カテゴリ:今日の2次カリエスシリーズ
40代女性、左上6、ハイブリッドクラウン破折、2次カリエス
前回のつづき https://plaza.rakuten.co.jp/mabo400dc/diary/202404260002/ ハイブリッドレジンの補綴物は物性が改良されて強度が増しているとはいえ、強い咬合力で撓むので接着剤が剥がれ脱離しやすい。すぐに取れればまだ良いが接着剤が剥がれて隙間ができても脱離しない場合は最悪のケースとなる。 隙間腐食により内部の象牙質がブヨブヨに溶けてしまう。軟化した象牙質(虫歯)を除去するとペラペラの残根状態になってしまった歯は治療不能で抜歯になってしまうこともある。 残根というのは元々抜歯の病名だ。 再度虫歯にならないためには歯質をイオン伝導性のないレジンで完全に覆うのが良い。歯質に直接冠を被せるのがよくない。隙間ができるとまたそこから虫歯になる。 歯質にイオン伝導がなければ虫歯にならない。歯質に金属を直接接触させるのも良くない。異種金属接触腐食が起こる。 虫歯とはハイドロキシアパタイトの電気化学的腐食だからだ。これを「虫歯の電気化学説」とよんでいる。 レジンで歯根面を覆う場合は歯根面はスムーズではなく凸凹がある方が良い。レジンの食い付きがよくアンダーカットもあり脱離しにくいからだ。 10年以上やっているが意外に脱離のケースは少ない。脱離するときもあっさり外れるのでひどい2次カリエスを避けることができる。 CAD/CAMで作る場合は凹凸があると良くないので脱離しやすいということになる。 そもそも機械で作ろうが手作業だろうが、神経を取って被せをするという考え自体が時代錯誤的で少子高齢化時代にはそぐわないということだ。 またレジンコアは丸く低い方が咬合力による応力が歯根の中心に向かい歯根が破折したりレジンコアが脱離するのを防ぐことができる。維持力にはピンレッジを使うと良い。 意外なことだが、多くの症例ではポストを使わなくとも簡単には脱離しないことを経験する。 ポストはない方が歯根破折を招きにくいし、中途半端に脱離して2次カリエスを招くこともない。むしろポストを使わない方が問題が起こる前に脱離するので歯質が守られると言っても良い。これはフェールセーフと呼ばれる手法だ。 ハイブリッドレジンは撓みやすいので単独で使用せず、金属フレームを使うべきだ。銀合金はコストパフォーマンスが良いが耐摩耗性が良くないので、直接対合歯と噛ませるのはよくない。耐摩耗性の良い吟味されたハイブリッドレジン系の素材をメタルフレームの上に築成して歯冠を作るとよい。 残念ながらCAD/CAMではピン部分のハイブリッドレジンでの加工が難しい。強度的にできないだろう。メタルやジルコニアならできるかもしれないが。 ま、神経を取って被せとか、最初からしないことがもっとも良いが。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024/05/06 01:32:38 PM
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