物を変形させるエネルギーの一部は摩擦熱で消費されるはず。
これ、シュミレーションしてみればかなり面白いと思う。