カテゴリ:シネマ/ドラマ
市川崑 東京オリンピック 1964年開催、翌年映画公開の公式記録映画。 各種ランキングにはあまり出てこないが、日本映画の傑作である。 私個人的にも、これまで見てきた映画の中でかなり上位に位置する。 国策映画として、映画館はもとより、全国津々浦々の公民館や学校 などで上映され、この映画でオリンピックというものの崇高な意義が 初めて分かったという国民も少なくなかったといわれる。 観客動員数では、今もなお歴史的トップを維持していると見られる。 巨匠・市川崑ならではのモダニズムと完全主義で、今見てさえ (写っている被写体は古くても)表現としては全然古くない。 何度見ても感動するし、一種の批評性も利いてるなと思う。 この後の映画・ドラマにもたらした影響は計り知れない。 黛敏郎の音楽も、神がかっている。 富士山の手前を聖火ランナーが駆け抜けるワンカットなどは 市川監督の(今でいう)ヤラセ・演出だといわれているが、 かつてワイドサイズ(シネマスコープ)で写された中で 最も美しい映像であると言えるだろう。 ただ、本来は純粋素朴なスポーツ記録映画を期待されていたものを 市川監督が文学青年系で、全くのスポーツ音痴であったこともあり、 ここまで「芸術」にしちゃっていいのかという批判は 当時からあり、賛否両論・毀誉褒貶相半ばする作風ではあった。 確かに、例えばスポーツ競技中の顔のクローズアップの多用などは、 スポーツ愛好者から見れば、何をやっているのか分からない という正直な感想もあり得るだろうなと思う。 もちろん、私は市川氏の意図を完全に支持するが、 こういった手法は、この作品だけでいだろう。 これは英語ナレーションの国際版なので、オリジナル日本版とは 若干映像の編集が違うが、私の見たところ、ほぼ97%はそのままである。 市川氏も日本人である。日本人が特にフィーチャーされている場面などが、 ちょこちょこカットされている感じだ。これはまあ、しょうがないよね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.05.02 03:10:14
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