クロニクル 前川リポートまとまる
1986(昭和81)年4月7日
31年前のことです。この日、中曽根首相の諮問機関であった「経済構造調整研究会」(座長前川春雄元日銀総裁)は、中曽根首相に対し、「内需主導の経済構造転換」を求めた報告書(いわゆる前川リポート)を提出しました。
これ即ち、70年代初頭の繊維協定に始まり、牛肉・オレンジと鉄鋼からカラーTV、そして自動車へと、連綿として続けられた日米貿易摩擦の解消へ向けての、日本側の取り組みと覚悟を示したものでした。
内需振興、以来今日まで何かにつけて叫ばれていますが、日本のGDPに閉める輸出の割合は、実を言うと僅か16%に過ぎず、84%は内需です。日本は堂々たる内需の国なのですね。だからこそ、欧州の有名ブランドは、競って上得意の日本進出を果たし、日本の一等地に軒を連ねるのです。
昨今は、対日貿易よりも対中貿易の不均衡が大きく、対日貿易が問題化する事はなかったのですが、米国並びに世界経済を見る眼が、今なお20世紀に留まり、古き良き時代への回帰を目指す時代遅れの大統領の登場で、なんだか騒がしくなってきました。
彼がその方針をあくまでも貫くとすると、米国経済の歯車が狂い、世界経済へのマイナスの影響は半端じゃないことになるでしょうから、ちょっと心配しています。