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カテゴリ:ノンフィクション・現代社会
沖縄の本土復帰に際し、もっとも尽力した人物の伝記はここにある。だがそれは運動のカリスマとしてだ。実務的な交渉を行うのは、現場の外交官である。
千葉一夫は孤児だった。父もまた外交官だったが、祖国の敗戦を聞いて、妻とともに心中した。遺髪だけが遺り、仏壇だけが残った。 映画で千葉は大使に対し「外務省の総意」と啖呵を切った。だが実際は外務省も「敵」だったらしい。結局、核抜きも本土並みもB29も骨抜きになって沖縄は還ってきた。果実は「自由出撃」を阻止したこと、那覇空港が戻ってきたことくらいだろうか。 初めから勝てる戦いではなかったのかもしれない。だが初めからアメリカにしっぽを振るイエスマンは犬と同じだ。ポチである。人間様からなめられても当然だ。千葉は少なくとも、信念を通すことによって、アメリカ人の尊敬を勝ち得たのである。 忘れてはならないことがある。千葉には家族がいた。娘と息子と、最愛の妻だ。この惠子さんがまた素晴らしい。内助の功というのは、まさに彼女のような人を指して言うのだろう。 映画の原案になった書籍。 【送料無料】 僕は沖縄を取り戻したい 異色の外交官・千葉一夫 / 宮川徹志 【本】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.10.14 19:22:16
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