<<『奇蹟の☆』>>
「おっちゃん、この実験セット売ってや。」「なんや、坊主! (最近のわけーもんは口の聞き方がでけへん。)」「売ってくれるん?」「これはレアもんやで、ネットショップでも売ってへん。」「いくらやったら売ってくれるん?」「どや1万で、」「はい。」「おおきに(えらいあっさりやな。)」というわけで僕は得たいのしれないお店屋さんで「☆」と書かれた得体の知れない実験セットを購入したんだ。50cm四方の黒い箱はそのまま実験装置になっていた。取り扱い注意と書いているあるからそーっと家に持ち運んだよ。部屋のPCにつないで映像がマイクロスコープから送られてくる。生まれてまもないその☆はまだ表面が赤くどろどろしていた。僕が住んでる星もこういうふうに育ったのだろうと思うとワクワクした。学校から帰って映像を見るとその☆は水で覆われている。ブラックボックスの中で自らが輝いているようにも見え、まるで宝石のようにキラキラしていた。この実験装置のマイクロスコープはこちら側には映像をボックスの中へは僕の世界の光を入れているようだ。そしてやはり自転している。どういうシステムで作られているかはしらないがよく出来ている。僕は学校の宿題を手短に済ませ、またその☆を観察し始めた。海と陸地に分かれてどうやら陸地に植物が出きたようだ。海の中は見たこともない魚でいっぱいだった。しばらくするとこの☆の表面に薄いモヤのような幕が張られてきた。そして、水のなかから魚のへんてこなヤツが陸に上がり始める。へー、おもしろいや。どうやら両生類といわれる生物らしい。その時僕は友達に呼ばれて自宅の横で野球をすることになった。相手のピッチャーからなんとかしてヒットを打ちたかった僕は渾身の力でボールをたたいた。「ガシャーン」僕の部屋の窓が割れた。やばい!いそいで部屋に戻って映像を見た。僕が打ったボールで破られた窓ガラスの破片がひとかけらボックスに入り込んでしまった。みるみる☆のまわりが黒くなり、☆の表面が凍りついてきた。画面には大きく育った恐竜が寒さに打ち震え鳴き声を上げていた。ごめん、悪い事をした。しばらく実験ボックスをそーっとしておく。録画撮りして後で見ることにする。その晩のこと僕がゲームを興じていると実験ボックスの中で何回か音が聞こえた。映像だけ見ることにした。その☆の表面にきのこのような形の雲が見えた。記録された映像を見ると人類にまで進化していた。なのにこの☆の住人は互いに戦っていた。取り説によると観察者は☆の事象に立ち入れない、あくまでも観察する実験セットだった。そうこうしているうちに僕らと似たような体系も出てきた。これが僕らの先祖かもしれない。いろんなタイプがあった。BENZ,FORD,PEUGEO,ROLLOS-ROYCE,TOYOTA,NISSAN,HONDA,MITSUBISHI自動車と呼ばれるその生命体はいずれは自らの意思で思い通りの生きていくんだ。僕らのように☆の環境に合わせて―――