601760 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

            ~Singing Flower~

~Singing Flower~

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

カレンダー

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

ラピュタ結晶の秘密@ Re:『母なる大地・父なる空』(02/09) ルパン三世のマモーの正体。それはプロテ…
Hamanari @ Re[1]:いろいろ・くつした(04/27) 灰色ウサギ0646さんへ ありがとうございま…
灰色ウサギ0646@ Re:いろいろ・くつした(04/27) わあ、すごく上達されましたね。色使いが…
Hanamari@ Re:『魔法のココT』(07/19) 楽しんでいますよ♬
灰色ウサギ0646@ Re:『魔法のココT』(07/19) インディアンフルートも習い始めたんです…
Hanamari@ Re[1]:『ハッコーネ!』(06/15) 灰色ウサギ0646さんへ それは残念! 本物…

カテゴリ

2006年10月06日
XML
カテゴリ:Tanka & Haiku
「自費出版で俳句集を作りたいんですけど」
「○○万円程で、5ヶ月位お時間いただければ・・」
「もう少し早くできないでしょうか?」
「そうですねえ、お急ぎでしたら4ヶ月位で」
「4ヶ月ですか・・・」
 (4ヶ月ではダメなんです・・・)
「お値段は、もう少しお勉強できますが」
「もう少し早くできないでしょうか?」
(時間はお金で買えないでしょうか・・・・)
「編集などにお時間がかかりますので、4ヶ月はどうしても・・・」
「そうですか・・・」
 自費出版を扱っている出版社何軒にも電話をした。
 でも答えは皆、似たようなものだった。季節は晩春、春はもう終わろうとしていた。

母に残された時間は3ヶ月。
たった1ヶ月のことだけれど、私にとってその違いは大きかった。
その時、ふと年末のパーティで出会った方を思い出し、すぐに電話をしてみた。
残された時間がないこと、句集を出すのが母の夢だったことなど相談してみた。

「やってみましょう」そう言って下さった。
私は俳句を作らない。どう選句し、編集したらいいのかもわからない。
自分の命の短さを知らない母に、「句集を作ろうか」と話し、膨大な俳句の中から選句を始めた。
のんびり句を選んでいるうちに時がたち、母の体調は日ごとに悪くなっていった。

かなり時間がたっているのに、選句はすすまない。
もう句集をつくるのは無理だろう・・・あきらめかけたある日、その出版社から心温まる暑中見舞いをいただいた。

「もう無理かもしれません」お侘びの電話を入れた。
「まだ、大丈夫ですよ、全力を尽くしますから」
そう言って下さったので、たとえ間にあわなくてもと、選句はあきらめ、今まで賞をいただいたものを中心に、2日間で大雑把に編集しパソコンで打ち込み、持ち込んだ。

それから1カ月。季節は初秋。
「できました!」という電話をいただき、大雨の中取りにいったのが、この句集だ。
「夏薊」(なつあざみ)。母の好きだった紫色(実際の色はもっと薄め)。


natsuazami2

還暦をすぎて俳句を始めた母にとって、老後の楽しみは句作だった。
その年の初めには、NHKの全国俳句大会で特選と生涯学習賞をいただき、NHKホールの壇上に座らせていただいたのもいい記念になった。

結局その句集ができてから、母はさらに三ヶ月ほど頑張ってくれ、その年の終わりに逝った。
句集をフル回転で作って下さったおかげで、元気な時に枕元においてあげることができた。
出版社の方に、感謝の言葉も見つからない程ありがたかったとお礼を言うと、
「あなたが、あまりに一生懸命だったから・・・」と言われた。
心の底から願ってはいたけれど、必死の形相だったのかな、私。

ここで一句できればいいのだけれど、残念ながらその才は受け継がなかったようだ。

natsuazami1



よかったら、クリックしてくださいね!
  ↓    ↓

ブログランキング・にほんブログ村へ







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2006年10月06日 08時13分22秒
コメント(6) | コメントを書く
[Tanka & Haiku] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.