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2023年06月30日
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​祝!金ロー新吹き替え版「村井国男」復帰☆​
​吹き替え映画の魅力を解説​

インディ・ジョーンズ
/クリスタル・スカルの王国

Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skull

アメリカ(2017年8月11日公開)133分

■ 監督 スティーブン・スピルバーグ
■ 出演者 ハリソン・フォード/ ケイト・ブランシェット/ カレン・アレン/ シャイア・ラブーフ
イゴール・ジジキン/ レイ・ウィンストン/ ジョン・ハート/ ジム・ブロードベント




さて今更ですがw

6月30日公開のインディージョーンズシリーズの最新作
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』公開を記念して

2008年に制作されたインディージョーンズの
実に19年ぶりのまさかの公開となりました4作目となる

『インディー・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』
金曜ロードショーで放送されるのですが

今回の放送では吹替版が新たに録音された
新録版での放送となり

本作のみ諸事情で別の声優の方が演じてきた
ハリソン・フォードの吹き替えに

俳優の村井國夫が復帰した完全版となっての放送となります☆

まあ、ただこれが言いたいだけの記事公開というW
というわけで、

今回は「吹き替え映画の魅力を解説」と題しまして
吹き替えに纏わるお話と

前作からまさかの19年ぶりの公開となった
『インディー・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』

ウチ流の面白く観るポイントを解説しようと
思います☆



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​​■■■もくじ■■■

STORY

吹き替え映画の魅力解説編

吹き替え映画の魅力「村井國夫」編

声優交代劇の舞台裏

パラマウントが日本で展開しない理由

吹替版が字幕版より格下?


『クリスタル・スカルの王国』ウチ流解説編

本作を◯倍面白く観るポイントを解説

米国の悪政「赤狩り」って何?

どうして米国は共産主義を敵視したの?

移住した順番で階層化した移民問題

本作が「1941」のリベンジである理由とは?

SFはインディ映画らしくない理由とは?​​




▲目次へ▲
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- STORY -
---------------------------------------------------------------------------------------------------

時代は赤狩りがはびこる1957年のアメリカ、

ネバダ州にあるアメリカ軍の施設エリア51では
軍人に成り済ましたソ連のKGBに拉致連行されたインディーが

その施設で謎のオーパーツ「クリスタル・スカル」を探す様に強要される

---------------------------------------------------------------------------------------------------
- 解説 -
---------------------------------------------------------------------------------------------------

▲目次へ▲
■吹き替え映画の魅力「村井國夫」編■




さて映画の解説は後で少しだけするとして・・・w
今回は「吹き替え映画の魅力」と題し

今やTVの洋画放送では当たり前となった日本語吹替版洋画の
裏話的トリビアとして今回は声優としても知られる俳優

村井國夫にスポットを当て

「インディージョーンズ4」での話題を中心に
ウチ流の映画の「見どころ」を語って行きたいと思います


現在ハリソン・フォードの吹き替えは俳優兼声優の磯部勉が担当して
スターウォーズのソフト版、最新作の吹き替えも彼が担当しておりますが

元々ハリソン・フォードの吹き替えは俳優の村井國夫が当たり役として
長年担当して来ました

村井國夫と言えば、ドラマ映画で重要な役所を担当する
大物俳優として知られる人物で

私が知る所では「浅見光彦シリーズ」の浅見陽一郎役や

懐かしい所で三谷幸喜の名作『王様のレストラン』第七話「笑わない客」で
千石さんが「淀み切っております」と言っていた日本代表の政治家役などの

組織のトップや政治家役などで良く起用される
日本を代表する俳優の一人でもあります

そういう大物俳優は往々にして、津嘉山正種や本田博太郎の様に
「悪役専門」という立ち位置だったりしますが

どちらかと言えば主人公側の「正義」のポジションを数多く演じている方で

ダンディながらも軽妙でどこか「女たらし」な持ち味のある
企業の部長で20代の頃の浅野ゆう子を愛人に持つ役所を演じると
光るという

日本を代表するバイプレイヤーとしても知られる俳優でもあります


村井國夫は1966年に俳優座養成所卒業後俳優としてデビュー
東映からの誘いを蹴って俳優座の舞台に立ち

舞台俳優としてのキャリアを重ねていきますが
食えないという理由で4年で脱退


多分に漏れずTVドラマの「悪役」を演じながらも
時代劇では悪役にいじめられる側を演じたりする多才ぶりを発揮します

その後TVドラマ界特有のローテンションを消化する様な制作体質に疑問を感じて
再び舞台役者として芝居の世界に身を投じますが

収入を度外視した一念発起だったので
結婚相手の人気女優 音無美紀子とは色々な意味での「格差婚」となった様で

その為かこの時期は本人の言う所の「仕事は何でもやった」という事から
声優の仕事をやる様になったという経緯があった様です

ルーカス作品では85年の「レイダース」の金ローの放送と
次の週に放送した「スターウォーズ」2度めの金ローの放送で

「伝説の黄金の吹き替え」となった
ルーク・スカイウォーカー:水島裕
レイヤ姫:島本須美 (風の谷のナウシカ:ナウシカ役)

で、初めてハリソン・フォードの吹き替えを担当しました

「スターウォーズ」でのハリソン・フォードの吹き替えは
日本テレビ開局30周年記念を祝う
1983年の悪名高い日本初放送では松崎しげるが担当しましたが

本編が始まるまでのタモリ研ナオコのオープニング的前振り番組が大不評で
さっさと始めろという苦情の電話が殺到したという

30周年の大型目玉企画として大金をはたいて獲得した
超大作映画放送の前座として勿体つけたイベントを施し

高視聴率獲得間違いなしに鼻息荒くするテレビ局側と

タダで大人気SF映画が見られるという前評判から
見逃すまいと当日ブラウン管にかじり付くお茶の間との

天と地ほどの温度差を感じる世知辛いお話は
どーでも良いとして・・・W


フォードの声には堀勝之祐や田中亮一、石丸博也、仲木隆司
千葉繁、内田直哉 他様々な声優が当てて

どれもしっくりこないと言われる中

ダンディーで軽妙な演技が持ち味の村井國夫が演じた事で以降

(97)「デビル」 (97)「エアフォースワン」(99)
「ランダム・ハーツ」(02)「K-19」

などのフォード作品の担当声優として定着します


その後ディズニーランドのアトラクション
「インディ・ジョーンズ・アドベンチャー:クリスタルスカルの魔宮」も

ディズニー公認声優として村井國夫が担当し

本作のインディーの吹き替えも当然村井國夫が演じるものと
誰もが思っていた矢先・・・


『スタートレックエンタープライズ』の機関部長トリップ役や
アンディー・ガルシアなどの吹き替えで知られる

声優の内田直哉が担当し、吹き替え映画ファンを落胆させます


▲目次へ▲
■声優交代劇の舞台裏■

この声優変更劇はWikipediaによると

まずオーディションが行われたという事、

演出担当責任者が「日本語が分からない」日本人では無い
「業界で著名なアジア人責任者」という事

前作から19年のブランクが生じた事で
村井國夫がこれまでハリソンやインディーの吹き替えをやって来た
実績がリセットされ
あくまでもハリウッドスタイルを重視して選んだ結果となった事

村井國夫はこの件に付いて最近のニュースのコメントで
「若い俳優に取られてしまった。外された」と表現している事から

そのオーディションに受からなかった、あるいは受けられなかった
という経緯が感じられる事

今回の声優交代劇にはウィキの解説でいう所の
収録には「業界で著名なアジア人責任者」が立ち会っている事から

その人物が
オーディションでも最高責任者だったと考えられますが

「日本語が分からないことから通訳を通じて演出や監修をした」
「声優や日本側の演出家が苦労する一幕もあった」

とも書かれている事から感じられるのは

「英語が話せない人種は頭が悪い」と捉える
悪しき白人至上主義的ハリウッドスタイルが背景にある匂いが
漂って来る様な

これらの背景から
ある種の尊大で 嫌な空気感 がある事を察し取れます


ジョン・ハート演じるオックスを吹き替えた
「スタートレックボイジャー」でドクターを演じた事でも知られる中博史
吹替版収録の様子を語っていて

オーディションで合格したのに実際のレコーディングでは
何度演じてもOKがもらえず困ったそうです

実は録音ディレクターもOKを出さない責任者の態度に困っていた様で

通訳を通して直接責任者から理由を聞くと
「あなたは若いから、ジョン・ハートのような雰囲気を感じ取れない」
とはっきりと言われたそうです

年齢を越えた所で演技をするのが俳優であるにも関わらず

声から受ける印象では無く「見た目」で判断し
英語を話さない人種の演る事をハナから認めない様な

横柄と無知ぶりに中博史は遂にブチギレて

「あの教授のあの恰好、あの表情、あの世界観を考えると
自然とこんな話し方になる」と説明した後

「僕が若いからどうのっていうのはあなたの考え方が固まりすぎている
嫌なら降ろしてもらってもいい」

と通訳を通してはっきりと抗議したら
「OK、GO!」と納得したという一幕があったそうです

この一件を見て思うに
抗議したら考え直す様な「ブレた」所も含めて

この責任者の事を口を揃えて
「業界で著名なアジア人責任者」と表現する所も

その人物の日本文化や日本人に対して理解に乏しい
恐らく演技に付いても表層的な所しか分かっていない

無知無理解ぶり辟易している皮肉の現れの様でもあり

この人物に対しての
日本の声優業界の困惑する様子が見て取れるものがありました


インディーの吹き替えの件で揉めた話は他にも有り

2010年ごろにWOWOWを中心とした
村井國夫を再起用した新録をする企画があった時

権利元のルーカスフィルムが
後に旧3作を新録した内田直哉バージョンで完結したものとして
「現在のテイクがベスト」と頑として受付けず

権利元もパラマウントも
全く日本の事情を頑ななまでに理解しようとしないという事で

仕方なく断念するという事がありました



日本でのインディーの吹き替えは
これまで村井國夫で上手く行っていた実績がありながら

あくまでハリウッドの「オーディション制」を重要視し
日本の事情を汲まないで権利側の判断だけで決定した事を押し付ける
というのは

まるで日本での展開に過度な期待を持っていない様な印象があり

ハリウッドシステムの重視はともかくとして
日本の吹き替えファンが納得しないという日本独自の問題があっても

決定事項に外部のクチを挟ませない
聞く耳を持たない、理解を感じさせないのは

悪い慣習としてのハリウッドスタイルを感じさせるものがあります


ハリソンが憑依した様な吹き替えでハマリ役となり
長年日本でのインディーの声を熱演してきた村井國夫に対しても

日本語も分からない様な責任者を派遣する事に対しても

日本の演劇に対しても何も理解するつもりがない
リスペクトのかけらも感じられない現れとしか
取る事が出来ない

一見「手続き」の重要性を主張し
「道理」としては正しい行いをしている様に見えながら

海外展開に於ける想定内な異例として譲歩する素振りもない

欧米側のまるで日本を見下しているとしか思えないこれらの態度には
怒りすら覚えるものがあります



▲目次へ▲
■パラマウントが日本で展開しない理由■
Paramount Pictures 2022 (Blue)



パラマウント映画 がことさら日本人に「尊大」なのかどうかの
真意はともかくとして・・・

インディージョーンズシリーズ、ミッションインポッシブルシリーズ
スタートレックシリーズを始めとする
人気映画シリーズ、TVシリーズを制作する世界有数の映画会社

パラマウント・ピクチャーズが

日本に対して感じている印象は良くないという
イメージがありました


例えばドル箱コンテンツの「スタートレック」ですが
映画以外のTVシリーズを欧米では全作DVDレンタルしている事に対して

日本ではソフトのレンタルをしておらず

又、最近パラマウントは他サイトへの配信公開を取り止めて
パラマウント制作の作品は自社の配信サイト

「Paramount+」でのみ鑑賞できる様に一本化をしたばかりですが

そのパラマウント作品が鑑賞できる「Paramount+」も
2023年12月からWOWOWオンデマンドで
一部公開することにはなっても

未だ日本では完全な形での展開はしておりません

現在パラマウント制作のTVシリーズは
日本で於いてのみNetflixやAmazonプライムで鑑賞出来る様ですが

今後はどうなるかも分かりません


この背景には欧米に於いても日本が不正ダウンロードに対して
実際にはあって無い様な法律しかしない

「コピー王国」だというイメージが定着している事に起因した

パラマウントが自社のコンテンツが
日本のユーザーの違法ダウンロードの対象となり

海賊版化される防止策として、
レンタルも配信も行わない方針を取っている可能性が高く

日本をマーケットにするにはリスクがあり警戒が必要だと捉えている
印象があります


「MovieNEX」という形で「コピー前提」でソフトを販売する
「ディズニー」の現実的思考とは異なり

パラマウントに取って日本は
自社のコンテンツが侵される防ぐ手立ての無い
潜在的な被害だけでも甚大なものになる

有数の海賊版輩出国家だと
ブラックリスト入りしているとも考えられ

ソフトレンタルも配信も日本のマーケットに於いてのみ消極的なのは
パラマウントが日本のマーケット展開を警戒している現れだと

言えるものがあります



「仮」にそうだとして、その様に
「権利」を何よりも重要視し
「訴訟王国」とまで呼ばれる欧米から見れば

「有効な法整備も出来ない遅れた国家」
としか映らない可能性を考えると

「文化」の遅れた「野蛮」な国という扱いで
「絵画演劇音楽芸術にも遅れている」

という「偏見」が根ざしている可能性が浮かび上がってきます


これらはあくまで私の「私見」で
欧米人の全てがそうでは無くても


日本人の役者に対して「無知前提」で接している
「アジア人責任者」による一連の態度の

「理由」にはなっているかと思えます
ともあれ・・・

今回 その封印が解けて最新作と前作の新録で村井國夫復帰となったのは

正に先程の「ディズニー」がルーカスフィルムを買収
「スターウォーズ」「インディージョーンズ」

権利を持つ事になったのが理由となった訳です

これは、
「アナ雪」の「Let it go」というサビを「ありのままの~」と超訳した
日本文化を深く理解するディズニーあっての村井國夫復活となった

動かざること山の如しのパラマウントの山が動いた
ではなく崩れた・・・w


日本中の
吹き替え映画ファン歓喜
の出来事となった訳でした。

これを受けて前作「クリスタル・スカルの王国」でインディーを演じた
内田直哉と村井國夫は和解し(?)

Twitterでツーショットを公開しました、めでたしめでたしw

​​​​
​​​​​​


▲目次へ▲
■吹替版が字幕版より格下?■​


さて、
日本では海外作品は「字幕」がデフォルトで
吹き替えは字幕映画よりも「格下」という

なんとも権威主義的偏見が映画業界でまかり通っていた様ですが・・・


では、だからと言って「字幕映画」が格上かと言いますと
例えば翻訳界、映画字幕の大家、戸田奈津子が担当した映画は

誤訳が多い事でも知られておりますので
とてもそうとは思えません

例を上げますと
「スタートレック」では「遮蔽装置」を「隠蔽装置」と訳したり

「スターウォーズ」でも「ローカル(地元)」を 「ローカルの星人」
「義勇軍」を「ボランティア」と訳したりとした事で

批判された話は有名で

特に「ロード・オブ・ザ・リング」では
原作と異なる「ワード」を多様した翻訳に激怒した著書のファンから
字幕差し替えの訴えが出る騒動にも発展しました

映画評論家の町山智浩は戸田奈津子の誤訳の多さについて

「製作側による英語の注釈が(翻訳用台本には)ついている。これが通常。
戸田さんはこの注釈を読んでないとしか思えない」と批判し

これは映画ファンが「字幕版映画」に対して
映画への「敬意」とそれに伴う「クオリティー」を求める事に対して

配給側が「まず大ヒット」を求めて大半の予算を「宣伝」に掛けて
「字幕制作」に割く時間的成約と予算を掛け無いという

その中でベストを尽くしているという翻訳の労苦とは別に

配給側の「字幕はあれば良い」程度の認識で委託される
翻訳家に丸投げな現状を物語るものでもあり

それが「映画警察」的存在の町山智浩には
とても感受できない違反行為に映るわけです


対して戸田奈津子を養護する意見も多くある事も事実で

戸田奈津子の字幕作業は
映画鑑賞で字を読む行為が加わる洋画で

原作がある場合の「正確性」にとらわれる余り
画面で字幕を追う事ばかりに気を取られて

演技を見る暇がなく「集中できない」ケースがある事を踏まえて
読む「テンポ」が重要だと考えて字幕を作っている所に
大きな特徴があります

結果「表現が不十分」「原作に無い表現」「世界観を削ぐ」
事態を招く事になるとしても

それは、一回で目に入るだけの文字数を考慮した
一般鑑賞者の理解範囲を越えない現実的配慮で
翻訳作業をしている現れだと言えます


例えば、一般人にとって意味不明な
SF映画の専門用語などが羅列される時などの


「ダイリチウムを核融合したインパルスドライブのソヴェリン級戦艦」
「クリンゴンの侵攻ルートに存在した惑星オルガニアに住む高次生命体」


という様なあっても無くてもストーリー上差し支えのない
「要らない情報」は削ぎ落とし・・・w


「高エネルギで航行する巨大戦艦」「危険地帯に居るエイリアン」の様に

少ない文字数で内容を伝える事は
一部ファンの不評を買うというリスクはあっても

それは効率的な翻訳を目指した結果だと言えます・・・w


元々英語圏を考慮してセリフが作られた洋画で
あって無い様な専門用語を早口で捲し立てられる場面などは

作品世界を知らない人に取っては目で字幕を追うだけで疲れる
「地獄」の様な「何の時間?」でしかないので


英語がネイティブでは無い日本向けに制作される
字幕で「補助」しながら鑑賞する
「日本語字幕映画」では

作品ファンの満足を目的にした
その他の鑑賞者を淘汰する様な意味不明なワードは極力排除して

多くの鑑賞者の為の
映画が鑑賞しやすい環境作りを第一に考えるのが

翻訳の仕事だと言えます

戸田奈津子字幕の仕様の骨頂とも言える
画面の「白い範囲」に「黒文字」又は「黒い範囲」に「白文字」
で収まるだけの一目で入る文字数での字幕表示は

パッと読める、テンポの良い字幕作りを心がけた
誰もが同じ様に映画を愉しめて誰もが鑑賞しやすい

映画を観る人への「心遣い」が感じられます

たとえ作品のファンには不評でも、多くの人から
戸田奈津子の字幕は読みやすいとの高評価を得ているというのも
頷けるものがあります



因みに世界的には・・・米国的にはですが・・・w
海外作品は「吹き替え」がデフォルトです

これはコレで「米国に来て英語を話さない奴は頭が悪い奴」という

先程も語った
英語を世界のデフォルトとする白人至上主義的偏見が
背景の一つと言えます・・・w
(※の様に欧米を語る偏見もあるかもですが・・・w)


吹替版は俳優本人の声では無い難点はあるものの
字幕を読む必要が無い為
画面に集中して鑑賞出来るという利点があります

又問題の「ロード・オブ・ザ・リング」にしても
吹替版で使われたワードは 割りと正しい表現だったと評価も良く

「スタートレック」に至っては、カーク船長をTVと同じ矢島正明が演じ
「新スタートレック」映画にしても ピカード艦長を麦人が演じ

新旧船長が共演する「スタートレックジェネレーションズ」では
吹き替えも矢島正明と麦人が共演する豪華版で

吹き替えマニア感涙の共演となっております☆

それが「パラマウント」の都合で
「スタートレック4 故郷への長い旅」
「スタートレック5新たなる未知へ」
「スタートレック6未知の世界」

の「4」「6」のカーク船長の吹替が
「新スタートレック」ライカー副長を演じた 大塚明夫 だったり
「5」のカークが 筈見純 というマニアックな人が当てたりという

謎の起用なのは序の口で・・・

「スタートレック6」に至ってはもうカオスでw

カーク船長がライカー副長の 大塚明夫
敵役のチャン将軍が「4」のカーク船長の 筈見純
スポックが「新スタートレック」で初代ピカード艦長役の 吉水慶
クリンゴン宰相が 現在のピカード艦長役の 麦人

という新旧スタートレック映画声優総出演となった
コレはコレで吹替ファン必見の
謎の豪華共演となるといった

配給の都合なのか予算の関係なのか
スケジュールが合わなかったのか

作品の担当声優が当てられ無い場合が多く

多くは収録日に開いている、吹替制作社と提携するプロダクションの
所属声優に限られるチョイスとなるのが常で

ドル箱映画の「スタートレック」と言えども
カオスな吹替となってしまう訳です
(※後に可能な限りのオリジナル・キャストで新録されました)


・・・話をもどしますがw

YouTubeでもゼミ系の配信動画に
欧米対策で英語吹き替えを導入するユーザーが居るのは

その為で

若者の国語力低下が危惧される今日では
洋画の字幕となる「文字」を読んで理解しながら
物語となる映像を鑑賞する事が

ある程度の能力が必要となり、
多くは意味を取りこぼす可能性を捉えると

吹き替えが海外作品を鑑賞する
日本のデフォルトとなるのも

近いと言えるのかもしれません。



▲目次へ▲
​「クリスタル・スカルの王国」ウチ流解説編​
■本作を◯倍面白く観るポイントを解説■




さてここで「クリスタル・スカルの王国」も解説しておきましょう・・・w
とは言っても解説サイトが星の数ほどある本作ですので

本作がより興味深く観る事が出来る様に
ウチ流の「本作を◯倍面白く観る」ポイントを解説する事にしましょう☆


ジョージ・ルーカスは「インディー・ジョーンズ・シリーズ」を
元々5作作る契約を映画会社と交わしていましたが

ルーカスもスピルバーグも「大物」となり
ある程度の「口出し」が出来る立場になると

冷戦の世の中となり潜在的な脅威が日常に潜む中で暮らす現代に

「ナチドイツ」を悪役に仕立てて悪人たちの野望を阻止する
勧善懲悪な物語には世の中を吸引する力は無くなっていると考えて

シリーズ第3作「最後の聖戦」では

これまで「ヒーロー」として描いてきたインディー・ジョーンズを
人としては「何者」なのか今ひとつ良く分からなかったという事で

少年時代のインディーの活躍を描くOPで幕を上げ

父親役としてショーン・コネリーを招いて
物語に絡めた親子のやり取りの中で人間インディー・ジョーンズを描き

それを持って「3部作」としてシリーズを完結させようとしました


Balanced Rock, Arches National Park (50333197598)
実際に存在する「バランスロック」(画像参照: wikimedia)

コロラド州の砂漠と高知に広がる絶景の岩場に目を奪われるOPから
巨大な岩があり得ない高所の場所にそびえ立つ

「バランスロック」のたもとを進むボーイスカウト一行との対比で
自然の脅威で生まれた「未知」の存在を感じさせる

ミステリアスな冒険が始まる予感を感じさせながら

広大なアーチ状の岩場からカメラは洞穴へと進んで行き
その洞穴の奥で「盗掘」を行う一味の中の

ひときわ目立つ「フェードラ帽」の見覚えある後ろ姿に
ここでインディの登場かと誰もが思いながら

一味が掘り出した目的の十字架の装飾物を手に取り
光が当たったその顔は明らかにインディーとは違う別人で

穴の上から一味の行為を見張っていた少年が呼ばれた名前が
インディーだったという

ちょっとした仕掛けを通して
スッと インディーの少年時代にタイムスリップさせながら

そうして一味から取り返したはずの十字架は
金持ちのコレクターに蹂躙された保安官に奪われ

骨があるじゃないかと、
一味のボスの男がインディー少年にかぶせて
画面いっぱいになった「フェードラ帽」を上げた顔が

今まさに大ピンチの中で今の事を思い出し
ピンチの状況すら楽しむ様に笑っている
現在のインディーの殴られる直前の顔に繋がるという


この様に画面から片時とも目が離せない映画的な流れる様な展開は
スピルバーグ、本当に上手いな~と思います


それから1991年のWOWOWの開局のCMで
ハリソンのインディーっぽいビジュアルを観て以来

「インディー」の映像化はもう無いと思われた2008年
19年ぶりにまさかの最新作「クリスタル・スカルの王国」が公開されます

これは
異世界人の遺産となった「クリスタルスカル」と呼ばれるオーパーツを
ソ連のKGBと争奪する冷戦時代のお話で

ケイト・ブランシェット演じる超能力を持つ悪役イリーナ・スパルコは
ソ連の領土時代のウクライナ出身のKGBの将校という役どころの

ロシア人で無い事から何倍もの忠誠を誓わなければならない身の上故に
出世を狙う将校なら誰もが避ける諜報活動という「汚れ役」
自発的に行いおびただしい数の成果を上げて今の地位を得た人物で

当時のウクライナの「損」な役回りを負う立ち位置を伺わせる
現在のウクライナ情勢を知るには実にタイムリーな内容でした


この映画は旧3部作とは明らかに異なったトーンで作られてまして
それは本作を監督したスピルバーグが当時61歳という年齢で

歳を重ねたという事が作品に影を落としている
という事もあるかもしれませんが

「シンドラーのリスト」「プライベート・ライアン」「ミュンヘン」と
重くリアルな映画を撮っていた反動で

楽しく観ることのできる映画を目指した映画化でした


映画冒頭、地面からいきなりCGのモグラが出てきますが
アレは「さあ、マンガみたいな愉しい映画の始まりだ!」

という「宣言」の意味があった訳で

本来核兵器の破壊力や放射能を
鉛製の冷蔵庫に入っただけでかわせる訳が無いのに
インディーが無傷で出てきたり

その足元から冒頭のモグラが出てくる事で
この辺りには核の影響は無い事を示しながら伏線回収するのですがw

他にも

どう考えてもあの様な高い「滝」から3回落ちれば死ぬ所を
助かったカレン・アレンにハンドルだけ持たせて
ミッキーマウスディズニーアニメ的お笑いにしているとか

ジャングルでロシア兵に扮するイゴール・ジジキンと戦う場面で
インディーのパンチにのされた後
軍隊アリに巣まで運ばれて絶命するという

いくらなんでもあり得ない演出をしたりするのも

そもそも本作は
マンガみたいな演出をしたかったスピルバーグの
お笑い満載なハラハラドキドキの
ディズニー的愉しい映画を目指した所に企画の理由があった訳です

しかし一方で

「シンドラーのリスト」では
ナチの党員でありながらユダヤ人を救った人物を描き

「プライベート・ライアン」では「戦争」の実態人間性を描いた事で

「ナチ」を素直に「悪」と描くことが出来なくなった弊害
「最後の聖戦」の時の様に「戦争」ネタに笑いが描けない
「レイダース」の時の様に中身を考えない映画を撮れなくなり

それで闘う相手をソ連のKGBにしたり

を「ソ連」にしたというよりは
共産主義を敵視する「赤刈り」なども含めた「思想」そのものという

潜在的な敵になりうる全ての状況が今回の真の敵として描いている所に
旧3部の時にあった映画的カタルシスが薄くなり

映画で描く枠取りが増えて多義に渡っている分
トーンが変わったと言えます


例えばインディがKGBに拉致され脅迫されて行った行動が
当局に共産主義に寝返った行為に取られて

見に覚えのない「赤狩り」の対象にされる所などは
「勧善懲悪」なインディー・ジョーンズ・シリーズを逸脱したものすら
感じさせます


▲目次へ▲
■米国の悪政「赤狩り」って何?■

この映画をもっと理解する為に「赤狩り」に付いて
少しだけ触れたいと思います

「赤狩り」は「マッカーシズム」とも呼ばれる
1948年頃より1950年代前半に政府によって行われてきた

当時世界的に台頭していた「共産主義」を国内から排除する行為と
一環を指す言葉ですが

当初は国内の共産党員支持者を政府が弾劾追放していた事が
やがて共産党員では無い家族や友人までもが追求される様になり

いつしか「あの人物は赤っぽい」という様な
「イメージ」だけで処断される様になって行き

偏見がまかり通り人が人を信じられなくなる様な

国民が疑心暗鬼に囚われて国内に不穏な空気が浸透していた
一連の風潮を指す言葉でもあります


ヲタク評論家の岡田斗司夫はコノ当時の「赤狩り」の風潮を
「不倫したら炎上するよりも酷いやつ」と表現してましたがw


この「赤」とはソ連の国旗の色であり共産主義を象徴するカラーとして
共産党とその支持者を指した言葉で

当時は「赤っぽい」と思われただけで当局に逮捕されたといいますので

しばしば歴史に於いて戦争に勝利した国が陥る
次は何が敵になるのかで国内が「スケープゴート」探しで騒乱する

人権を無視した悪政が戦後の米国にまかり通っていた事を
伺えるものがあります


背景としては、戦後に共産主義の大国のソ連が力を拡大しつつある事に
警戒してきた米国が

アジアや中東、中米の国々が急速に共産主義国化して行く事に対して

世界から民主主義が消えてしまうのでは無いかと
恐怖心を抱いた事がきっかけで猜疑心が芽生えた所にあり

それを受けて共和党右派のジョセフ・マッカーシー上院議員が
率先して「赤狩り」を進めた事で

本来共産主義とは何ら関わりの無い代議士や著名人、作家までもが
「赤」を思わせる発言やその様な著書を出版しただけで
連行されという様な

その実態は現政権の潜在的な敵と認知された人々が弾劾される
「共産主義者の排除」を大義名分とした

体の良い政敵の排除を目的とする謀計と言えました

これによって
偽の「共産主義者リスト」作成による事実の歪曲や偽証が横行し
マッカーシーのその様な冷徹で強引なやり口は批判を込めて

「マッカーシズム」と呼ばれる様になります


やがて「赤狩り」の思想は世界的に波及し
イギリスやカナダ、日本までも影響を受け
西側諸国全体に行き渡る程に

「共産主義」への脅威は「形の無い恐怖」となり
戦後の世界を席巻して行ったのでした


しかしその様なマッカーシズムの横行に対してマスコミが立ち上がり

1954年3月9日 ジャーナリストのエドワード・R・マローが
マッカーシーが行ってきた数々の違法行為と偽証工作を

自身の番組で取り上げ批判した所

番組の反響は凄まじく全国でマッカーシー批判が広がり
この一件以降、赤狩り一色だった風潮は転じて

マッカーシズム糾弾へと向かいます

12月には政府はマッカーシーに不信任を突きつけ
こうして憑き物が落ちるように
米国における赤狩りは終焉を迎える事になるのでした



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■どうして米国は共産主義を敵視したの?■


米国の共産主義、社会主義に対する嫌悪は
社会主義ベースの民主主義を世界で唯一成し遂げたとも評価される
日本では理解出来ない

民主主義以外を「異端」と見なす
極端な資本主義的思想に起因しているものと
捉える事が出来ます

例えばオリバー・ストーン監督の大ヒット作「ウォール街」の続編
2010年公開の「ウォール・ストリート」では

リーマンショックで世界金融危機に陥った米国で
政府が銀行の金融システムに関与する状況になって行く事に対して

銀行業界のトップ達があたふたとうろたえて
「社会主義が始まる!民主主義はもうおしまいだ!」

と取り乱す場面があり

これを観る限りでも米国人は国が関与する事を極端なまでに嫌い
国が主導する事を端的に

「社会主義」と捉える傾向がある事が分かります

オバマ政権の時に国民社会保険の導入を検討し
政府に棄却される事がありましたが

日本人にとってはとても良い制度でも
「自由主義と民主主義」が基本の米国では

フランシス・フォード・コッポラ監督の名作
「レインメーカー」の中で訴えられる極悪保険企業の様な

金儲け目的で病人から搾取をする様な
血も涙もない企業があったとしても

法律に抵触しなければ何をしても「自由」であり

例え人道的に正しい行いをするとしても
それに国が関与する様な事は

「自由が侵害される」=「社会主義」=「悪」なのであり

民間の保険が高額であろうとそれが「保険」という制度であり
加入するもしないも「自己責任」なのが「民主主義」であると

高額保険が「極悪」なら 誰にも選ばれない事で
社会的に自然と「抹殺」されるべきであるという

あくまで「自由」に基づいた
「一人ひとりの意思」を尊重している事が分かります


又、資本主義的民主主義な考えでは
金儲けに成功する事は正しい行為であり「正義」の現れで

「富裕層」は正しい生き方をする正しい行いをする人達であり
「貧困層」は間違った生き方しか出来ない悪い行いをする人種である

という極端な思想がはびこるのも

お金持ちになるのも貧乏になるのも全ては「自己責任」であり
どららの立場を選ぶのも「自由意思」である

「自由」とは良い面ばかりでは無く悪い面だってあるという
それが「自由」の本質でもあると捉えているからだと言えます

これは
「良い」面しかない都合の良いものなど存在しないし
「悪い」面があるからと言って放り出したりせず受け入れる

その様な「自由」の元に社会を作って生きるのが人間らしい姿であり
それが唯一叶うのが「民主主義」である、

の様に

「自由」である事は「誤ち」が起こるのが「当たり前」
である事を前提にして

皆が望んだ事で犯した「誤ち」が起これば真摯に受け入れて変えて行く

価値観を常に変化させる「現実的思考」で考えている現れであり
その様な、唯一無二の人間らしい社会を作っている「誇り」

米国人を支えている事が伺えます


つまり米国はその様な多種多様な考えで国が成り立ち
それによって特定の考えが多数を占めて

国がそちら側へと傾いた時も

正しい行いである事を信じて行動し続ける限り
たとえ過ちを犯したとしても世の中が自然と正しい方向へと導くのが

「民主主義」であると捉えている事が分かります


故に、国が唯一の考えで統一され
国民に選ばれていない世襲によって権力が受け継がれる
一部の特権階級によって成り立つ様な全体主義的国家や

国の運営を一部の「プロ政治家」委託して
国民は政治に無関心となり

世の中が乱れたら国のせいにし
自分の子供が公園で怪我をしたら行政のせいにする

それで世の中が良くなる訳でも何でも無いのに
赤の他人の不倫を「悪」認定して世の中から抹殺する

社会主義的民主国家ではなし得ない
という事を信じている現れだと言えるので

その様な「異端」な思想が世界を席巻した時は
「人間的な社会」が侵され「誇り」が失われた末に

人としての拠り所となる
「アイデンティティ」まで失われる恐怖心の余り

我を忘れてしまうという事なのかもしれません。



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■移住した順番で階層化した移民問題?■



さて、「クリスタル・スカルの王国」の話に戻りますが

大学を停職になり国から「赤狩り」の対象にされる失望で
国外に出るインディーをハーレーで追いかけてくる元カノの息子と

米国の定食屋にあたる「ダイナー」に入り
KGBの追手を巻く為に始めた騒動で

スカジャン一派と革ジャン一派が真っ二つになって揉める場面では


後にスピルバーグが映画化する「ウエストサイドストーリー」や
コッポラ監督の名作「アウトサイダー」でも描かれた

米国が人種のるつぼである事での「移民問題」を背景にした
当時の白人と有色人種による対立を「漫画的」的に描写して

根底にある「人種差別問題」「コメディー」に変換して笑い飛ばす
社会性のあるキレの良いコントとなりました


スカジャンが大学生の白人富裕層
革ジャンリーゼントが学歴の無い移民労働層

この2つの層が事あるごとに反目し合いぶつかり合う
貧富の差が「階層社会」を生み社会問題となる

当時の世相が良く描かれていて

この場面はその様な世相をエンタメ化する為に
ダイナーの場面をリアルにでは無く「風刺画」的に描写して

当時の世相と米国社会に反発しながら
行き場のない怒りに非行や暴力という形で世の中にぶつけるしかない

当時の激昂する若者を象徴する様な
リーゼント、革ジャンにバイクという元カノの息子と

「赤狩り」の風潮で失墜した米国に嫌気が差していたインディが
そういう因縁で行動を共にする様に描かれています



ここで描かれる移民問題も日本では良く理解できないので
この場面をもう少しだけ深く捉える事が出来る様に掻い摘んで説明します


米国の移民の歴史は欧州人によるもので

1620年のメイフラワー号での新天地を求めた新教徒が相次いで入植したのが
米国の始まりなので

カトリックの教えを強要される欧州から逃れたという理由からして
自由な社会を求める米国の精神とは「宗教」からの自由がルーツであり

ここから芽生えた精神だと言う事が分かります

ただ、「メイフラワー号」というワードから始めると
「インディアン戦争」やら米英不干渉までの歴史「モンロー宣言」とか

とんでもなく壮大な米国の歴史を語らなければならないので
ゴッソリと端折りますが・・・w

南北戦争やら色々騒乱や変革や戦争を経験して
国としての礎が徐々に盤石なものとなって行きます

そんな頃、
19世紀の後半には欧州の飢饉の影響で食糧難が発生し
米国の豊かな土地を求めてアイルランド系の移民が入植して来ます

やがてイタリア系、ロシア系、ポーランド系の移民も入植して来て
人種のるつぼ米国が形成されて行きます

後期には北米戦争が起きてスペインが敗北した関係で
スペイン領だったプエルトリコが米国の植民地となりますが

このプエルトリコは1950年に独立運動が激化し武力蜂起が起こり
国が乱れた事でアメリカはプエルトリコの安定の為に
「コモンウェルス」と呼ばれる自治領化を認めて経済的独立を推進し

自国で国内生産をまかなえる様に資本を誘致して工業化を進めるのですが

雇用にあぶれた人々が結果として次々と米国に移民する事になります
これがプエルトリコ移民です


この様に移民として入ってきた様々な国の人々の多くが学も技術も無く
未熟練労働者として働いたためその様な低所得層がスラム化して

都市中心部で移民によるスラム街が形成される様になります

この様な移民が元から居た欧州系米国人の職を奪っていく事に
不満を感じた事が「移民差別」の「核」となって行きます

そうして先輩移民から差別を受けてきた
アイルランド系移民の後に入ってきた

イタリア系移民が次の「差別」の対象となり

次に入ってきたロシア系、ポーランド系、やがて中国系移民も
その次、その又次、その又又次の「差別」の対象となって行きます


最初の後輩移民だったアイルランド系移民は
既に米国での地位を獲得していた為と
後から入ってきた後輩移民の先輩となった事で
「差別」の対象から外れ

次に入って来た後輩移民のイタリア系移民が
先輩のアイルランド系移民の「差別」の対象になって行きます

そうして今度はイタリア系移民が米国内で地位を獲得し
「差別」の対象から外れると

次に入ってきたポーランド系移民が後輩となり・・・といった


これらの移民が米国での入植してきた順番に地位を獲得して行くに連れて
差別からの「一抜け」をしながら
次に入植してきた後輩移民を差別する「差別の連鎖」によって

「移民の階層化」が形成されて行きます

そうして1950年代に移民してきた
最下級生後輩となったプエルトリコ系移民は

既に差別の連鎖から「一抜け」した
アイルランド系、イタリア系、ポーランド系などの上級生移民から
一斉に差別を受ける様になり

いわれのない差別と全く自由とはかけ離れた階級社会の枠組みに
激昂する事になる訳です


ハリウッド映画を見てもアイルランド系は検事や弁護士などの
知的な職に就く高学歴層として描かれ

主演のシルベスター・スタローンのサクセスストーリーとリンクした
「ロッキー」でも、
イタリア系移民の米国に於ける若干の地位が見て取れる様に

「インディー4」での1957年という時代に
リーゼントに革ジャンにバイクで低所得層のスラム街で激昂する
ダイナーで富裕層と衝突して怒れる若者となるのは

つまりはそれら移民の最後に入植してきた
プエルトリコ系の移民だと言う事が

分かる訳です





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■本作が「1941」のリベンジである理由とは?■



インディが息子の運転するハーレに同乗する事で
私達は彼らの目線で当時の米国の姿を垣間見て

発展する街並みの影で虐げられる人々が居る事を物ともしない
理不尽の象徴の様な「当局」と一戦交えながら

図書館に乱入した時に「書には真実はない街へ出ろ」と

「レイダース」では大学で講義した時とは真逆の事を
インディが叫ぶ場面があるのですが

コレは純粋に「レイダース」をネタにしたパロディーである事以外に
何か「違和感」の様なものを感じた訳です

このセリフは言い換えると
真の問題とは映画の外で起こっている事であると
示唆しているので

これはスピルバーグがスクリーンを通して
「1941」のリベンジが叶った事を声明した

そんな特別な場面だったのでは無いかと思った訳です


これはどういう事かと言いますと
これは私の・・・「私見」で、根拠はありませんが

スピルバーグは「1941」の時に映画が興行的に失敗した時に
内容に付いて叩かれた事があって

笑いがスベっていてダメ映画になっている事が
失敗の最大の原因だとしても

真珠湾攻撃をネタにした映画化であった事自体がタブーであり
それがもう一つの失敗の原因だとされて

若くして成功し思い上がっていたスピルバーグがこの件で学び
後にそういう心情も汲める様に謙虚さを覚えたという話でしたが


「1941」の失敗の原因の一つだった「お笑いが苦手」という点は
「レイダース」の成功で克服したので、それは置いておき・・・


もう一つの原因の
「企画そのものが米国ではタブーだった」
という点に付いては

おそらくスピルバーグは「1941」ではやり方を間違ったとは思っていても
タブーネタを笑いにする事は間違っていなかったと

心の底でズット思いながら、
間違ってもそれは絶対クチにはしない様にして


歴史を知る当事者が事実を突きつけられる事への
「心情」を考慮しながら

これまで米国の黒歴史やタブーを取り上げた
シリアスな映画を撮り続けて来たと思うので


人は「真実」によって心が揺さぶられるという映画のセオリーが
「シリアス」にも「お笑い」にも通じるという事を

何度もこの目で十分すぎる位確認してきた所で

今回「お笑い」の場面に米国の黒歴史である
「移民問題」を取り入れ

インディが元カノ息子にスカジャンの若者を殴らせた事が着火剤となり
ダイナーでスカジャンと革ジャンの層が真っ二つに分かれて
移民問題が爆発するという乱闘場面へと発展する様が

「1941」での兵隊同士の乱闘場面を思わせるものがあったので

普通なら笑えない様なデリケートな社会問題をネタにして
それを笑いに転嫁させエンタメ化する事に成功させた事で

スピルバーグ的には「1941」への満を持したリベンジを行った
のでは無いかという印象を持った訳です

理由としては

スピバーグは過去何度も米国の「汚点」とも言える題材を
作品として取り上げてきましたが

その切り口は常に「これをどう乗り越えるのか」という問いかけが
「核」となっていたと言えます


つまりスピルバーグはこれらの問題は常に
「乗り越えられる」と思って映画を撮っているのであり

それは「1941」の時に若きスピルバーグが
米国はどんな痛みも必ず乗り越えて笑い飛ばせる位の力強さがある

と信じて

周りの反対を押し切り映画化した時の
その思いそのものでもあると言えます


そういう「自由の国米国」の「自由」に生きられない
「生きにくい」世の中の時代を舞台にした本作に


「自由の国」と言いながら「タブー」があり
それを「自由」に語れなかった「生きにくかった」

「1941」制作時の若きスピルバーグが叩かれた世の中を投影させて

問題は隠さず外に出す事で乗り越えられるという持論を
あの時のインディーのセリフに乗せて

長年の鬱憤を晴らす様にスクリーンを通して訴えた
と言う事だったのかも

しれません



▲目次へ▲
​​■SFはインディ映画らしくない理由とは?■​​



今回の「異世界人」と「エリア51」が登場する設定は
神秘ミステリーアドベンチャーな本シリーズ的には異色な展開でしたが

これはジョージ・ルーカスに
「レイダース」では謎だらけで終わったラストの「市民ケーン」的倉庫を

本作では「エリア51」の倉庫だったという事にして
そのまま「宇宙人」の遺産を巡る物語にするという構想があったからで

これに付いてはスピルバーグとハリソンが
インディージョーンズらしくないとして反対し

実現するまでには紆余曲折したという経緯があった様です

それがなぜ通ったかと言うのは、

「宇宙人」の設定に難色を示していたスピルバーグを
何とか説得できないかと考えたルーカスが、

ある日良い考えを思いついたとスピルバーグに連絡して来て
「宇宙人では無く異世界人なら良いアイデアだろ~w」と
嬉々として迫ったらしく

それで遂に根負けしたという事らしいですw

なのでラストでグルグル回って帰って行った時に天空に開いたアレは
異次元への扉で

連中の乗り物は「宇宙船」では無く「空間移動船」で
彼らも「宇宙人」では無く別次元に住む「異世界人」ですw


この「異世界人」というSF設定がインディージョーンズらしくないとして
映画ファンに不評を買うのですが

これまで描かれてきた「神の力」や「神秘」はOKで
「宇宙人」はNGというのは

神秘とミステリーとアドベンチャーがインディー映画であって
SFはそうでは無いという線引きがある事を意味しています

実は映画の中でもインディーは「神秘の力」を「迷信」だと考えていて
それは「レイダース」でも「最後の聖戦」でも

セリフとして言及しております

そんなインディが毎回、神の奇跡の様な神秘を間近に見てきて
今回も超能力を持つKGB士官と対峙して

信念が揺れるインディが描かれて来ました

そうして一瞬でも「奇跡ってあるのかも」と思わせる外連味が
インディ映画の醍醐味だったと言えます


CG全盛となった今では「レイダース」のオプチカル合成による特撮場面は
いささか古びた感は否めないものがありますが

「レイダース」のクライマックスとなった「アーク」の奇跡の場面は
劇場で鑑賞した当時は衝撃的で

鑑賞後はショックで軽く怯えていた事を覚えています


これはSF作品が常に
全ての事が「空想」ではあっても「科学」で説明が付く

「理屈」で成り立っている事に
「安堵」して捉える事が出来る性質とは異なり


神秘ミステリーアドベンチャーが
この世に存在する「不思議」をベースにした

「理屈抜き」で成り立ち、信念が揺らぐ「恐れ」に醍醐味がある
「未知への探求」だからだと言えます

つまり
SF作品の持つ「驚異の科学」が「想像力」で成り立ち
それが如何に「実存感」に繋がるかという所に醍醐味があっても

神秘ミステリーアドベンチャーが持つ
「未知」の物に対する「恐怖」と「憧れ」が

冒険活劇の「核」でもある所に

冒険物語のインディージョーンズシリーズには
「神秘ミステリー」が似合う理由があるのだと

言えるのでしょう☆


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​インディー・ジョーンズ
/クリスタル・スカルの王国​

Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skull

■監督:スティーヴン・スピルバーグ
■脚本:デヴィッド・コープ
■原案:ジョージ・ルーカス/ ジェフ・ナサンソン
■原作:キャラクター創造:ジョージ・ルーカス/ フィリップ・カウフマン
■製作:フランク・マーシャル
■製作総指揮:ジョージ・ルーカス/ キャスリーン・ケネディ
■出演者:ハリソン・フォード/ ケイト・ブランシェット/ カレン・アレン/ シャイア・ラブーフ
イゴール・ジジキン/ レイ・ウィンストン/ ジョン・ハート/ ジム・ブロードベント
■音楽:ジョン・ウィリアムズ
■撮影:ヤヌス・カミンスキー
■編集:マイケル・カーン
■製作会社 :パラマウント映画/ ルーカスフィルム/ ザ・ケネディ/ マーシャル・カンパニー
■配給:パラマウント映画
■公開:アメリカ 2008年5月22日/ 日本 2008年6月21日
■上映時間:122分

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『新作はルーカスの居ない最初で最後のインディ映画となったケド
スピルバーグが単独プロデュースしたTVドラマって
ほとんどが打ち切りになっているんだよなあ・・・』

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最終更新日  2023年12月08日 12時12分16秒
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