夜中に目が覚めて、ためしにと思ってたわむれに
例のカセットテープを最後まで聴いたのがよくなかった。
「山月記」のあとの「名人伝」は笑った。漫画的ですらあった。
そのあとがよくなかった。「牛人」である。
読んだこともない短編だが、不条理な悪夢だった。
イメージが頭から離れず、眠ったら悪夢を見そうでうつらうつらして芯から眠れない。
聴くんじゃなかった。
愛人の子が何だ。怪異な容貌が何だ。せむしが何だ。彼よりも、カジモドの方が余程善人である。陰鬱な復讐譚は、むしろ江戸川乱歩にこそ相応しい。
書いているうちにようやく眠くなってきた。この上は眠れなくても眼と身体だけは休めておこう。
【中古】 李陵・山月記 (新潮文庫)
*「牛人」は全集以外の文庫本には載っていないと思います。後味が悪いので、読むときはコンディションを考えてからにしてください。