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2006年10月06日
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カテゴリ:Tanka & Haiku
「自費出版で俳句集を作りたいんですけど」
「○○万円程で、5ヶ月位お時間いただければ・・」
「もう少し早くできないでしょうか?」
「そうですねえ、お急ぎでしたら4ヶ月位で」
「4ヶ月ですか・・・」
 (4ヶ月ではダメなんです・・・)
「お値段は、もう少しお勉強できますが」
「もう少し早くできないでしょうか?」
(時間はお金で買えないでしょうか・・・・)
「編集などにお時間がかかりますので、4ヶ月はどうしても・・・」
「そうですか・・・」
 自費出版を扱っている出版社何軒にも電話をした。
 でも答えは皆、似たようなものだった。季節は晩春、春はもう終わろうとしていた。

母に残された時間は3ヶ月。
たった1ヶ月のことだけれど、私にとってその違いは大きかった。
その時、ふと年末のパーティで出会った方を思い出し、すぐに電話をしてみた。
残された時間がないこと、句集を出すのが母の夢だったことなど相談してみた。

「やってみましょう」そう言って下さった。
私は俳句を作らない。どう選句し、編集したらいいのかもわからない。
自分の命の短さを知らない母に、「句集を作ろうか」と話し、膨大な俳句の中から選句を始めた。
のんびり句を選んでいるうちに時がたち、母の体調は日ごとに悪くなっていった。

かなり時間がたっているのに、選句はすすまない。
もう句集をつくるのは無理だろう・・・あきらめかけたある日、その出版社から心温まる暑中見舞いをいただいた。

「もう無理かもしれません」お侘びの電話を入れた。
「まだ、大丈夫ですよ、全力を尽くしますから」
そう言って下さったので、たとえ間にあわなくてもと、選句はあきらめ、今まで賞をいただいたものを中心に、2日間で大雑把に編集しパソコンで打ち込み、持ち込んだ。

それから1カ月。季節は初秋。
「できました!」という電話をいただき、大雨の中取りにいったのが、この句集だ。
「夏薊」(なつあざみ)。母の好きだった紫色(実際の色はもっと薄め)。


natsuazami2

還暦をすぎて俳句を始めた母にとって、老後の楽しみは句作だった。
その年の初めには、NHKの全国俳句大会で特選と生涯学習賞をいただき、NHKホールの壇上に座らせていただいたのもいい記念になった。

結局その句集ができてから、母はさらに三ヶ月ほど頑張ってくれ、その年の終わりに逝った。
句集をフル回転で作って下さったおかげで、元気な時に枕元においてあげることができた。
出版社の方に、感謝の言葉も見つからない程ありがたかったとお礼を言うと、
「あなたが、あまりに一生懸命だったから・・・」と言われた。
心の底から願ってはいたけれど、必死の形相だったのかな、私。

ここで一句できればいいのだけれど、残念ながらその才は受け継がなかったようだ。

natsuazami1



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最終更新日  2006年10月06日 08時13分22秒
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100年後の俳句集   えび さん
ご先祖だけでなく、お母様も俳句が好きだったんですね。それにしても、はなまりさん、がんばりましたね。
この話を読んで、他界した友人のことを思い出しました。彼女は短歌をやっていて、亡くなってからご家族が本を出版されたんですけど、できれば生前に出来上がった本を見せてあげたかったなぁ、と思ったものです。
はなまりさんのお母様はきっと、幸せだったと思いますよ。そして、はなまりさんも、お母様が残してくれた俳句集のお陰でいつでもお母様に会えるから、きっと幸せでしょうね。 (2006年10月06日 18時37分51秒)

改めて   ルル父さん さん
感動しました。
人を思う気持ちは人を動かしてくれるものだなあとつくづく感じます。お母様、嬉しかったことと思います。自分の作品が、形になっていることほど創作者にとって嬉しいことは無いと思います。そして作ってもらった熱意も嬉しかったことと思います。きっといつも傍らにおいて、天上で読んでいらっしゃることと思いますよ。 (2006年10月06日 19時24分18秒)

Re:100年後の俳句集(10/06)   Hanamari☆ さん
えびさんへ
俳句好きな血が、どこかに流れているようですね。
そうなんです、できれば元気なうちに作ってあげたいな・・・と思って。
いろんなタイミングとご好意で、どうにか完成できて、嬉しかったです。


>ご先祖だけでなく、お母様も俳句が好きだったんですね。それにしても、はなまりさん、がんばりましたね。
>この話を読んで、他界した友人のことを思い出しました。彼女は短歌をやっていて、亡くなってからご家族が本を出版されたんですけど、できれば生前に出来上がった本を見せてあげたかったなぁ、と思ったものです。
>はなまりさんのお母様はきっと、幸せだったと思いますよ。そして、はなまりさんも、お母様が残してくれた俳句集のお陰でいつでもお母様に会えるから、きっと幸せでしょうね。
-----
(2006年10月06日 19時56分29秒)

Re:改めて(10/06)   Hanamari☆ さん
ルル父さんへ
急いで作ったので、不備もあるのだけれど、それでも作ってよかったな・・・と思います。
一番母らしいものを遺すことができて、うん、よかったかな・・・と。



>感動しました。
>人を思う気持ちは人を動かしてくれるものだなあとつくづく感じます。お母様、嬉しかったことと思います。自分の作品が、形になっていることほど創作者にとって嬉しいことは無いと思います。そして作ってもらった熱意も嬉しかったことと思います。きっといつも傍らにおいて、天上で読んでいらっしゃることと思いますよ。
-----
(2006年10月06日 19時58分17秒)

Re:『そして100年後の俳句集』(10/06)   おんぽたんぽ さん
とてもじーんとくる良いお話でした。

お母様、句集ができてから三ヶ月も
頑張られたのですね。

はなまりさんが一生懸命だった様子が
伝わってくる様です。

今日は満月。 秋雨でお月様は見えないけれど、
はなまりさんのお母様、きっと今日の記事を
読んで、喜んでいらっしゃいますよ! (2006年10月06日 20時20分55秒)

Re[1]:『そして100年後の俳句集』(10/06)   Hanamari☆ さん
おんぽたんぽさんへ
今日は満月だったんですよね。
お店で、お月見用のお団子を売っていたので、気づきました。

母も喜んでくれているでしょうか。
また一句できたかな?




>とてもじーんとくる良いお話でした。

>お母様、句集ができてから三ヶ月も
>頑張られたのですね。

>はなまりさんが一生懸命だった様子が
>伝わってくる様です。

>今日は満月。 秋雨でお月様は見えないけれど、
>はなまりさんのお母様、きっと今日の記事を
>読んで、喜んでいらっしゃいますよ!
-----
(2006年10月07日 00時09分52秒)


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