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ザビ神父の証言

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2009.12.08
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カテゴリ:民衆の歴史
デパートの誕生(57)

社内預金制度は、生活に余裕のある者、給与の高い者にはメリットがありましたが、現業職員等給与の低い者は、蚊帳の外でした。預金したくても、その余裕がないからです。しかし、彼らもまたボン・マルシェの大事な社員です。

亡くなる1年前だった1876年プシコーは、店員全員を集めた席で、店の純益の1部を基金として拠出する、退職金制度の創設を発表しました。記録によれば、彼は次のように演説しています。

「この退職金制度を設置するにあたって、我々が望んだのは、店員1人1人が老年を迎えたときに、僅かでもまとまったお金を確実に手に出来るような制度、また万一不幸な事態が起こったときには、残った家族の手助けとなる金額を、渡すことが出来るような制度を実現することです。」

「しかし我々は、それと同時に、店員諸君に対し、諸君とボン・マルシェとがいかに固い絆で結ばれているかを、最も効果的な形で示したいとも考えたのです。店員諸君は、自分たちの仕事に精を出し、店の利益を第一に考え、責任を持たされた品々を大切に扱うことこそが、義務であると同時に、自分たちの利益にも通じる道であると、はっきりと理解してくれることでしょう。」

「……(中略)…… いまや諸君が店の利益とより密接に結びつくことになった以上、店の発展は、諸君がいかに様々なことに気を配り、接客態度に留意し、お客様を満足させるか否かにかかっているということを、正しく理解してくれるものと思う。」

こうして、毎年7月31日に決算が発表されると、純益の1部が、経営者の判断した割合で退職金のための基金としてストックされたのです。このストックが、規定勤続年数を超えた店員各自の固定給に応じて配分され、台帳に記録されるのです。なおこの元金には4%の利子が付きました。

支給については、5年以上勤務した店員は、60歳の定年退職時(女子は50歳)か、勤続20年を経過した時、退職金の支給を受けとる仕組みでした。

やがて支給年齢は、男性55歳、女性45歳に引き下げられました。また社員が定年以前に退職または解雇された場合は、病気退職と経営者が支給を認めた場合を除き、受給資格を失いました。女性社員の結婚退職は例外で、常に満額が支給されました。また、不幸にして在職中に死亡した社員の場合、遺族に退職金と同額が贈られました。

ところで1876年に、退職金制度が導入された時、有資格者は128名、基金額は62,020フランに過ぎなかったのですが、1903年には、有資格者2,796人、基金3,902,548フランと人数は20倍強、金額は600倍強に膨らんでいました。

この数字の示すところから明らかなように、退職金制度によって、社員の定着率は飛躍的に高まり、またボン・マルシェに対する忠誠心が、大きく強まったことは、間違いないようです。





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最終更新日  2009.12.08 18:53:10
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