囈語
山村暮鳥
窃盗金魚
強盜喇叭
恐喝胡弓
賭博ねこ
詐欺更紗
涜職天鵞絨
姦淫林檎
傷害雲雀
殺人ちゆりつぷ
堕胎陰影
騷擾ゆき
放火まるめろ
誘拐かすてえら。
人を食ったような詩ですが、
山村暮鳥は結構前衛的な詩を書いています。「げいご」と題したこの作品も、彼の手によるものと聞かされれば、なるほどと思ってしまいます。
「発見」では、浅学にして不具がそれまで知らなかった詩作品の中から、へえっと感心したものばかりをその都度紹介してきました。この詩も、『悪人の物語』というアンソロジーの冒頭にあったのを、たまたま見つけたのでした。
余計な解説は野暮なことを承知で、ひとつだけ。日本語の文法では、「窃盗金魚」と書くと金魚が窃盗をしたことになります。つまり下手人は金魚というわけです。以下同様。するとこの詩は非常に奇妙な味の作品となるわけで、何じゃアこりゃあと思いつつ、目をそらすことができない。そんな不思議な魅力があります。
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