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小説…「働く女性たち」…幸子の復讐 18話~「洋風居酒屋 ポン吉」駆け込み寺 音川伊奈利
JR西大路駅の近くに築40年の3階建てで部屋数は12部屋のワンルームマンション「初音第一ハイツ」はなぜか?近所の人たちから「バツイチマンション」と呼ばれていた。女性専用ではないがこれもなぜか?独身の女性だけで常に満室だが、入居者の出入りは激しくたえず引っ越し業者のトラックが目についていた。それに3か月に1回ほどなにかしらの事件がありパトカーの出動もあった。そこで小さなマンションだが防犯カメラが合計7台もありこれも異様に光景になっていた。 このマンションのオーナーは65歳の伊吹音吉でこの近くの自宅で「洋風居酒屋 ポン吉」を経営していた。洋風といってもそれは古い建物だけで料理については和風の居酒屋メニューしかなかった。この料理を作るママはこのマンションの入居者で色気のあるホステスさんも同じ入居者のメンバーのシフトだった。 この音吉はブログが趣味で多くのファンがいたが、このブログを読んだ全国のいわゆる理由ありの女性たちの駆け込み寺でもあった。家賃は4万円程度で保証金を入れても15万円ほどですぐに入居できる、それに仕事がなかっても音吉の居酒屋で食事付で働いていた。現在のママは103号室の幸子で料理の得意な33歳だった。 この幸子は福岡県の小倉で夫婦で洋菓子店を経営していたが、その旦那が店のパートの子とできて幸子は追い出されたという。それに腹を立てた幸子は同じ町内でこれまた対抗するために「洋菓子 ボン幸子」という店を出していたが、客の取り合いから共倒れになりこの2つの店はあえなく倒産していた。この身の上話を幸子は音吉にしていた、音吉は、 「同じところにケーキの店を出すなんて無茶をしたよね…」 「そう、それは最初からわかっていたは、でも…どうしてもあの2人は許せなかったの、元主人のあのケーキ店も私のOL時代の貯金と私の両親の出資で始めたもので私なんか朝の4時から夜遅くまで年中無休で働いて10年、やっとそれなりに福岡でも有名な店になったの…それで私もやっと子供を作れると思った矢先のことで…」 「そうだよね~幸子さんの店のブログは人気があったから」 「そう、そのブログで音吉さんと知り合ったのネ…それで私は旦那の店をつぶしてから京都に逃げようと誓ったの…」 「莫大の店の出資金を無駄にしても復讐をしたかったのか?」 「そう、おかげで元夫はその女にも捨てられて借金だけが残り悪質な借金取りに追われてこれも逃亡しているらしいの」 幸子は協議離婚の際に元夫から500万円の出資金を取り返していた。それに自分の貯金の500万円とで店を開店していたので店が倒産しても借金は残らなかったが無一文になった。そこで幸子は音吉の居酒屋に駆け込んできた。当面の仕事が見つかるまでのママ稼業だったが、これがまた30過ぎの色気のある幸子の接待で西大路近くの商店主や会社経営をリタイアした元社長さんなど常連客の大人気で店は大繁盛していた。 音吉は将来また京都でケーキ店をやりたいという幸子に月に20万円の給料を支払っていた。それにマンションの家賃も社宅として免除していた。食事もすべて店で食べていた、それに客からのチップなどもあるので幸子は月々20万円の貯金をしていたことになる。それから半年ほど経ったある日、それも店の閉店と同時に元幸子の旦那が現れた。その旦那は幸子のブログを知っていたのでここから見当をつけてきたと容易に判断できた。幸子は元夫の顔を見たと同時に音吉に「すぐ店にきてほしい」と電話していた。 音吉が店に着くと客は閉店でその元夫だけがカウンターにポツリと座っていた、音吉は元夫の里井修平に、 「里井さん、もう離婚は成立しているのだから幸子さんの目の前に現れてほしくはない」 「いや、しかし、私は貴方にそんなことを言われる筋合いはない」 「いやいや、私はこの幸子さんを雇用している。その雇用主としての責任もある」 「ほう、そういうことか!それなら幸子とお前はできているのか?」 そこで幸子が、 「はい、里井さん、その通りで私は音吉さんが大好きです」 「そんな馬鹿な、このおっさんはもう70近いだろう…」 「そんなことは関係がありません」 「俺はお前に店をつぶされて人生が狂った、その責任を取ってもらうための話をしたい…」 「いやです。話もなにもかもすべて弁護士さんを通して解決しています」 「まぁ~今日のところは帰るが、その話をしなければ俺は死んで死にきれない」 音吉と幸子は考えていた。まだ里井は幸子の部屋を知らない。下手にこのままマンションに帰ると部屋が里井に察知される。そこで幸子がマスター今夜はタクシーで南インターのラブホテルで泊まりましょうという。音吉は友人の個人タクシーの大塚を呼んでいる、そしてこの2人がタクシーに乗ると同時にその後ろから福岡ナンバーのワゴン車がついてきた。幸子は、 「あの車は里井の車です…」 「大塚ちゃん、あの後ろの車をまいてくれ」 「ほう、これはおもしろい…」 と運転手の大塚はなぜか?喜んでいた。 幸子と音吉を乗せたタクシーは1号線を南下して京田辺の山の中を疾走している。この山の道はカーブが多くて危険な道だが元々この大塚は京田辺出身で道を知り尽くしていた。運転にはど素人の里井はついていくだけで必死だが、そこで大塚はカーブを曲がり切ったところで急ブレーキを踏んでいた。人間とは不思議なもので前に障害物があるとハンドルを切ってそれを避けようとする習性があった。里井もそれで右にハンドルを切ったがそこはガードレールがない崖だった。 幸子と音吉はそれを見てから運転手の大塚に、 「悪いけど、ここから南インターに行ってほしい」 「ほいほい、さっき自損事故があったようだけど、一応、110番しとくネ」 「そう、事故を見ればすぐ110番だから、…」 「もしもし、たぶん事故だと思います。崖の下の谷底にハザードランプがチカチカ光って見えます。えっ…私?いぇ、事故は見ていません、ただ、走っていたら下に明かりが…あっ、はい、私は個人タクシーの大塚です」 音吉と幸子はラブホテルの朝のテレビで昨夜の事故を知った。それによると 「福岡県警から詐欺で指名手配されていた男が単独の事故を起こして死亡した」 という動画もない簡単なニュースだった。 …この「働く女性たち」は、不定期でまだまだ続きます。 お笑いコラム…「伏見稲荷大社」の物語も80話にもなりました。最初の1話は「吉祥院天満宮・政所公園の白狐」これになります この コラムに関するご意見等は「音川伊奈利の掲示板」にお書きください。HNは必ず書いてネ、 新電子書籍…このブログの記事をまとめた無料の書籍になります。 「伏見稲荷大社の物語・嵯峨天皇と稲荷神社 73話…更新随時」 http://p.booklog.jp/book/108339/read 「京都歴史裏のコラム・吉祥院天満宮・政所公園の白狐、北政所御墳墓、吉祥院稲荷・キュウリの糠漬け」 http://plaza.rakuten.co.jp/kyoto24/diary/201607090000/
京聯、破産手続きへ、運転手・京聯タクシー倒産、160名解雇・(京聯自動車が破綻、8月29日) http://plaza.rakuten.co.jp/kyoto24/diary/201504020000/?scid=su_369 無料の電子書籍 長編小説「トラック3姉妹・ダンプ姉ちゃん理絵」...1部(31話) http://p.booklog.jp/book/103886/read http://p.booklog.jp/book/108339/read 無料の電子書籍4冊できました。それぞれの題名で検索もできますから読んでください。 http://p.booklog.jp/book/103886/read お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年01月07日 07時11分59秒
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